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著…伊集院静『それでも前へ進む』

 かつてJR東日本の車内誌『トランヴェール』に掲載されていたエッセイ『車窓に揺れる記憶』と、語り下ろしエッセイ『それでも前へ進む』を加えた本。

 四季の移ろい、身近な人たち(若くして亡くなった弟さん、妻・夏目雅子さん等)の死についての想い、そして3.11以降を生きる人たちへのメッセージが綴られています。

 読んでいると、自分がゆったりと心地よく列車に揺られて旅をしながら人生を振り返っているかのような気分になれます。

 わたしはいつも本を読む時は気に入った箇所に付箋を貼っていくのですが、この本を読んでいたら付箋だらけになりました。

 「しあわせのかたちは似ているが哀しみは皆違っている。それでも哀しみはいつかやわらかくなる」

(著…伊集院静『それでも前へ進む』 P10~11から引用)

 「運命が人の行く末を決めるのではなく、人との出逢い、己以外の人の情愛が、その人に何かを与えるのだと私は思う。人ひとりの力などたかが知れている」

(著…伊集院静『それでも前へ進む』 P53から引用)

 「人から受けた恩は、その人には返せないのが世の常らしい」

(著…伊集院静『それでも前へ進む』 P147から引用)


 といった言葉のひとつひとつがどれも味わい深いので、わたしはページを捲る度に深く頷きました。

 そしてこの本はこう締め括られます。

 「理不尽や不条理があって当たり前の世の中を、いつか、そうでない世界にするために、私たちは生きている」

 (著…伊集院静『それでも前へ進む』 P189から引用)


 と…。

 素敵ですよね。


 〈こういう方におすすめ〉
 これまでの人生を振り返りながら、これからの人生について考えたい方。

 〈読書所要時間の目安〉
 2時間くらい。

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