陽炎
遥か遠くを行く雲の行方を遮る万華鏡
笑い飛ばしたあの日の午後の残響に手を伸ばして
春を待つ僕らの指先に纏う期待と不安を
ごちゃ混ぜにして飲み干したらさ、
なんだかトロピカルな味がしたんだよ
青春を信じたあの夕暮れは確かに夢のような幻で、
そこに在った事には変わりないのに
何故だかひどく遠い日を思うような、
古いタンスの匂いがした。
声を重ねたでたらめなハーモニクス
不揃いな君の前髪
本気を遊びと読むような炎天下の
カーテンの影に恋の終わりを知った、オレンジの教室
ーー確かに僕らそこに在ったかい?
白く光るシャツ、
あの日の僕らが片手を上げて
愛しきかな、永遠を信じた我らの春の日
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