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男性の育休取得率、6年連続上昇。あれ、でも【 有効回答率 】は減少傾向・・

厚生労働省は4日、育児休業を取得した男性の割合が2018年度は6.16%だったと発表した。前年度から1.02ポイント上昇し、比較できる1996年度以降で過去最高だったものの、20年までに13%とする政府目標には依然開きがある(日本経済新聞)。

そうか。確かに、税務・経営の仕事をしていても、お客さんから男性の育休相談の話がよく出るようになりました。

ただ、記事を読み進めてみると・・

調査は全国の6131事業所(従業員5人以上)を対象に行い、61.9%から回答を得た。

とあります。パッと見の印象。・・少なくないか?統計が得意でもなく、根っからの文系人間なので、この有効回答が6割という事がどうなのか分かりませんが、気になったので、最近6年間の調査内容を比較してみました。

(参照サイト)

エクセルで必要な資料のみ比較してみました。

過年度比較で言えば、やはり今回の速報で出た有効回答率は、低い。有効回答率と男性の育休取得率の推移をグラフ化すると・・

おお!綺麗に真逆な動きをしていました。

では、・・もしかして、無効な回答が、「育休未取得」なために調査票を提出していなかったら?そんな仮定で、育休取得率を再計算してみました(なぜ有効回答数が減ったかの真相は分かりませんので、あくまで仮定です)。

するとこんなグラフ。

私の周りでも男性の育休取得率は上がっていますので、さすがに無効な回答が「すべて育休未取得」だと仮定しても、6年連続上昇に変わりはありませんでした。

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ここからは私の憶測なのですが、この有効回答率の減少傾向。世の中的に、育休取得、特に「男性の育休取得」の認知度が上昇してきたことに起因しているのではないでしょうか?

5年前、本調査に回答する企業は

「女性への育児休暇?与えているよ!男性?それはさすがに与えてないよ。周りからもそんな制度、聞いたことが無いからさ。」

みたいな感じで、特に悩まず、答えていたのではないでしょうか。それが最近は、

「男性の育休は考えてないな・・。でも今、話題だし。与えなきゃなんだけど。まあ、アンケートだし、調査票は出さないでおくか・・」

・・そんな経営者の声が聞こえてくるような気がしました。

(この調査は以下PDFのように、男性の育休以外にも介護や時短労働者等、様々な調査項目がありますので、総合的にこういった現象が起きているのかもしれません。また最近、こういった調査も多いため、働き方改革に困惑したり、反発している事業所もあるのかもしれません。)

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男性の育休制度についてこんな記事があります。

男女間の平等、女性の社会進出、いろいろな面から難しい問題ですね。

私は、単に育児休暇を取り入れても、記事にあるように「1週間だけ」とかであれば、それは企業が制度を「ただ取り入れただけ」で、あまり家庭に効果はないと思います。やらないより、やる方が前進かもしれませんし、「子育てにはパパも当然必要な存在だ」と当人が「気づく」ためには有効かも知れません。ですが、気づいた一方で、その後、残業が続くなど、企業の本質的な部分が変わらなければ意味がありません。

我が家も未就学児が3人います。今も、下の子(双子)が2歳なので、朝に早出残業をしたりして、できるだけ定時付近で帰るようにしています。妻も出産後、1週間休暇を取るよりも、その後、定時で帰ってくれる方が断然嬉しいと話していました。

「義務化」という言葉は大変強いもので、「改革」にふさわしい一方、子育て・社員の幸せ・企業の成長、あらゆる視点からより「最適」なものであるべきです。もし、赤ちゃんの時は育休を与えたのだから、その後は「会社人間」になれ、という風潮にでもなれば、本末転倒です。男性の家庭での活躍を・・と記事にもありますが、家庭活躍は、子供が歩き出してからも変わらず大切なことです。その社会を目指すためには、何が必要か。

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根拠のない勝手な憶測で展開しましたが、現実、育児休暇に関しては認知度の上昇とともに、経営者からの相談も増えています。この有効回答率の減少傾向が、私の周りの現実と妙に合致し、調査票を出しにくい雰囲気が伝わってくるような気がしました。義務化!義務化!の前に、この雰囲気から、各々の企業が、改善しなくては・・と良い方に積極的に動き出せれば良いですね。


関連note 【 形式よりも実質重視の働き方改革の重要性 】↓

#COMEMO #NIKKEI


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