『オマハビーチと高校球児』 (ショートストーリー)
こんなんじゃない。
私がほしいのは、こんな時間じゃない。
目の前の、ハンプティダンプティみたいにお腹がぷっくりした2人の中年男性を見ながら、私はフランスの田舎町へと向かう電車に揺られていた。
戦争マニアの彼と2人で。
小さな駅に着く。
どんよりした曇り空と同じ、何も楽しいことが起きそうにない、殺伐とした駅。
でも、彼の瞳は輝きを増している。
その瞳には、私は映っていない。
「また会ったね」
ハンプティ・ダンプティな2人が話しかけてくる。
この2人もここで降りたんだ。
「