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フラリーマン自体が悲哀な気が・・

【 フラリーマン早帰り 日高屋、吉呑みの悲哀 】 という記事より。

1 記事(コラム)の概要 

♦ フラリーマンとは?

働き方改革で激増しているはずの「フラリーマン」はどこへ行ったのか。フラリーマンとは仕事後に寄り道をして時間をつぶす会社員を指す。(記事より)

♦ 外食チェーンの狙いと現状

立ち飲み、ちょい飲み、コンビニエンスストアなどがその憩いの場になると思われていた。
SMBCコンシューマーファイナンスが3月、30~40代の男性に帰宅前消費について調査をしている。これによると「寄り道して帰る」と回答したのが54%に上った。そして寄り道先としてはコンビニが60%近くと圧倒的だった。この調査によると寄り道で支出する金額は月平均1万1000円。フラリーマンはさほどふらふらせず、帰宅しているケースが多いのかもしれない。(記事より)

♦ まとめ

① 働き方改革で早帰りでも、自宅で飲みながらゲームやSNSを楽しみたい若者が増えている。

 ② ちょい飲み需要があると動いた外食チェーン店が空振り。悲哀な状況。

③ 自宅飲みマーケティングがより注目されるだろうという見込み。

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2 皆さんはどう思いましたか?

このコラム。読む人にとっては、全然違う見方ができたと思います。というのも、

①「フラリーマン」というパワーワードに意識が行ったか?

② もともとのテーマである「マーケティング(ビジネス)」の記事として読んだか?

私は最初読んだ際には、上記①でした。「いや、まあ、帰った方がいいよね」と。それは、お金や時間の無駄遣いという視点ではなく、帰れるなら帰って子供と過ごそう、育児や家事もできるし!という私の中で当たり前の発想です。また「育児」を考えたら、飲む場所が外か中かなんて話も全然入ってこないですし。あとで、書きますが私は完全に「フラリーマン=妻や子がいる若いサラリーマン」という認識なために、こんな考えだったのかもしれません。

ただ、冷静になれば、このコラムはマーケティングの記事。「あ、でた!またフラリーマンの記事だ!」とフラリーマンの是非について議論になることを筆者は望んでいないはずです。

私も税理士として3年前頃から飲食店のお客様より、このフラリーマン需要の相談を受けていました。で、実際、早めの営業時間にしたところ、結構フラリーマンが来客したと。しかも割とフラリーマンは常連化しやすい(居場所としてくれる)傾向があり、なかなか滑り出しは良かったのです。が、・・好調だったのは最初の数か月のみでした。

最初は「働き方改革」で、今までよりも早く帰れるため、ちょい飲みに動いていたのでしょうが、残業無しが当たり前になると、フラリの仕方も「勉強」であったり「運動」であったり、または家族から「フラリ」がバレて禁止になったり。記事にあるようにより自分の時間・空間に求めたり。良くも悪くも、どうしてよいか迷っていたフラリーマンが過ごし方を見つけたのかな、なんて思いました。

飲み会のコミュニケーションを重視したい人も、記事に出てきたファストフード店でちょい飲みよりもちゃんと居酒屋でしっかり飲みを選ぶでしょうし。ファストフード店には悪いですが、ちょい飲みは意外と伸びないという話は、別に社会としては悪い話ではないかなと思いました。

3 フラリーマンについて

フラリーマンという言葉の発案者は、渋谷昌三さんで次の本にその詳細が書かれています。

フラリーマンについてこのように述べています。

♦ 従来のフラリーマン

「フラリーマン」とは、私が十数年前に書いた本の中で使った言葉です。当時は団塊の世代が一斉に定年退職を迎えていた時代でした。仕事のみに生き て家庭を顧みなかった夫たちが、定年後に家庭での居場所を失って、夜の街をわけもなくフラフラとしながら時間をつぶす姿を「フラリーマン」 と呼んだのです。

♦ 今日のフラリーマン

「働き方改革」で労働時間が短縮され、時間を持て余す30代から40代で若いフラリーマンが急増している。また、妻に家事や育児を任せてしまうフラリーマンが増えている、と書かれています。

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今回のコラムでも30代40代というワードがあるので、この新フラリーマンの定義に沿って書かれているのだと思います。例えば、同年代の独身男性や子供のいない家庭では、またマーケティングの見方が変わってきますが、私はこの「家庭に子供がいる若いフラリーマン」として今回の記事は読みました。

♦ 渋谷氏の分類するフラリーマンの種類

詳細は本を読んでもらうとして、渋谷氏は以下のようにフラリーマンを分類しています。

① アンビバレント型

家に帰りたいけれど、気が重いというタイプ。過去、育児や家事で妻に戦力外通告を受けたりしているケース(最も多いケース)

② 山頭火型

家庭を顧みず遊ぶ昭和のスタータイプ(現在は少ないという見方)

③ 自宅恐怖症型

もう帰りたいという気持ち自体の喪失(離婚やカウンセリングの域)

④ オンオフ、ちょっと気分転換したいタイプ(軽度のフラリ)

これは「型」として渋谷氏が紹介していませんが、仕事モードで帰るよりも一度お茶して、運動して元気な状態で家庭に帰りたいタイプだそうです。

まあ、④は個々の家庭やお子さんの成長具合、その気分転換の過ごし方内容によって、是非があるでしょう。我が家の場合、未就学児3姉妹なので、「ちょっと気分転換に・・」と言っていられず、退社後は1分でも早く帰りたい、という状況です笑。

特に、この本では「アンビバレント型フラリーマン」への対策がたくさん書かれていますので、該当するかなというパパママにはお勧めです。

サブタイトルの「帰る夫のつくりかた」ってのがまた、なんとも情けないですが・・。

4 まとめ(タイトル、悲哀の真意)

働き方改革の是非がいろいろと問われていますが、子供のいる家庭に関しては、やはり改革の趣旨はワークライフバランス、「幸せな家庭を築くこと」だと思います。それであれば、日常的にフラリせず、家庭で活躍するほうがよい。また、息抜きが必要であれば、男性も女性もお互いで、フラリできる時間を作ればよいのかなと思います。たまにはパパがフラリとちょい飲みし、土曜はママがフラリとショッピングとか(その余裕があればの話ですが)。

フラリーマンに関する議論を見ると、「俺は頑張っている」「私は頑張っている」「息抜きくらいさせてくれ」「息抜きする時間はこっちもない」「疲れてるから」「こっちも疲れている」と・・・こういった応酬が多く。それぞれ発信している当事者が本当に苦労していたり、辛かったり。想像できますが、読んでいて辛くもなります。

タイトルで「フラリーマン自体が悲哀な気が・・」としたのは、フラリーマン化した男性に対してではありません。フラリーマン論争が生み出されてしまう世の中が悲哀だな、という考えです。

家族みな、結局「思いやり」が重要ですよね。本当にお互いがお互いを「思いやれているか」。双方が、子供のことを思いやれているか。

ありきたりな結論ですが、そんなことを思いました。

#COMEMO #NIKKEI

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