北朝鮮の兵器による世界的脅威

北朝鮮がロシアに提供したミサイルがウクライナ戦争に使用されました。

ロシアにしてみたら、ウクライナに欧米やその同盟国の日韓などが協力しているのだから、これくらいは当然だと思っているのかも知れませんが、北朝鮮が極東にのみ脅威を与えていた時代から、欧州に対しても公然と敵対的な存在になったという点で、一つの歴史的転換点になるかも知れません。

端的に言うと、欧州が北朝鮮の被害に遭う時代になったのです。

北朝鮮による核兵器やミサイル開発に関しては、日米韓は重視して、時には飴と鞭を使いながらなんとか食い止めようとしたものの全く功をなさず、結局は北朝鮮のしたい放題となってしまいました。ロシア・中国も含めた北朝鮮周辺の六ヶ国協議についても有効性はなく、さらに北朝鮮自身が求めていたアメリカとの二国間協議についても、トランプ政権時代にトランプ・金正恩会談まで行ったものの、役には立ちませんでした。

結局のところ、平和裡には北朝鮮を止める手段はこの世には存在していなかったのでしょう。

そして、この北朝鮮の軍事的脅威に関して注目していたのは極東に利害がある前述の六ヶ国のみであり、欧州はもちろん、アメリカ以外の南北アメリカ各国や、アフリカ、他のアジアの国々もどうでもいいものでした。国連安保理ではたびたび取り上げられてはいますが、ハッキリ言うと被害を受ける可能性があるのが日米韓だけです。韓国は左派政権が出来れば腰砕けになりますので、常に北朝鮮に厳しい姿勢を見せていたのは日米だけでした。

そう考えると、北朝鮮が局地的な軍事的脅威であっても、世界的には無関心の対象だったのはしょうがないのですが、このウクライナ戦争への武器供与を通じて欧州における戦争に参加してきたことは、北朝鮮が世界に悪い意味で関わり始めたことを意味します。

ウクライナ戦争にしても、欧州の端における局所的なものであり、世界大戦のような地球を二分する争いではありませんが、実際に武力行使に至っていなかった北朝鮮核開発問題と比べれば、世界的な影響力ははるかに大きいものです。

ロシア・北朝鮮・中国+αと、欧米日+αの対立であることを、このウクライナ戦争は改めて意識させます。20世紀の冷戦のような、完全に分裂した世界にはならないにしても、グローバル化に逆行する軍事的政治的ブロック化は避けられないでしょう。

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