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#縄文 noteまとめ

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縄文に関するnoteで面白そうだなーと思ったもの、面白かったものをまとめていきます。
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2019年9月の記事一覧

君は人形道祖神を見たか

秋田県、湯沢あたり。昨日からの縄文巡りもいよいよ後半戦。周りの風景はさっきから田んぼか森かで統一されている。目的の考古館まであと少し、僕の気持ちもすこし高ぶっている。 その時だった。窓の外に巨大な人形が表れすぐに消える。ギョッとして思わずスピードをゆるめ、今のはいったいなんだったのだろうか、考える時間を確保する。そうだ、聞いたことがある。あれが秋田の人形道祖神じゃないだろうか。近くの横道に車を突っ込み、車をUターンさせる。やっぱりそうだ。突然現れるなんて、ビビらせやがるぜ人形

野生の絵画──淺井裕介の泥絵について・参

洞窟壁画、縄文土器、そして小宇宙──。《空から大地が降ってくるぞ》の完成を初めて目の当たりにしたとき、わたしの脳裏に浮かんだ言葉である。いずれも原始的ないしは根源的なイメージを醸し出す言葉だが、3つの言葉すべてに通底する要素を導き出すとすれば、それは「神話性」になると思う。神話とは、一義的には神聖な物語を意味するが、その詳しい内容については諸説があり、いちがいに定義づけることはできない。だが、おおむね一致しているのは、それが現実の存在とは対比されながら、その一方で、世界や文化

縄文に触れる

函館市臼尻町(旧南茅部)の道の駅『縄文ロマン 南かやべ』の隣にある『函館市縄文文化交流センター』に行ってきた。 もっと前に行きたかったが、なんだか今の今までお預け状態に。 ここはなにかというと、北海道唯一の国宝、唯一!国宝!!の『中空土偶』他、函館から出土した土器や縄文の文化に触れられるもを展示している。実際に土器の製作体験もできるようだ。 入り口の券売機でチケットを購入して、受付のおねえさんに渡すシステム。 まずは、縄文文化とは。 土器も飾られている。この向か

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秋田の南と山形の北の縄文を見にいく

秋田県の市役所にいる、飛び出した土器

どこにでもあるわけではない。それは秋田県由利本荘市の西目総合支所という施設にある。 そもそもはツイッター上でその情報を見たのが発端だった。考古館でも博物館でも郷土館でもない場所に土器か…。まあまったく無いわけではないかなと思いつつ、その写真を見ると仰け反るくらい飛び出た土器。これはけっこうすごいやつかも。そんなこんなで秋田の縄文旅の予定に由利本荘市を組み込んだ次第だ。 大曲で新幹線を降りレンタカーを借りる。由利本荘市に行く前に立ち寄った県の埋蔵文化財センターにはこんな地図があ

年末の閉館までに絶対に行ったほうがいい!縄文芸術館は逸品の宝庫

全国津々浦々、縄文時代の遺物を見て回っているわけですが、それは基本的に考古学の資料として展示されています。なのでだいたい、どこの遺跡から出て、いつの時代のもので、〇〇様式と呼ばれているものです。と書いてあります。 縄文好きはそれを「前期にしては洗練されてるね」とか「焼町にしては変わってるね」とか言って、自分の知識を深めたり、ときに知ったかぶりをしたりしながら見るわけです。私も基本的にはそうです。 そういった時代区分や出土地、形式というものは遺物を理解する役には立つのですが

縄文のビーナスに会いに行ってきた記 ~想像力と数百円~

中々いい刺激を貰えたので忘備録として。糸井さんの名コピーを添えて なんでも最近諏訪から山梨に掛けてのエリアが日本遺産というのに指定されたらしく共同でイベントをやってるそうです。 早速擬人化したビーナスのお出迎え。かわゆい! 土偶に擬人化ってのもあれだけども(笑) と建物に向かう前に遊歩道の所に棍棒を持って仁王立ちの黄門様がいる?ここ茅野だけど?と不思議に思って寄っていくと「坂本養川翁」とある。どうりで助さん格さんもお銀も八兵衛もいないわけだ。脇の看板によるとこの八ヶ岳の

火焔型土器はそんなに好きじゃない

縄文時代の代表選手でござい、と、言わんばかりの存在感がある。 それほど縄文文化に興味のない人が「縄文」と聞いてまっさきに思い浮かべる土器は勝坂でも、大木でも、ましてや関山でもない。ほとんどの人がこの火焔型土器を思い浮かべるだろう。これはいまのところの縄文の現状だ。しっかりと受け止めたい。 歴史の教科書だけでなく、美術の教科書にも載るくらいその造形美を評価され、もし縄文時代の土器型式が一つのサッカーチームだったら火焔型土器はさしずめエースストライカーか司令塔。背番号はエースナン

導かれてここにいる。千葉災害支援に

今朝、ゆっくり降りてきた言葉は、「導かれてここにいる」というものだったんだドグ。今、千葉が台風15号の被害で大変なめにあってる。なんとかしたいって多分、みんな思ってると思うんだドグ。(*´Д`)  ※今回の記事は有料ですが、無料で全文読めます。 それって、意識が何かに導かれているんじゃないドグかな?ドグ子は、昨日ふと思い出して書いたんだドグけど、ずっと田口ランディさんと縄文の神様に導かれてここ何年か不思議な体験をしてきたんだドグ。 青森県の縄文遺跡をなんとかしたいって気

縄文ファンとして考古館への提言

僕は普段から考古館巡りを楽しむ市井の縄文ファンです。縄文ZINEという雑誌を作り各地で取材をし、考古館の企画のお手伝いもたまにやっていたり仕事でも関わることもあるので、ファンを逸脱している部分もたしかにあるけれど、そのスタンスは縄文ファンでいたいと思っています。 考古館巡りーー日本全国には数限りない考古館や郷土資料館があり、この楽しみは多分尽きることはないだろうと思っています。しかし、こんなことも思う。 いつ行っても考古館は空いていて、貴重な考古資料はいつだって独占状態。ツ

その土器ください

「その土器を私にください」 もらえないのはわかってる。けどこうも言いたくなる。 岐阜県土岐市でそんな土器を見た。 私はやきものが好きで、なかでもアジア全域の古い器が好きだ。こんなざっくりしたカテゴライズだったら縄文土器も好みに入ってもいいはずなんだけど、縄文土器に他のやきものに見ているような美しさを見ることは少ない。理由はふたつあって、ひとつは縄文土器から拾える情報が多くなりつつあることで、もうひとつは単純に好みの土器が少ないのかなと思っている。 先週行ってきた土岐市美濃

クリ、翡翠、土偶=暮らし、交流、信仰。3つの視点で縄文世界を捉える-夢枕獏・岡村道雄『縄文探検隊の記録』

先日、國學院大學博物館で開催された、縄文文化発信サポーターズ主催の「縄文の思考~小林達雄×夢枕獏~」という対談イベントに行ってきました。 その対談は、小林達雄先生が「縄文はユートピアではない」「土偶は人じゃない」といつもどおりの持論を展開し夢枕獏さんがそれをなだめるという展開で、いろいろな話が出てなかなか面白かったです。 ですが、今回はその対談の話ではなく、その中で紹介されていた夢枕獏さんの著書『縄文探検隊の記録』の話。夢枕獏さんと「縄文ユートピア説」を推す岡村道雄さんが

振り向いたら目が合った

書評 縄文とケルト、ついで自分の思うこと

紀元前3000年前後のイギリスと日本の文明を比較し、遺跡や祭祀後などの比較考察をする本。 本編の大半は遺跡の描写と考察でお腹いっぱい楽しめる本なのだけど、以下のようなところがまた面白かった。 型式学的(人間は情報共有しながら試行錯誤して新しい形を探すので古墳や副葬品などの形の変移も合理的な軌跡をもつという前提の研究手法)なアプローチと、炭素年代測定の結果は結構相反していて、相互連関なく似たような文化が発生していたり、単純化したあと複雑化し、また単純化するような読めない形の