筋トレをやめられない理由とは?運動中毒の恐ろしい正体【ドーパミン依存症】
「筋トレきついよー。
なんでみんなこんなきついことを続けられるんだろう?
もしかして自分には物事を継続する才能がないんじゃないだろうか…」
結論として、筋トレを継続できない人はダメだとか意思が弱いとか、そんなことはない。
ではなぜあんなにつらい筋トレを続けられる人と続けられない人が存在するのだろうか?
ちょこザップやエニタイムに入会したものの月会費だけ払ってロクに通うことができない人がいる中、もはや「筋トレ中毒」なんじゃないかと思うくらい筋トレに熱中する人もいる。
この差はなんなのだろうか?
筋トレを継続できる人は、どのようにしてあのつらさを乗り切っているのだろうか?
それには「ドーパミン」という脳内物質が非常によく関連していることがわかっている。
今回は、【ドーパミン中毒と筋トレの関係性】についてお話していく。
■爽快感がやめられない!?ドーパミンの驚くべき効用
そもそも「ドーパミン」とは何なのだろうか?
ドーパミンは私たちの脳内に存在する神経伝達物質の一つで、感情や動き、報酬系といった機能に関与している。
特に、喜びや快感を感じる際に重要な役割を果たしており、「幸福ホルモン」や「快楽ホルモン」とも呼ばれている。
ドーパミンは私たちに数々の効用をもたらす。
ドーパミンが報酬系に関与することで、食事や運動、学習などの行動に対する動機付けや満足感を生み出す。
また、ドーパミンが高まると注意力や集中力が上がり、創造性も増すと言われている。
さらに、ドーパミンは身体の動きを滑らかにする役割も担っており、パーキンソン病の治療に用いられることもある。
■ドーパミン中毒の恐ろしい正体
快楽や集中力をもたらしてくれるなんて、ドーパミンってなんて良いものなのだろう!と思った方もいるのではないだろうか。
しかし、世の中はそんなに都合が良いことだけではない。
ドーパミンには依存性や中毒性があるとも言われているのだ。
例えば、ギャンブルやドラッグ、過度なスマートフォンの使用などは、一時的に脳内のドーパミンを増やすことで快感を得ることがでる。
しかし、そのような行動を繰り返すことで、脳がドーパミンに慣れてしまい、同じ量では満足できなくなる「耐性」が生まる。
これがドーパミンの中毒性である。
どれも簡単にドーパミンを分泌できる上、依存性が高く、またドーパミン的な幸せには終わりがない。
中にはこれらに振り回されて人生を狂わせる人もいる。
ゲームに例えるとわかりやすいが、
「目の前に目標(≒モンスターを倒すこと)を提示され、それを達成した結果、報酬が得られる(≒レベルアップやレアアイテムをゲットできる)」
というプロセスはドーパミンの分泌要素そのものだ。
しかしいつまでも同じようなモンスターばかりを倒していてもレベルの上がりは鈍くなってくる。
次第に強い刺激でないと物足りなくなってきて、どんどん強い刺激を求めてしまう。
例えば飲酒量が多くなったり、ギャンブルで一回に賭ける金額が大きくなったり、リボ払いをしてまで買い物してしまったり…
そこにかかる副作用やコストのようなものがドーパミン中毒最大の弊害といえる。
■ドーパミン中毒のメカニズムを徹底解説
ではドーパミン中毒はどのようにして起こるのだろうか?
ホモ・サピエンスは長らく、欠乏の時代を生きてきた。
食べるものや着るものは常に不足しているのが当たり前で、それらを手に入れることに一生のほとんどを費やしていた。
だからこそ美味しい食べ物や魅力的な異性を見つけたときにそれを「快」とする個体が生き残り、そのメカニズムは今の私たちのDNAに刻まれている。
また生物はホメオスタシスを備えている。
ホメオスタシスとは今ある状態を保とうとする力のことで、これによって体温や血圧が一定に保たれている。
食や異性などの「快」を見つけたときには、そのホメオスタシスを超えてドーパミンが大量に分泌される。
しかしその興奮状態がずっと続いてしまうのはエネルギーの無駄(≒生存に不利)なので、しばらく経ったら普段の状態に戻るのだ。
これがホメオスタシスの働きである。
このように、快と不快はシーソーのようにバランスを取っている。
そして、ホメオスタシスを打ち破るほどの大きすぎる「快」は後に反動で大きな「不快」を生み出すのだ。
現代ではドーパミンをいかにも簡単に分泌することができる。
コンビニに行けばカロリー爆弾であるピザやラーメンが大量に置いてあるし、インターネットでは世界中の美女のポルノを無料で見ることができる。
そのような社会では、人間が求める快はどんどん大きくなり、やがて社会的な成約を超えてまでそれを求めようとする。
ある人は朝からアルコールがないと生きられなくなり、ある人は他人の人権や尊厳を踏みにじってまで自分の欲を満たそうとする。
更には、法に反した薬物を購入するための資金を得るために更に犯罪を重ねる人までいる。
これはなにもアングラな世界だけの話ではない。
W杯やCLといったサッカー選手最高のタイトルを手にしたイニエスタが精神疾患にかかってしまったのも、世界一というドーパミンが強すぎたが故の反動のようなものだったのかもしれない。
ここまではいかなくとも、常にスマホがポケットに入っていないと心配だったり、やるべきことを後回しにしてSNSやYouTubeにハマっている人も多いのではないだろうか?
それらも立派なドーパミン中毒である。
■ドーパミン依存症から抜け出す唯一の方法
これの何が悪いかというと、それを得る工程があまりに楽チンすぎるのだ。
簡単に得られるので簡単に消費してしまい、すぐにホメオスタシスを突破して「中毒」になってしまう。
ではどうしたらいいのか?
意図的に「不快」を発生させればいいのだ。
は?と思われるかもしれない。
そりゃそうだ、誰もわざわざ自分から不快になるような行動を取る人なんていない…と普通は考えるだろう。
ところがどうだろうか。
ランニング、登山、筋トレ、サウナ、コールドシャワー、サウナ、断食、瞑想…
一般的に「苦行」とされていることにハマる人、世の中にはそれなりにいるのではないだろうか?
彼らは、意図的に不快になる行動を取ることで快と不快のシーソーをチューニングし、間接的にドーパミンを放出させている。
しかも、中毒にならない持続可能な塩梅で。
ある種の人間が何故しんどいことを自ら進んでやるのか不思議で仕方なかったけど、あれは苦痛を受け入れることで中毒にならない程度の快楽を受け入れているのだ。
現代に筋トレやマインドフルネスやサウナが流行るのもここに理由がある。
「この世は苦痛ばかりだ」「苦痛なことをしなさい」と説く仏教やキリスト教に対して、なんてニヒリズムで終末思想的なんだと思っていたけど、実は本質を突いているのかもしれない。
■運動とドーパミンの関係を理解し、賢明な筋トレライフを!
快楽を追うことが逆に苦痛を呼び寄せるなんて、誰が想像しただろうか。
苦痛なしの人生はありえない。
死や老いなしの人生がありえないのと同じで、これはおそらく覆すことのできない事実なのだろう。
したがって、苦痛を避けるのではなく、苦痛をただそこに在るものとして扱わなければいけない。
それを理解した上で、その苦痛とどう付き合っていくかを学ぶのが人生の大きなテーマなのではないだろうか。
筋トレが全てを解決するとまでは言わないが、その手段の一つとして筋トレを選ぶことは自信を持ってオススメできる。
その手段がランニングだろうと瞑想だろうと構わない。
自分の好きなものを選んだらいいと思う。
まあどれを選ぶとしても、どれも修羅の道なのだけれども…。
■おわりに
このnoteは、筋トレを始めたばかりで、しっかり身体のことについて勉強したい人をターゲットに、健康的な生き方に関する情報を論理的に発信しています。
過去にもいろいろな記事を投稿しているので、もし気になったら読んでみてください。
また、記事にしてほしいトピックのリクエストもコメント欄から募集中です。
筋トレについてそこそこ詳しい方や、実際にトレーナーとして活動されている方にとっても、「こんな考え方、こんな表現があったんだ!」という発見になってくれれば幸いです。
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