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著…クロエ・フォックス 訳…山崎恵理子『VOGUE ON アレキサンダー・マックイーン』

 こんばんは。

 アレキサンダー・マックイーンのファンにおすすめの本をご紹介します。

 この本を家に置いておくだけでも「女性を強く美しく見せたい」という彼のパワーを分けて貰える気がします。

 美しい服を纏った美しいモデルさんたちのカラー写真が贅沢にも1ページ丸ごと使って掲載されているので、目の保養にもなります。

 また、彼の生い立ちから死後までのエピソードも詳しく掲載されています。

 わたしはこの本の写真と文章を読みながら、美意識って哲学と一緒だな…と気づかされました。

 彼が亡くなってかなりの年月が経つというのに、そのデザインや思考は全然古くなっていません!

 挑発的。

 美と不気味さが融合された、強烈に人の目を惹くデザイン。

 無難さなんてどこにも無い。

「進化。限界をひたすら広げることだ」
(P137から引用)

 という言葉からも伝わってくる通り、極めてストイック。

 また、現代的なデザインの中にも少し伝統的な要素を入れることを大切にし、

「家宝として受け継がれるような服を作りたい。受け継いだ人にも服から喜びを味わってもらいたい」
(P21から引用)

 という彼の言葉からも、服への深い愛情が感じられます。

 宝物のような一着を生み出し続けたい。

 着る人に力を与えたい。

 そういう願いを彼が強く抱いていたことが伝わってきます。

 特に、彼がまだ少年だった頃に姉が夫から暴力をふるわれているのを目撃し、ただ見ているしか出来なかったという経験から発表した「ハイランドレイプ コレクション」が非常に印象的。

 生地を引き裂き、ちぎり、女性の肌をあちこち露出させ、傷つき、取り乱しながらも、それでも歩いていく女性を表現したコレクション…。

「人々が私の服を着た女性に恐れを抱くようになって欲しい」
(P39から引用)

 という言葉からも、女性を弱々しい存在ではなく強い存在に見せたいという気持ちが伝わってきます。

 残念ながら世の中に溢れる暴力というのは、本当に卑劣で許しがたいことですが、弱いものにばかり向けられますからね…。

 ああ、だから彼の服を着ている女性はまるでお気に入りの戦闘服を着ているみたいに強く見えるのか…、とわたしは納得しました。

 「強い」といっても女性が男性の真似をするわけではなく、女性の心の奥底から湧き上がってくるような凛とした強さが表現されていると思います。

 改めて、彼の早過ぎる死が残念です。

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