展覧会レポ:身体を体験するアート!? 国立国際美術館のコレクション展(大阪)
【約1,400文字、写真12枚】
コレクション展「コレクション2 身体───身体」。誰の身体にも初期設定されているであろう「観る」を揺るがした体験のレポートです。
距離感
地下2階の会場へ入ると、地下であるのに風通しの良い、スッキリした空間が広がっている。木の床に自分の足音を反響させつつ、歩くのが心地よく、背筋が伸びます。
「乾いた土の頭部」と名付けられた作品。巨大な頭部の右半分。角度によって、怒っているようにも、笑っているようにも見えます。
ひび割れており、今にも崩れてしまいそう(わざとそうしてある)。他者との関係、他者との境界線、そんな言葉を連想してしまいます。
「乾いた土の頭部」で他者をイメージしたあとに、巨大な影を目撃します。
巨大な柱に影が写し出されている。会話が聞こえてきそうな影。大きな作品です。噂話をされているような気になってきます。
さらに奥へ進むと、少し暗くなっていて…
おじさん2人が肩を寄せて歩いているのでしょうか。酔っているようには見えませんが、何かあったのでしょう。
先に赤い扉がみえます。暖かそうに感じるはずなのに、なぜか冷たい風を感じてしまう、不思議な空間です。
これはなに?
展示室を移動すると、ポール・セザンヌにパブロ・ピカソ、マルセル・デュシャンやアンディ・ウォーホルといったそうそうたるメンバー。凄いコレクションだなあと唸っていると、
糸が張り巡らされた直方体の内部に、服が吊られています。なぜか背中合わせで。
タイトルをみると、「トラウマ/日常」とあります。トラウマと日常が「/」で区切られている。日常とトラウマは背中合わせということでしょうか。嫌な余韻を受け取ってしまいます。
これは「草間彌生」作品だろうなあ、やっぱりなあぁ、うわぁ~(ファンの方、ごめんなさい)
あ、これはゴミだな、ゴミが置いてある。学芸員さん、間違ってらっしゃる、え? これ、作品? しかも陶器なの? これ陶器なの?? …なんで???
モチーフはコカ・コーラのダンボールで、新聞紙が突っ込んである。でも、触って落としたら、きっと割れてしまう陶器。ううっ、…触ってみたいぜ。
ちくしょう、刺激してくるなー。
星と内臓
この展示の一番奥の間は、禁断の空間が広がっています。天井には星々がうごめき、海の中にいるようです。美しいな、天井を観ながら、近くへよると、
内蔵が少しずつ落ちていってます。それなのに、可愛らしい色をしているんです。まるで星屑みたい。
https://www.nmao.go.jp/events/event/collection20240206/
〈おまけ〉
私は方向音痴なくせに、迷路のような大阪の地下街を歩くのが好きです。展覧会の帰り、ダンジョン気分で地下へ降り、やっぱり現在地が分からなくなり、「ベーグル専門店」という看板を見つけました。その店は「bagel&café LoL」という名前で、奈良から出店中のパン屋さん。
色とりどりのベーグルの棚、家族のことを考えると選択の幅は無限大です。家に持ち帰り、半分に割って湿らせ、オーブンで焼くと、カリッもちっ〜! これぞ至福の噛みごたえ。
道に迷いながら感じる身体のドキドキ、ベーグルの食感、まだ展覧会が続いている気にさせられます。
セザンヌやピカソもあったのに、陶器で作ったコカ・コーラのゴミ(すいません)が印象に残った展覧会。迷子になる身体は、常に私を魅了して止まない、ということにしておきましょうか。
ソース;
Webサイト 国立国際美術館「コレクション2 身体———身体」https://www.nmao.go.jp/events/event/collection20240206/
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