親と子。だからこそ 「離す」
本書は「ひきこもり問題」に対し「家族療法」という手段をとっている精神科医の水野昭夫先生の考え方や支援の仕方を学べる1冊です。
ここでいう家族療法とは以下を指します。
こどもの不登校で悩んでいる
どう接していいか分からない
こどもが体調不良、不登校の傾向がある
上記のような悩みのある方は、効果のあった支援方法ものっているため、とても参考になると思います。ぜひ読んでみてください。
ぼく自身、不登校やひきこもりの児童生徒をフリースクールや学校、医療・福祉現場へと繋ぐ仕事をしています。
そんなぼくの目から見ても、当事者へのアプローチは一時的な効果しかもたらさないなと思います。やはり根本からの解決には水野先生と同じく家族単位で対処していく必要性を強く感じています。
本書で水野先生は家族療法における大切なことを示してくれています。以下、一部抜粋して記しておきます。
ほんとうにその通りだなと。
ぼくはまだ子どもを授かっていないので、親の何たるかを語る資格はありません。
ですが、学校教諭としてもフリースクールの先生としても数おおくの子どもと触れあってきた経験から、親と子、つまり家庭の中にこそ活路があると断言していえます。
親は子を「変えよう変えよう」と努力をつづけますが、環境をかえなければ変容はありません。むしろ悪化することさえあります。
ではどうすればいいのか?
まずは親の方から、考え、行動を少しづつ変えていくのです。
なぜ、親が変わらねばならないのか?
それは、子どもにとって親こそがもっとも身近で強大な影響をもつ社会であり「環境」にほかならないからです。
本書でも、この内容がピックアップされている場面がありました。
母子家庭のケースで、母子ともに関係性が非常に近く、知らず知らずに癒着に近い状態がつづいており、それにより問題行動等が起きていました。
このケースでは適切な支援として、子どもを「自立支援アパート」へと移し、家族と適度な距離をおくことで自立を促し、ひきこもりから脱却することができていました。
これは親という環境から少し距離をおいたからこその結果だそうです。この適度な距離を開けているあいだに、親と子ともに適切な支援をし、関わり方や関係性の築き方を伝えていくのです。
親だけ頑張るのではありません。双方向へのアプローチをおこない、お互いの考えや価値観を受容しあえる関係性を築くことが大切なのです。
第三者や医療福祉の仲介
親と子、ともに適度な距離をとってあげること
必要としている支援を行う(環境の整備等)
この3点は、とても重要です。本書では癒着しすぎている関係性を取り上げたのでこの3点を取り上げましたが、1番は「社会にでても愛されるお子さん」に育てるための知識やスキルの共有、そして学校・家庭・医療福祉の同じベクトルを向いた連携だと思います。
また、本書でも述べられていますが、ひきこもりで1番気をつけなければならないのは「長期化」です。
逆をいえば初期に適切な対応をしていけば、時間はかかるものの緩やかに快方へと向かうことが多いのも事実です。
本書には、初期にどのような対応をするといいのかも分かりやすくのっています。またほかにも、様々なひきこもりの事案とそれに対する支援策がのっており、親の反応や子の反応も詳細に記されていて、かなり支援の参考になります。
もし気になったひとは、本書を手にとって読んでほしいです。
ひとりで育児を悩んだらパンクしてしまいます。
どうかひとりで悩まず、専門家や福祉医療機関と連携して対応していってほしいです。
どこにも吐けない悩みなどがあれば、僕なんかでよければ聞きます。
一緒に悩んで、一緒に考えていきましょう。
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