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アバター2はどちらで観るべきか〜ドルシネとIMAXの両方で観た感想〜

アバター1(ジェームズ・キャメロン3Dリマスター)をDolby CinemaとIMAX with Laserの両方で観覧してきたので、どちらが良かったのかなどを項目ごとに纏めます。

現在上映中のアバター1にも、年末公開予定のアバター2(ウェイ・オブ・ウォーター)にも当てはまる内容になると思いますので、参考にしていただければ幸いです。(*2022年9月29日現在)

▼プロローグ〜13年前〜

私の思い出話に興味がない人は次章までスキップしてください。(笑)

2009年の暮れ。いや、明けて2010年の初春でした。私は当時住んでいた東京葛飾区から1時間以上電車を乗り継いで、神奈川県川崎市に向かいました。当時、関東には数えるほどしかなかったIMAXシアターで話題の超大作を観覧するためです。その映画の名前は、アバター。

一度すでにTOHOシネマズ錦糸町で観覧済みだったのですが、どうしてもIMAXで体験しておきたくて、客足が少しは落ち着いてきた頃にラゾーナ川崎まで足を伸ばしたのでした。

劇場は文字通りの満席。ネット予約でどうにか買えた後方の席で、私はそれを初体験しました。ものすごい迫力。なるほど、これがIMAXなるものか。強く心に刻まれたのでした。当時iTunesで映画を観ることが多かった私ですが、劇場でなければ体感できないことがあると認識を改めました。

それから数年でIMAXシアターはどんどん増えて、IMAX上映作品を観覧する機会も増えましたが、正直”あのときのアバター”ほどの魅力は感じられない作品が続きました。実際にIMAXカメラを使わないで撮影したのにIMAXシアターで興行をかけるような通称ライマックス(嘘のIMAX)の作品が多いのも理由の一つだったでしょう。

アバターの後にほとんどのブロックバスター映画が3Dで上映されるという時期もありました。好意的に捉えるならば「映画館だけの価値を提供する」という側面があったかもしれませんが、穿った見方をするなら「3D追加料金を取れる」「劇場内の盗撮に対抗できる」という劇場側のメリットを優先しただけのようにも感じます。何より、もともと2Dで撮影された映画をデジタル加工して擬似3D映像にしているので、見た目が不自然で気持ち悪いという側面もありました。

そんな中、インターステラーやダンケルクのようにIMAXをフル活用したタイトルも公開され、最近ではIMAXカメラの普及やIMAX社の品質管理も徹底されて大ハズレの映画をIMAXシアターで観ることはほぼ無くなってきました。(*シンプルに私が”学習”して映画の仕様や予告編を見るだけで中身を正確に予想できるようになっただけかもしれませんが:笑)

さて、時は経ち2022年。2009年のアバターが最新技術(4K、HDR、HFR)でリマスターされて再公開されるというニュース。それも現在はめっきり数が減った3Dでの上映です。私は心躍りました。

▼結果発表〜2022年版のナンバーワンは???

結論を急ぎましょう。

公開された金曜祝日から3日間で3形態を観覧して、、、
プレミアムラージフォーマットを一通り観覧して、、、

私のナンバーワンは【ドルビーシネマ吹替版】です。🎉🎉🎉👏👏👏

根拠)
・画面の美しさは互角(目が良すぎる人はIMAXが良いかも)
・臨場感と3D効果はHFRで飛躍的にアップ
・明るさ重視ならドルシネ
・大きさ重視ならIMAX
・音響重視ならドルシネ
没入感は圧倒的に吹替版

キャメロンが意図してるのは、映画を”観る”ことじゃなくて、映画の中に”入り込む”ことですから。【没入感】を最優先するなら【字幕なし】が最高です。いつもは字幕で観てる人達にも、本作だけは吹替版を強く推奨します。これ本当なので、ダマされたと思って吹替版で観てほしいなあ。

あとは音響の良さでドルシネを推奨します。映像ではほぼ互角の戦いですが、音響の定位と迫力では完全にドルシネに軍配が上がります。

2022年10月15日追記:
IMAXレーザーGTは規格外なスクリーンの大きさで迫力を得られますが、HFR非対応なのでアバター2が提供する”体験型の映像”は著しく損なうと思われます。私の感想ですが、誇張なしで”没入感”は50%くらい低く感じました。ぜひドルシネかIMAXレーザーの劇場をご検討ください。

2022年12月14日追記:
グランドシネマサンシャイン池袋では、アバター2をHFR上映することが告知されました。ただし映写機の制約から解像度は2Kに落ちます。つまりアバター1とアバター2では当該劇場のIMAXレーザーGTの仕様が変わります。画面サイズから考えて2Kに落ちるのは個人的に残念ですが、本作のセールスポイントがHFRなのでこれが配給側の出した結論ということになるでしょう。
(12月13日 グランドシネマサンシャイン公式Twitter
(12月14日 GRO様Twitter:劇場に電話問合せした方)

ここで離脱しても良いですけど、このnoteに高評価を押していくのを忘れないでくださいね。(笑)

▼解説〜項目ごとに細かく:

●解像度

美しい4K映像が堪能できました。

プレミアムラージフォーマット(=Dolby Cinema; IMAX with Laser)で観覧すれば4Kと考えて間違いないようです。レーザー表記(with Laser)のないIMAXについては映写機の仕様限界で4K上映は不可能なのでご注意ください。イオンシネマについては未確認です。

2009年版のオリジナル撮影時点で2Kのデジタルカメラを使っていたので、実写シーンについては最新のデジタル処理でアップコンバートされたようです。目が良い人であれば俳優の顔のアップなどで微かな画像の粗さに気づくかもしれません。ただし、非常に丁寧に4K処理されているので、普通に観ているぶんには殆ど気になりません。

私の場合は、画面が特に明るいDolby Cinemaでは前方に座った時に少しジャギーに感じる箇所がありました。IMAXでは適度に暗いので全く気になりませんでした。(*これについては最初から4K以上で撮影しているアバター2では解消すると予想されます👍)

一部で「ドルビーシネマは3D上映時は2K解像度である」という情報も見かけましたが、それは120fpsで上映された『ジェミニマン』の事例と混同していると思われます。ドルシネの映写機は、性能上は48fpsで4K上映が可能です(2022年の海外記事による)。

https://www.trustedreviews.com/explainer/what-is-dolby-cinema-3982730

というか、実際にこの目で見た私が(少なくとも2019年4月施工のMOVIXさいたまの場合は)4K画質だったと保証します。(*信じるか信じないかはあなた次第です)

●フレームレート

通常映画は24fpsですが、その2倍である48fpsを堪能できました。

プレミアムラージフォーマット(=Dolby Cinema; IMAX with Laser)で観覧すればHFR(Higher Frame Rates)対応と考えて間違いないようです。イオンシネマと、レーザー表記のないIMAXについては未確認です。

私が観覧したMOVIXさいたまでは上映前にスタッフが「本作品はHFR上映であるため予告編などがございません。この後すぐに本編から始まりますので3Dメガネを着用してお待ちください」と案内していました。

IMAXレーザーGTは、HFR上映時には4Kが不可能です(2019年の海外記事による)。よって当該タイプの劇場は4KとHFRを天秤にかけて4Kを選んだようです。レーザーGTは超巨大画面が売りなので解像度を優先した結果でしょう。スクリーンが大きいほど画像の粗さは目立ちますから合理的なチョイスだと言えます。

https://lfexaminer.com/2019/08/the-imax-laser-dome-system/

ただ個人的には、HFRは「(アバター1に限れば)あってもなくても良い」くらいに感じました。

そもそもHFRは映画ファンには不評であるという背景があります。映画は24fpsであることで人間の動体視力が1コマ1コマを見分けることがギリギリ可能で、これによって画面から力強さを感じることができるからです。翻ってテレビやYouTube等で使われている60fpsは、動きがスムーズになりこそすれ、画面が軽くなってしまうので、ソープオペラSoap-OperaエフェクトEffect(=日本語訳すると『昼ドラ効果』)と呼ばれて敬遠されてきました。

最近の高級テレビには24fpsをHFRに自動変換するモーション・スムーズ機能がついてる機種も多く存在しますが(むしろ主流です)、トム・クルーズがわざわざ動画で「ミッションインポッシブルを観るときは、その機能をオフにしてね!フィルムの味わいが失われてソープオペラみたいになってしまうんだ」とTwitterでメッセージを送ったこともありました(2018年の海外記事による)。

https://www.theguardian.com/film/2018/dec/05/tom-cruise-motion-smoothing-interpolation

この自動60fps補完機能は、私もあまり好きではないです。

何でもかんでもスムーズに動かしてしまうので「抑揚」や「溜め」や「ケレン味」が感じられないんですよね。

しかし今回ジェームズ・キャメロンは、こうしたHFR不評を打破するべく、TrueCut Motionという新技術を採用しました。これは「従来の24fpsフィルムの味わいを残したままフレーム数を上げるソフト」ということで、同社のウェブサイトやYouTubeチャンネルでデモ動画を見ることができます。(2022年の海外記事による

https://blog.son-video.com/en/2022/08/avatar-and-titanic-in-4k-hdr-and-hfr-how-customized-high-frame-rate-will-revolutionize-movies/

なるほど。流石はキャメロン先生、次の時代を見つめているからこその判断だったようです。彼はいつも驚きと革新を提供してくれます。

思い返せば2009年のアバターだって「3Dなんて子供騙しのオモチャで大人が楽しめるものではないでしょ」みたいな風潮があったのをぶち壊した作品でした。それを2022年はHFRでやろうとしているのかもしれません。

想像するに、従来のHFR化は単純にコマとコマの平均値(中間値)を取って描画していたところを、TrueCut Motionでは【前後数コマ〜数十コマの内容を分析して加速度や速度を反映させる】とか【動きによって生じるブレを適切に描画する】プログラムになっているのかなと推察できます。(ただの推測です)

こんな感じでキャメロンの究極奥義として放たれたHFRでしたが、前述した通りで、個人的にはあまり必要だとは感じませんでした。(*当初は)

というのも、物語の面白さには直接影響しないからです。

アバターは物語だけでも十分に面白い作品です。王道の展開に、手堅い脚本と演出が光ります。ミニチュア製作を趣味に持つキャメロンだから作れる絶妙な間合いのアクションシーンも満載です。当時だって革新的な3D映像が宣伝文句ではありましたが、それだけで世界興行収入歴代No.1になれるものではありません。ましてや某エンドゲームのように10年間20作品以上をかけて育て上げてきたファンダムも持ってない、ぽっと出の単発作品として売れたんですから。

HFR効果で確かにスムーズにはなりましたが、やはり24fpsからAIで作っただけあって、どこか不自然な感じは消せきれてなかったです。飛行機が旋回する場面など、最初からコンピューターで単純に制御した動きの場面はとても自然に見えましたけれど、ネーティリが黒い肉食獣に乗ってジャングルを疾走する画面はかなり不自然に見えました。まあ動体視力の良し悪しなど個人差もあるので、こればかりは感覚の問題かもしれません。私は敏感な方だと思います。

そういう意味では、ラストに追加されたアバター2の先行映像チラ見せでは、最初からHFRで作成したこともあって、ナチュラルさが異次元レベルのとんでもないスーパー映像になっていました。これなら意味があると私も思います。アバター2ではHFRの重要度が更に跳ね上がるかもしれません。

2022年10月15日追記:
後日、IMAXレーザーGTでHFR非対応のバージョンを観覧して考えが大きく変わったので追記します。

アバター2ではHFRの重要度が劇的に跳ね上がると断言します。

こればかりは多少無理をしてでも、例えば地方にお住まいの方は年末年始の旅行に絡めるなどしてでも、HFR対応の劇場で観覧するべきです。

アバター2はHFRで観ないと意味がありません。

IMAXレーザーGTでHFR非対応を鑑賞しました。アバター1については正直そこまで大きな恩恵を感じなかったのですが、ミッドクレジットで流れたアバター2先行映像については、悪い意味で「完全に別物」でした。

HFRが無いので、まず水のリアリティと透明感が致命的にダウンしていました。さらに俳優の演技についても、唇や目などの表情の細かい動きや変化が削られて、情報量がガッツリ削られて、臨場感は大幅に消失していました。

アバター2は絶対にHFRで観るべき案件です。
大事なことなので何回も書きました。

●明るさ

これは完全にDolby Cinemaの勝利です。

Dolby Cinemaはとんでもなく明るかったです。

ドルシネは明るいだけでなく暗い部分はより暗いので、夜間のシーンの美しさや、爆発などの閃光がより映えるという効果もありました。刺激の強さでは映画館としては最上級レベルでしょう。

ただし私の場合は、適度に暗いIMAXの方が(暗いと言っても通常の映画館よりは明るいです)、実写パートの2K撮影素材のアラが目立たなくて良かった面もありました。派手じゃないシーンはIMAXの方が快適でした。(*これについては最初から4K以上で撮影しているアバター2では解消すると予想されます👍)

ただし、思わぬ副作用として、ドルシネは明るすぎて字幕が眩しかったかもしれません。(*これは私が吹替版を推奨する理由の一つでもあります)

●スクリーンサイズ

これはIMAXの勝利です。

デカければデカイほど良いです。以上!(笑)

DolbyCinema MOVIXさいたま:13.9 × 5.8
IMAX ユナイテッドシネマ浦和:18.2 x 9.2
IMAXGT グランドシネマサンシャイン池袋:25.8 x 18.9

ちょうど良い比較画像があったので紹介しておきます。

https://mods.org/?page_id=115

ぜひ現場に行ってスクリーンの大きさを体感してください。

●音響

これはDolby Cinemaの勝利です。音響が(音質/音量ともに)良すぎます。

ドルシネを体験した後だと、IMAX(少なくとも浦和パルコのIMAX)の音響では物足りなくなりました。

これはIMAXの部屋がドルシネより大きいのも影響しているかもしれません。部屋が大きくなれば、そのぶんスピーカーに求められる性能も上がります。

立地条件が最大音量に影響しているかもしれません。それこそユナイテッド・シネマ浦和なんて浦和パルコ6階ですから、階下のレストラン街での騒音問題には注意を払うところでしょう。

その点、立地が1階の大阪エキスポシティと映画館が積み上がった最上階のグラシネ池袋のレーザーGTは音量の制約が無さそうです。私はアバターこそ未観覧ですが、過去に大阪エキスポで観た2001年宇宙の旅や、グラシネ池袋で観たダンケルクとNOPEは相当ヤバかったので、アバターでも無双している可能性はあります。(笑)

2022年10月15日追記:
後日、IMAXレーザーGTでHFR非対応のバージョンを観覧しました。期待通りの轟音でした。(笑)

●字幕

字幕はIMAXの勝利でした。

まず、そもそも無いに越したことは無いので、私は吹替版での観覧をお勧めします。没入感が大幅にアップしますから。下手なタレントの声優起用もないですし、安心して吹替版でご覧ください。

ふだん字幕なしで英語の映画を鑑賞してる私が強く推奨します。実は今回のリマスターの鑑賞前日に自宅でBlu-rayを観たのですが、字幕なしで観たので、ぶっちゃけ映画館の字幕ありよりも没入感がありました。それくらい「画面に文字がないこと」は重要です。

加えて、アバターの日本語字幕担当者はあの悪名高き戸田奈津子氏です。本作でも妙チキリンに明るいワードチョイスや、クウォリッチ大佐に対する言葉遣いが軍人とは思えないくらい無礼で非常識な主人公など、常識をわきまえた人間から見ると違和感のある字幕が多いです。また戸田氏の持ち味である不必要な意訳など英語がわかる人間から見ると集中力のジャマになる字幕も多いです。吹替版にはこれらのトラブルは全くありませんでした。

しかし、それでもオリジナルの言語と音声で聴きたいのならば…

Dolby Cinemaは画面が明るすぎるのか、やや字幕が読みにくいときがありました。 

一方でIMAXは文字が黄色で眩しすぎず、画面にうまく溶け込んでいました。

今回字幕をまじまじと見つめていて気がついたのですが、字幕の表示位置がシーンに合わせて前後に動いていました!

例えば、俳優の顔が超アップの時は字幕も手前に出るし、もう少し奥の方に主要人物が映っている時は字幕も奥に出るのです。劇中に何度か3Dメガネを外して確認したので間違いありません。

この方法を使うことで、映画の展開に合わせて焦点距離が変わるので、難なく字幕を読むことができました。これは普通の3D映画でも導入されている手法なのでしょうか。これまでは気づきもしませんでした。少なくともキャメロンは各国の字幕作成チーム用に「この字幕はこの位置で」という指示書を書いているのでしょうね。すごいこだわりです。

●3D品質

これは互角でした。しかも、ものすごく高いレベルでの話です。

強いて言うならDolby Cinemaはメガネをかけているとは思えないくらい明るく見えました。ただ、いざ映画が始まってしまえば慣れるので、そこまで重要ではないと思います。

衝撃だったのは、IMAX字幕の位置調整に気づいた時に分かったのですが、3D自体も奥行きに合わせて観客本人が焦点距離を合わせるように出来ていることです。これ文章で伝わるかしら。不安です。(苦笑)

私はてっきり3D映像では、人間側の焦点距離はずっと同じで、映像側でピント位置を調整しているのだと思っていたのですが、今回のアバター3Dリマスターでは、奥行きに合わせて人間側の焦点距離も調整する必要があったのです。

それは実際に普段過ごしている時の感覚とよく似ています。リアル世界で人物や小物や風景を見るときと同じように、ナチュラルに焦点距離を調整するように映像を観ていたことに気づきました。

一般的に「3D映画は疲れる」という悪評があると思います。私もそれを時々感じます。しかし今回のアバター3Dリマスターは不思議なほど疲れないんです。これはナチュラルな焦点距離調整が仕組まれているからなのかもしれないと思いました。

進化した3D映像の本当の価値は、実はここにあったのかもしれません。

一点だけDolby Cinemaで気になったことがありました。レンズのフィルター色に近い一部の鮮やかな色の距離感はバグって見えました。具体的には紫に光る花や鳥が浮いて見えました。

ドルシネは左右のプロジェクターから異なる波長のRGB光源を用いて立体視を実現しているので、ほんの一部の色では左右が干渉して距離感が狂ってしまうようです。映画全体の中では些細なことでありますが。なおこれはドルシネの強みである明るさとHFRを実現するためのトレードオフだと思われます。

>プロジェクター側からはホイール型フィルターを排除。代わりにRGBと、最初から20nmずつずれたR'G'B'という6原色のレーザーを光源とすることで、立体視を実現させている。スクリーン輝度は、観客が3Dメガネをかけた状態で、14フートランバート以上を達成している。なお、同システムは最大120HzのHFRにも対応している。

https://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/1443732.html

2022年11月15日追記:
一点だけ、とても大事なことを思い出したので追記します。

私は色覚のクセが強いらしく、青色が普通の人と少し異なって見えるようです。よくある赤色と緑色を区別できない色覚異常とは違って、私は黄色が緑色に寄って見える傾向があります。なおこれまでの人生で、同じように見える人には一度も出会ったことがありません。このため私がドルビーシネマ3Dで知覚した紫色の違和感は、多くの人は感じないかもしれません。

●3Dメガネ

IMAXレーザーの勝利でした。

Dolby Cinemaは重くて、構造的に曇りやすかったです。マスクしてると余計にね。

IMAXレーザーは軽くて快適でした。

●アスペクト比率

これは互角でした。Dolby CinemaもIMAXも1.78:1だと思われます。

一部の映画オタクの間では、スクリーンサイズとDCPが合ってないという不満が、勘違いも含めた虚実入り乱れての阿鼻叫喚の嵐となっています。冷静に俯瞰して見ると、アスペクト比率はシンプルに1.78:1の一本だと思われます。IMAXシアターで左右に僅かに黒帯が入っていましたから。

●入場特典

IMAXではA3サイズの非売品ポスターを貰えました!

IMAXシアターではこうしてポスターを貰うことがあるので、自宅では丸めずに額縁に入れて保管しているのですが、現在はこのアバターを最前列にしています。

飾るとなかなか良いものですよ。

取り急ぎ、項目的にはそんなところですかね。
残り一週間の限定上映なので、なるべく多くの人に観てもらいたいです。

▼劇場比較にアバターが向いてる理由:

ずばり『アバター』は脚本と演出がよく出来ているからです。

今回同じ作品で比較したことでIMAXレーザーとDolby Cinemaの違いが非常によく実感できました。こんな短期間での行脚をするつもりになれたのは、アバターが何度観ても面白い作品だったからに他なりません。

アバターは物語だけでも十分に面白い作品です。王道の展開に、手堅い脚本と演出が光ります。ミニチュア製作を趣味に持つキャメロンだから作れる絶妙な間合いのアクションシーンも満載です。当時だって革新的な3D映像が宣伝文句ではありましたが、それだけで世界興行収入歴代No.1になれるものではありません。ましてや某エンドゲームのように10年間20作品以上をかけて育て上げてきたファンダムも持ってない、ぽっと出の単発作品として売れたんですから。

#映画が教えてくれたこと
続編に名作なし。 …を打ち破るのはかなり難しい。

というのが私が30余年映画を観てきて学んだ教訓です。偉大な傑作が生まれた時に、それを上回る続編制作というのは統計的には事実上不可能なレベルであり、稀にみる例外は本当に例外中の例外だから注意が必要です。

*私がパッと思いつくのはこのくらいです。

映画スタジオがヒット作の続編を制作するのは、既存ファンが観にきてくれる可能性が高いから(黒字になる可能性が高いから)であって、前作を超える作品の材料が揃ったからであることはほぼありません。映画というのは観る前にお金を払うシステムなので、顧客の期待値が高ければそれで十分という性格があるからです。

ターミネーターが1より2の方が面白いと言えるのは、1991年当時画期的だった液体金属のCGと、前作の16倍という予算アップがあったから実現したのであって、物語の魅力では1が勝ると思います。2の物語は無理があるし、3以降はもう滅茶苦茶です。 アバターはT2成功の再来となるのでしょうか?

本当に良い出来なのか確証がない(観るまで分からない)アバター2で映画館ジプシーはやりたくなかったので、先に毎回確実に楽しめるアバター1で検証できたのは有難かったです。

キャメロンがアバター続編を10年以上も寝かせたのは、物語の魅力だけで前作を超えることが不可能だったからで、技術が十分に進歩するのを待っていた面はあると思います。だから正直、物語の魅力では第1作は超えてこないと予想しています。だって超えているならもっと早く制作すれば良かったじゃないですか。それをしなかった理由を見つめるとぼんやり見えてくるのです。…まあ実際には完成した作品を観るまで分かりませんけど。(笑)

私のネガティブな予想が杞憂に終わることを願います。

了。

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