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著…上田耕造『ジャンヌ・ダルク フランスに生涯をささげた少女』

 そもそもなぜ英仏百年戦争が起きたのか? といった歴史的背景や、後世の人々が描いた絵画からジャンヌ・ダルクの人物像に迫ろうという本。

 残念ながら、

 「実際にジャンヌを目にした人物が描いた作品というのは、現在のところ一つもない。すべてはイメージから生み出された作品なのである。また、ジャンヌ関連の文字史料の中においても、彼女の容姿に言及した箇所は、ほとんどない」

(著…上田耕造『ジャンヌ・ダルク フランスに生涯をささげた少女』 P4から引用)


 ということで、人物像が非常に謎めいています。

 男装をして、短い髪だったイメージですが、おそらくそれは映画や本といった作品の中でそう描かれているから。

 実際の彼女はどんな容姿をして、どう悩み、そしてどのように戦ったのでしょうか?

 本当に不思議です。

 一人の少女が「声」を聞いた。

 そして「使い」としてフランス軍の士気を高揚させ、導いた…。

 これが実際に起きたことだなんて。

 しかし、そうして命がけで戦った彼女に与えられたのは恩賞ではなく、火炙りの刑…。

 神の使いではなく異端者としてその身を焼かれる時、彼女は何を思ったのでしょうか?

 この本には、

 「火はジャンヌのすべてを焼き尽くした。灰はセーヌ川に捨てられた」

(著…上田耕造『ジャンヌ・ダルク フランスに生涯をささげた少女』 P90から引用)


 と記述があり、読んでいてひどく胸が痛みます。

 国を救い、国民を救ったのに。

 こんな残酷な仕打ちを受けるとは…。

 もしかしたら、フランス国王が自分以外の英雄を欲していなかった、ということなのでしょうか?

 なんだかモヤモヤが残りますね…。

 わたしは彼女について、勝手ながら「もしタイムマシンがあったら助けに行きたい人物の一人」だと思っていますが、この本を読んだことで、その気持ちがますます強くなりました。



 〈こういう方におすすめ〉
 世界史が好きな方。
 ジャンヌ・ダルクの人物像に興味がある方。

 〈読書所要時間の目安〉
 2時間以内。

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