見出し画像

ニジェールの乗合バス:時刻表のないバスが教えてくれた、「ひとの生き方のスピード」と「サステナビリティ」の関係性。 (CASE:55/100)

▲「ニジェールの乗合バス」とサステナビリティ

ニジェールは私が最初に足を踏み入れたアフリカ。もう16年も前のことですが強く印象に残っています。
さてニジェールには、「電車」という言葉がありません。つまり電車は存在せず、移動は乗合バスのようなものを利用していました。

日本では、時刻表の時間になれば、利用者がいくら少なくてもバスが発車しますが、ニジェールは違いました。規定人数が集まるまで、いつ出発するか誰にも分からないのです。40度を軽く超える猛暑のなか、座り心地の悪いシートに座りひたすら待つ。照りつける太陽に耐えかねて、つい、隣のニジェール人マダムに意味のない質問をする。

「いつ出発するのでしょうね?」

すると、

「フフフ。なにを焦っているの?心配いらない。そのうちよ。インシャアッラー(神のみぞ知る)」と。

その時ふと、思いました。私はなぜこんなに生き急いでいるのか、と。

場所は打って変わって日本。
人口が減少し、公共交通が成り立たなくなりつつある鳥取県では、「共助交通」という取り組みが始まっています。時刻表はなく、必要に応じて住民同士で自家用車をシェアする仕組みです。ちなみにこれは、高齢化対策にもなっているそうで、運転手と世間話をすることで認知症予防の効果があるとのこと。移動だけでなく、緩いコミュニティ作りの機会にもなっているわけです。
ニジェールと鳥取県、状況は違えどいずれにも共通しているのは、リソースに対するコストパフォーマンスの良さ、緩いコミュニティやコミュニケーションの存在ですが、なかでもとりわけ、「スローダウンした時間」に私は着目しています。
こういう移動のコンセプトをみなが受け入れるようになれば、それに応じて、「人生の時間のスピード」がゆるんでいきます。

つまり、「サステナビリティのためには、我々自身の生活自体が、スローダウンする必要があるのではないか」ということを、遠く離れた2つのケースから考えさせられるのです。
はたまた、今のままの「生き方のスピード」は維持したままでサステナビリティを謳うなど、滑稽にも思えてしまいます。

それでは、そろそろスローダウンして、原稿書きもやめて寝ることにします。自分の主張には責任持たないといけませんから。

▲参照資料

▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。

2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.labアートディレクター/デザイナー 井上麻由

▲i.labについて

i.labは、東京大学i.school ディレクター陣によって2011年に創業されたイノベーショ ン創出・実現のためのイノベーション ・デザインファームです。東京大学i.school(2017年4 月 より一般社団法人i.school)が世界中のイノベーション教育機関や専門機関の知見を研究しながら独自進化させてきた理論知と、i.labが産業界で磨いてきた実践知の両輪で、企業向けにイノベーションのためのプロジェクトを企画·運営しています。

会社名:イノベーション・ラボラトリ株式会社
代表取締役:横田 幸信
本社:東京都台東区小島2丁目14-5毛利ビル705
URL:https://ilab-inc.jp/
問合せ先:info@ilab-inc.jp (担当:井上)

Facebook:

Twitter:

Instagram: https://www.instagram.com/i.lab_inc/
note: https://note.com/ilab_official/
Newsletter:https://onl.sc/TTJ25DP


#sdgs #デザイン経営 #イノベーション #イノベーションデザイン #サステナビリティ #持続可能性 #新規事業 #パーパス #ビジョン #未来社会 #サーキュラーエコノミー #ブランド戦略 #ブランディング #ビジョン
#ニジェール #niger #共助交通 #乗合バス #過疎化 #鳥取県 #智頭町 #slowdown