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変化を望まなかったのか、それとも「そもそも望むことがなかったのか」

日経新聞の社説:「大きな変化を望まなかった参院選」より

※ 今日は、一応日経の記事を引用していますので、COMEMOのタグがついていますが、日記です。

♦ 政治家をどう選ぶべきか

橘玲さんの「不愉快なことには理由がある」という著書があります。コンセプトは、「たったひとつの正しい主張ではなく、たくさんの風変わりな意見を。」というものです。その中から引用。

「日本を救う政治家を選ぶ方法=直感で決めればいい」

授業風景を撮影したビデオを大学生に見せて、その教師が有能かどうか判断させるという実験があります。それを1学期終了後の評価と比べてみると、ほとんど違いが無いことがわかりました。-略- この実験には5秒と2秒のビデオを使われました。わずか2秒でも、学生たちの判断はその教師の授業を何度も受けた学生と大差がなかったのです。この知見を選挙に応用すれば、告示直後に公共放送で各候補10秒の映像を流して、翌日投票すればいいということになります。(73-74頁)

という話から始まり、もっと科学的にやるなら「声の周波数分析」もいいよ。我々は、ハミング音で誰がボスなのか見分けられる、理性をはるかに上回る「直感力」をもっているのだから。もう、科学の力を使って決めちゃおうぜ、研究結果も出ているんだしさ!といった話が書かれています。

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まあ、これは「素晴らしい」「採用すべき!」という声を橘氏も望んでいないでしょう。それだけ選挙が無意味なものになっていないか?という問題提起だと私はよみました。

私は、今回も投票先を悩みました。実現してくれるか、不信感を持ちながらも、公約も読みました。30代になり、友人や知人に政治家が増えてきましたので、選挙活動がどれだけ大変で、また本人だけでなく支えている人々も必死に頑張っていることを知っています。今回も、そんな友人や知人から、「誰々に一票を!」なんて話が多数ありました。ただ、よく知っている本人ではない限り、自分でよく考えさせてほしいという事で決めました。選挙活動ではなく、その後の活動こそ頑張ってほしい。その方向性が見える人、政党を応援したいという思いで。

♦ 年齢別の投票率から思う事

記事には、

投票率は史上2度目の50%割れだった。参院議員には不本意かもしれないが、「中止になった一軍戦の穴埋めに開かれた二軍戦みたい」との声も聞いた。

とあります。今までの年齢別の投票率は、総務省によると以下のようです。

今回も投票率だけでなく、この年齢別の投票率が気になりますね。

■ 20代の投票率からの私見

私はもちろん多いに越したことがないですが、現状、20代の投票率を上げることは非常に困難だと思います。私は今、専門学校の講師をしていて18歳~22歳の学生と接する機会がありますが、「完全に無関心」なんです。

私「れいわ新選組とかすごく盛り上がっているけれど、youtubeみた?」
学生「れいわ・・?山本たろう?」

・・あれ?

私も20代前半の頃は、正直、無関心でしたが、政治家の名前や各政党がどんな政策をしたいのかくらいは知っていました。テレビを見ていれば、ワイドショーでもバラエティでも政治の話題は出てくるし、政治家も出演しているし。でも、この10年以上で「テレビ離れ」が進みました。テレビがいい、悪いではなく、「本当に自分の興味がある分野」以外の情報が入りにくくなっているのだと思います。(もちろん、20代でもすごく政治に興味を持っていたり、みんなで選挙にいこうという人たちもいます)。

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情報が溢れている中で、日々お気に入りのカテゴリーのものを収集し。日々検索し。私も例えば、膨大なnoteの記事の中で、フォロー機能を用いて情報を選択し閲覧しています。

私の中での「常識」が、世間の常識ではなく、自分でカスタマイズした世界での「常識」になっている感覚もたまにあります。

情報が「一般」ではなく、より「専門的」「高度」なものを個々が求めているような。

今までは仕事で言えば、業界の常識。日本にいれば、日本の常識、町の常識。形式的というかマクロなカテゴリーでしたが、多様性が尊重され、情報社会となる中で、「なぜ選挙に行かないの?」という常識観もまた、通用しない部分が出てきているように感じるんですよね。

単に昔のように「まあ、若者はまだまだ興味ないのが当たり前でしょ」という認識ではなく。私自身は、知らぬ間に無関心ながら、心に「政治の種」みたいなものが撒かれていて、「仕事」や「結婚、子育て」など、人生の変化のタイミングでも花が開きました。将来的に興味をもつための「政治の種」が撒かれる場(テレビやネット、実際の演説の場など)に無関心なら本当に行かなくて良くなったこと。今後も、投票率の面では危険な状況なんだろうと思います。

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■ 同年代(30代)の投票率について

私は、この代の投票率が重要だと思います。せめて50%を超えてほしい。

一般に社会人となり10年以上たつ世代です。所得税や社会保険も10年以上納めてきました。消費税なんて30年以上納めてきたベテランです。税だけではなく、教育サービス等の公共サービスを受け、人によっては、子育ても始まっている。過去の政治と社会を見てきたからこそ、将来のことを自身だけでなく、社会全体を通して考える機会が出てきた世代。社会全体を考えることが、結果、自分や自分の子供たちの将来にかかってくることを把握しはじめている世代なのかなと思います。

・・私も中盤なので、偉そうなことは言えません。あくまで、願いです。


♦ まとめ

いろいろな意見を見ました。「私は、断固として選挙に参加しない。これが私の現政治への主張だ」という人もいれば、「よく分からないのに投票することが一番非合理的」という人もいます。

「ネット投票」を導入すべきとか、「投票所もっと増やすべき」とか。

私も、「選挙に皆が関心をもつこと」という理想は、ずっと持っています。職業的にも税の仕事をしていて、納税者の意見を日々聞いています。税制改正もじっくり確認しています。ですから、よりその想いが強いと思います。

でも、世の中が「多様化」していくと、政治や選挙制度自体も、抜本的に変わる必要があるのかもしれませんね。・・それとも「社会」そのものか。

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社説のタイトルは「大きな変化を望まなかった参院選」

投票した人は、前回も今回もそう、投票行動に大きな変化が無かった。

それ以上に、政治家の方々や政党に対し、「なにかを望んでいる人々もまた、増えなかった」。残念ながら、そんな感想です。

#COMEMO #NIKKEI

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