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44.ローマで就活

新しい生活にも慣れ、本格的にローマでの仕事探しを始めました。
猶予は2ヵ月しかありません。
ただ、あの頃の私にできる就職活動などたかが知れていたのです。


誰もが仕事を探している

イタリアへ来て驚いたのが、労働市場が日本と大きく違うことです。
日本では大学を卒業したらそのまま就職し、転職したとしても一般的には正社員として安定的な職を得ることを目指すと思います。

それがイタリアでは、まず学校を卒業してすぐに就職できるとは限りません。
周りを見ていると70%ほどの若者が仕事に就くことができず、海外へ行くかスタージュと呼ばれるインターンシップでキャリアを得てから就職にチャレンジする、というような感じでした。
卒業と同時に職を得られている大部分が、家業である個人事業の継承や親族雇用です。

また、定年までを前提に雇用契約が結ばれることはまれで、ほとんどが短期だし急に解雇されることも多いように思います。
1年ごとに契約更新をするような、まるで派遣社員のような雇用形態に驚きました。

そんな状況なので誰もが絶えず仕事を探しているような状態です。
空いているポストはないか周囲の人に聞いたり、インターネットで情報収集し企業に直接履歴書を送ったり。
ローマで私のできた就職活動はそれぐらいしかありませんでした。

私がローマで働くなら

シチリアのトモコさんとタオルミーナの個人ツアー案内を始めて3年半。
少しずつではありながらもお客さまが来るようになっていました。
そこで聞かれることが多かったのがローマでのアテンドです。
日本からタオルミーナまでは距離があるし、せっかくなのでローマ観光も、という方が少なくありませんでした。

それで私がローマにいるのはとても都合が良かったのです。
9月半ば、タオルミーナ旅のお客さまが1泊だけローマに立ち寄ることになり、さっそく私が案内をしました。
と言っても私もまだローマのことはほとんど知らないので、ホテル周辺を歩き一緒に食事をしたぐらいです。
でも、このタイミングでの案件に確かな手ごたえを感じ、これが仕事になっていけばいいなと思いました。

しかし、それでイタリア移住するための就労ビザが出るわけではありません。
自営業で起業するにしてもこの場合、観光ガイドの資格が必要になります。
それはとても難しい資格だし、そもそも毎年決まった時期にテストが実施されるわけでもないようでした。

就労ビザにつながらないとしても、ともかくタオルミーナへの中継地としてローマから何らかの情報発信をする必要があるだろう、ということで「ローマで暮らすなら。。。」というFacebookページをローマに着いて2週間ほどで立ち上げました。
タオルミーナ案内のブログは「シチリアを旅するなら。。。」だったので、ローマのほうは「暮らすなら。。。」としたのです。

そしてそれは今でも続いています。

就労ビザほど難しいものはない

約2ヵ月のローマ滞在で大家さんやその周囲の人たちにまで聞いたりしたものの、仕事探しは難航しました。
たとえ仕事があったとしても、就労ビザ取得の援助までしてくれるようなところがないのです。

就労ビザを発給するということは、どうしてもイタリア人ではなくその外国人でなくてはダメな仕事になります。
高い技術力や語学力、特殊な能力が必要で、それは私にはないものでした。

そもそもイタリア語さえまだまだおぼつかない状態です。
日常会話には困らないものの、突っ込んだ会話や難しい展開について行くことはできませんでした。

それでもちょうど日本食レストランでカメリエーラ(ホール担当)を募集しているところがあったので、面接だけでも受けてみようと連絡をしてみます。
しかし、確認したら就労ビザの発給まではしないとのことだったので、あきらめました。

ローマへ来て1ヵ月が経ち薄々、就労ビザはムリかもと思い始めていたころ、シチリアのトモコさんがある人を紹介してくれます。
直接的に仕事へつながるようなことはないだろうけれど、もしかしたら力になってくれるかもしれないからと言って。

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