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人工肉と魚介資源の未来

人工肉という主に植物由来成分による肉っぽい食べ物がメディアで目にするようになってきました。

人工肉を作る、そして食べる理由としてよく取り上げられるのが、ヴィーガン的な、人間が動物を食べるのはかわいそうだから、というものです。

【オピニオン】人工肉バーガーと人類の未来
https://jp.wsj.com/articles/SB12317017857431743373904585237673990902644

あくまで個人的な予想ですが、かわいそうな動物を保護する保護ために動物を食べない、という理屈は多分上手く行きません。一定の共感は得られるでしょうけれど、大多数まではいかないでしょう。

動物がかわいそうという理屈ではなく、上記のリンク内にもあるように、

 米国で排出される温室効果ガスの9%は農業によるもので、その3分の1近くは環境保護局(EPA)がかしこまって「腸内発酵」と呼ぶもの、平たく言えば牛のげっぷやおならによるものだ。もしインポッシブル・バーガーやその他の試験的な代替肉が消費者に根付けば、二酸化炭素排出量は減るだろう。

食べるために育てている家畜が出すガスによって地球温暖化が進む、という理屈であれば、もう少し賛同者は増えるはずです。また、

植物性食、インポッシブルバーガーって?直視せざるを得ない食糧事情
https://news.yahoo.co.jp/byline/ikedaeri/20190520-00126112/
健康ももちろんのこと、環境負荷に対する考え方もあっての浸透である。
畜肉に育てるのに必要な水分は穀物を育てる場合の10倍近く必要とされるからだ(出典 東京大学生産技術研究所 沖研究室)。

このように、畜産に必要な水を消費しすぎてしまう、というのも人工肉推進の理由にも出来るでしょう。

しかし、これら家畜のゲップや水資源の問題を問うのであれば、かえって魚や貝類などの海産物は関係なくなります。魚も含む動物を食べるべきではないというヴィーガン主義者の支持を失う可能性はあります。

動物保護に限ったことではありませんが、先鋭的な主張をする団体は大同小異という組織化が出来ません。自分たちの主張と少し異なるけれど大きな目的は一緒、という他の主張と団結することが出来ません。

人工肉の問題であれば、動物保護という大きな旗印のもとで一致団結出来るかどうかが鍵です。見方を変えると、畜産業のみを敵視して漁業を大目に見るのか、魚介類の摂取も禁止するのか。動物保護を掲げる組織内や組織間で統一するのは難しいでしょう。

ただ、魚介資源も世界的な人口増加によって減りつつあります。発展途上国の沿岸に住む人々にとっては手っ取り早い食糧確保として漁業が盛んですし、自分が食べなくても先進国を含む外国に高い値段で買ってもらうことも出来ます。漁業は食糧確保&輸出産業という非常に効率の良い職業でもあります。畜産物を食べられなくなった人達は、工場で作られる人工肉を食べるくらいなら海で育った魚介類を食べたいと思うかも知れません。そうなると魚介資源が更に取り尽くされてしまう結末も待っているでしょう。

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