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藍と暮らす

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藍に携わることで感じたことをまとめています。
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記事一覧

「インド藍」は染料か植物か

「インド藍」は染料か植物か

 特に気にしたことのなかったことが、突然気になり出しました。気の向くままに調査してみましたら、色々と混乱した状態だったことが見えてまいりました。
 私たちが「インド藍」という言葉を口にする時、もしくは目にするとき、状況によってその言葉が染料を指したり植物を指したりしています。そもそもどうしてそうなったのか…実際に石垣島を訪れた時に初めて伺ったお話がきっかけとなり、調べてみたことをご案内しようと思い

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藍染にタデアイの茎が役にたつ

藍染にタデアイの茎が役にたつ

 タデアイの中でインジカン(藍色に発色する前の成分)を含んでいない部位として、蒅(すくも)作りでは基本的に除去される茎。
 けれどもしかして、意外と役に立ってきたのかもしれないと考えられる記述や体感があるので、まとめてみようと思います。
 藍染めの下準備にお役に立つことがあるかもしれません。

アミノ酸(タンパク質)を豊富に含む茎 タデアイの全草にアミノ酸(タンパク質)が豊富に含まれています。これ

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INDIGO SESSION vol.2 藍と絹 完成

INDIGO SESSION vol.2 藍と絹 完成

 今回はちょっと専門的な内容となっています。
 2023年12月に開催されたインスタライブ、INDIGO SESSION vol.2 「藍と絹」を編集した電子書籍を発売しました。

なぜ絹の藍染は難しい? 木綿や麻といった植物性の繊維(セルロース系)を染めるのと、絹や獣毛といった動物性の繊維(タンパク質系)を染めるのとでは、留意するべき点が違うため、染色の際の手順や工夫を変える必要があります。
 

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阿波の藍ビジネスはシステマチックだった

阿波の藍ビジネスはシステマチックだった

 noteでアカウントを作って記事を書くようになってからずっと、「藍染め 儲かる」「藍染め 儲けられる」というキーワード検索で訪問される方が後を断ちません。そして、私はその期待に応えられるような記事を一度も書いたことがありません。今回もその期待に応えるために書く記事ではありませんが、もしかしたらちょっとしたヒントになるかもしれません。

阿波大尽の誕生 江戸時代、藍染の染料となる藍玉(蒅をついて固

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藍墨『藍晶(らんしょう)』に使用する藍顔料

藍墨『藍晶(らんしょう)』に使用する藍顔料

 久しぶりに在庫を補充した藍晶。
 自分たちの畑からこの色ができていると思うと、嬉しくなります。作り始めて今年で12年ですが、墨師さんの元から墨たちが到着すると、いつも本当に嬉しいのです。

タデアイからでも沈殿藍は作れる 私の藍染めの師匠は、沈殿藍をタデアイから作ることはできないと思っていたそうです。だから、私たちが徳島県で栽培したタデアイで沈殿藍を精製していることを知った時は驚かれたと、ご本人

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藍と旅 第3回本建て正藍染展

藍と旅 第3回本建て正藍染展

 今回のテーマは軽やかですね。そして、初の東京開催です。
 藍染め石けんシリーズも久しぶりにイベント復帰します。なんだか感慨深いですが、浸ってる場合じゃない。まだ予告の段階なのに…

旅する藍の姿 今回の展示会のテーマは「旅」。藍染めは旅人に嬉しい機能満載です。ゴールデンウィークの準備に、ぜひお役立ていただきたいのが藍染アイテムの数々です。
 その機能性や歴史のエピソードを、展示会の前日4月19日

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藍の墨「藍晶(らんしょう)」販売再開について

藍の墨「藍晶(らんしょう)」販売再開について

 一昨年に販売再開した「藍染め石けんシリーズ」に続いての再開アイテムは、藍墨です。私たちの農園で栽培したタデアイから顔料を精製し、墨師さんに仕立てていただいているものです。
 この2年、藍墨を私自身がもっと楽しめるようになるために試みていたことなどに触れつつ、藍墨の楽しみや、販売再開についてのご案内をお届けいたします。

習字教室に通いました 字をきれいに書くことが苦手な私にとって、字のきれいな人

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新刊発売&展示会初日

新刊発売&展示会初日

 いよいよ始まりました。
【本建て正藍染展「藍と絹」】 in 桐生!!

絹織物の街、桐生 今回の展示会の会場は、桐生市のメインストリートと言われている本町5丁目のギャラリーです。
 ギャラリーオーナーの奥様がお話ししてくださったのですが、以前は街に機織りの音があちこちから響いて、たくさんの人が糸や生地に携わって生活していた場所だったそうです。素材にも技術にも目利きの人ばかりだから、おしゃれな人が

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本建て正藍染展 INDIGO SESSION vol.1

本建て正藍染展 INDIGO SESSION vol.1

 本建て正藍染に携わる人が集い繰り広げた、貴重なトークを記録しました。

INDIGO SESSION vol.1 伝統とは何か 同じ師匠から「本建て正藍染」の技術を教わり、継承しようと真摯に取り組む仲間たちで開催した藍染展示会。2023年の暑い夏の日のことでした。その会場で開催したトークイベントの記録を電子書籍として出版いたします。
 発売予定日は12月8日(金)です。

 パネリストはこちら。

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伝統とは何か

伝統とは何か

 大阪で開催中の「本建て正藍染展」期間中の7月8日(土)に、藍染めに携わっている人たちが集い、「伝統とは何か」というテーマでトークイベント「INDIGO SESSION」を行いました。
 コロナ禍の頃には考えられないような、満員のお客様がおいでくださった会場で、「あ!!」と気がついた事がありました。

藍や素材と向き合う人たちの共通点 パネリストの皆さんと、私たちの師匠である大川さんの言葉を思い起

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本建て正藍染展 in 大阪2023

本建て正藍染展 in 大阪2023

 明日から始まるイベントのご紹介を今日している時点で、どれほど内心で滝汗を流している状況かバレまくりの更新です。
 どうしてもお伝えしたいことがありますので、ギリギリになってもお構いなしにまいります。(大阪行きのバスの乗車時間があと3時間後に迫っている…)

本建て正藍染の仲間達 今回の展示会は、同じ師匠の元で藍染めを教わった仲間たちの作品が集います。
 栃木県佐野市で藍染めの工房「紺邑(こんゆう

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書き下ろし:幻の第8章をプレゼント

書き下ろし:幻の第8章をプレゼント

 拙著『伝統色藍 7つの秘密』をお買い上げいただいた読者の皆様へ、心からの感謝の気持ちを込めたプレゼントのご案内です。

出版から3ヶ月の間に寄せられたお声を基に 2023年3月に『伝統色藍 7つの秘密』を出版してから3ヶ月が過ぎました。
 この間、この本を手に取りお読みくださった方々から寄せられたご感想やご見解に、ドキドキしっぱなしでした。
 いやだってまだ3ヶ月なのに、本文内容を覆さなくちゃな

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久留米で資料探し

久留米で資料探し

 とにかく現場へ行かねばです。
 改めていうまでもない事なのですが。

webは便利だけれど 知りたいことは「だいたい」知ることができるwebの情報。
 でもやはりそれは「インデックス」的な情報です。
 突っ込んで深く理解したい時には有料級の情報なり資料に頼るのが、今も基本です。

 現在、次回出版予定の書籍用に取材を進めていますが、肝心なところはやはり現場へ赴かなければ分からない…ということで、

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藍染めの堅牢度

藍染めの堅牢度

 天然の染料で染めている、と言えば草木染めをイメージされることが多いと思うし、草木染めなら色褪せも色落ちもしやすいのだろうとも思われがち…
 ですが、染料の調整の仕方や染め方によっては、そうでも無いのです。

とても尊敬している絹織物の草木染め工房IKTT 草木染めのクオリティの高さで掛け値なくリスペクトしている工房が、カンボジアにあります。クメール伝統織物の工房で、絹糸を括り、草木染めで先染めし

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