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『池袋モンパルナス』を読み解く〜エピローグ〜

池袋西口通信社は、「池袋モンパルナス」について情報を集めてきました。これまで宇佐美承が著した書籍『池袋モンパルナス』(集英社)を読み進めてきましたが、今回の投稿で最後になります。10ヶ月間お読みいただきありがとうございました。
さて、エピローグではどんなお話が紹介されるのでしょうか。舞台は、戦争末期から戦後にかけて池袋モンパルナスの終焉とその後が描かれています。早速みていきましょう!

エピローグでは、空襲の被害を受ける池袋モンパルナスが描写されています。
画家たちの多くは徴兵され、かつての活気を失ったアトリエ村では、幾人かの画家たちが焼夷弾やその後の火災に翻弄されました。警防団さえ逃げ出す中、画家たちはアトリエ村をなんとか守ろうとしているようでした。
彼らは作品だけでなく瓦礫に埋もれた人も助けたようです。警防団が逃げて絵描きが人を助けるなんて、と笑いあったそうです。

やがて終戦を迎えますが、中でも非常に画家らしい発言を残した人がいました。佐田勝です。彼が、終戦を迎えと「やっと廃砲が描ける」と言ったそうです。
戦時中、壊れた武器や戦闘機などを描くことは敗戦を象徴するとして禁じられていました。そのため、「戦利品」などのようにタイトルを変更せざるを得なかったようです。画家らしい、といえば池袋の仙人熊谷守一のエピソードもあります。彼は戦時中であっても自宅の池にたたずんで、B29を眺めたり、自室でチェロを弾いたりしていたようです。

やがて池袋は高度経済成長期を迎え、みるみるうちに近代的な都市に変貌していく様子を描き、話は終わります。画家たちの華々しい時代が終わり、ぼんやりとした未来にため息をついて。いかがでしたか。この本は1990年に執筆されなければ成立しなかったと思いました。なぜならば、当時の池袋モンパルナスを知る人がまだたくさんいたからです。今はもう誰もいなくなってしまいました。池袋の文化史や日本の近現代美術史を学ぶ貴重な本でした。ぜひ皆さんも機会があれば読んでくださいね!ありがとうございました。

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