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展覧会レポ:身体を体験するアート!? 国立国際美術館のコレクション展(大阪)

【約1,400文字、写真12枚】

 コレクション展「コレクション2 身体───身体」。誰の身体にも初期設定されているであろう「観る」を揺るがした体験のレポートです。

展覧会のポスター

■information
コレクション展「コレクション2 身体———身体」
会期:2024年2月6日– 5月6日
会場:国立国際美術館 B2階展示室
住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55
電話番号:06-6447-4680(代表)
開館時間:10:00 – 17:00、金曜・土曜は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし、2月12日(月・休)、4月29日(月・祝)、5月6日(月・休)は開館し、2月13日(火)は休館)
料金:一般 430円 / 大学生 130円 / 高校生以下無料
※無料観覧日:2月10日(土)、3月2日(土)、4月6日(土)、5月4日(土・祝)
事前予約:不要
所要時間:約20 – 30分
混み具合:ガラガラだけど、常に誰かいる
写真撮影:一部可能
webサイト:https://www.nmao.go.jp/

国立国際美術館 地下2階展示室

距離感

 地下2階の会場へ入ると、地下であるのに風通しの良い、スッキリした空間が広がっている。木の床に自分の足音を反響させつつ、歩くのが心地よく、背筋が伸びます。

マーク・マンダース《乾いた土の頭部》2015-16

 「乾いた土の頭部」と名付けられた作品。巨大な頭部の右半分。角度によって、怒っているようにも、笑っているようにも見えます。
 ひび割れており、今にも崩れてしまいそう(わざとそうしてある)。他者との関係、他者との境界線、そんな言葉を連想してしまいます。

高松次郎《影》1977

 「乾いた土の頭部」で他者をイメージしたあとに、巨大な影を目撃します。
 巨大な柱に影が写し出されている。会話が聞こえてきそうな影。大きな作品です。噂話をされているような気になってきます。
 さらに奥へ進むと、少し暗くなっていて…

ジョージ・シーガル《煉瓦の壁》1970

 おじさん2人が肩を寄せて歩いているのでしょうか。酔っているようには見えませんが、何かあったのでしょう。
 先に赤い扉がみえます。暖かそうに感じるはずなのに、なぜか冷たい風を感じてしまう、不思議な空間です。

これはなに?

 展示室を移動すると、ポール・セザンヌにパブロ・ピカソ、マルセル・デュシャンやアンディ・ウォーホルといったそうそうたるメンバー。凄いコレクションだなあと唸っていると、

塩田千春《トラウマ/日常》2008

 糸が張り巡らされた直方体の内部に、服が吊られています。なぜか背中合わせで。
 タイトルをみると、「トラウマ/日常」とあります。トラウマと日常が「/」で区切られている。日常とトラウマは背中合わせということでしょうか。嫌な余韻を受け取ってしまいます。

草間彌生《道徳の部屋》1976

 これは「草間彌生」作品だろうなあ、やっぱりなあぁ、うわぁ~(ファンの方、ごめんなさい)

三島喜美代《Box CG-86》1986

 あ、これはゴミだな、ゴミが置いてある。学芸員さん、間違ってらっしゃる、え? これ、作品? しかも陶器なの? これ陶器なの?? …なんで???
 モチーフはコカ・コーラのダンボールで、新聞紙が突っ込んである。でも、触って落としたら、きっと割れてしまう陶器。ううっ、…触ってみたいぜ。
 ちくしょう、刺激してくるなー。

星と内臓

ブブ・ド・ラ・マドレーヌ《人魚の領土―旗と内臓》2022

 この展示の一番奥の間は、禁断の空間が広がっています。天井には星々がうごめき、海の中にいるようです。美しいな、天井を観ながら、近くへよると、

 内蔵が少しずつ落ちていってます。それなのに、可愛らしい色をしているんです。まるで星屑みたい。

https://www.nmao.go.jp/events/event/collection20240206/



〈おまけ〉

 私は方向音痴なくせに、迷路のような大阪の地下街を歩くのが好きです。展覧会の帰り、ダンジョン気分で地下へ降り、やっぱり現在地が分からなくなり、「ベーグル専門店」という看板を見つけました。その店は「bagel&café LoL」という名前で、奈良から出店中のパン屋さん。

 色とりどりのベーグルの棚、家族のことを考えると選択の幅は無限大です。家に持ち帰り、半分に割って湿らせ、オーブンで焼くと、カリッもちっ〜! これぞ至福の噛みごたえ。

3.8/bagel&café LoL(大阪府/西梅田駅) - チョコ&チョコ (¥300)

 道に迷いながら感じる身体のドキドキ、ベーグルの食感、まだ展覧会が続いている気にさせられます。
 セザンヌやピカソもあったのに、陶器で作ったコカ・コーラのゴミ(すいません)が印象に残った展覧会。迷子になる身体は、常に私を魅了して止まない、ということにしておきましょうか。


ソース;
Webサイト 国立国際美術館「コレクション2 身体———身体」https://www.nmao.go.jp/events/event/collection20240206/


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