秋陰(季節を詠う3/4)
舞う花びらの曲線を、視線だけでなぞっては揺らぐ
ティーカップのダージリン
古さびたこの部屋で一人、
名も知らぬ歌を口ずさむの
絶えず聞こえるオルゴールの音色と掠れた私の歌声
ビロードのカーテンに、染み込んでいく
あの日、一度だけ見かけた小さな獣はどうしているのだろう。
片翼の折れた燕も、盲目の牡鹿も。
本のペイジが外れ、ひらりと落ちるセピアの写真。
はじめて恋した冬の日の、マフラーと手袋、ただそれだけ
今は亡き飼い猫の鈴の音が聞こえ、
年老いたレコードに針が落ちる。
いつの頃からか青く茂るはずの庭の木々も、
ここでは年中、薄茶に翳って、
あぁ、少し眠ろうかしらと軋むチェアーを揺らして
私は今日も、
懐かしき日の夢へと還る。
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季節を詠う 3/4
秋
今年は栗より芋推しの世間。
栗ご飯にはごま塩をかける派の私。
最後は冬
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