ほど狭しといへども、夜臥(ふ)す床あり、昼居る座あり。一身を宿すに、不足なし。(中略)ことを知り、世を知れれば、願わず、走らず。ただ、静かなるを望みとし、愁へ無きを楽しみとす。鴨長明『方丈記』角川ソフィア文庫
狭いとはいっても、夜に寝床があり、昼に座っている場所がある。ひとりで暮らすには十分だヨ。ものの道理が分かるようになり、世の中のありようを知ったならば、無理なことを望ます、あくせくしないことだネ。とにかく静かな暮らしを心がけて、心の愁いなく毎日を楽しんでいるのサ。
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子どもが歩き始めるのにふさわしい時期はいつでしょうか?
子どもが歩き始める頃です。
子どもの歯はいつごろ生えるのがよいのでしょうか?
子どもの歯が生える頃です。赤ちゃんは何時間くらい眠るのがよいのでしょうか?
赤ちゃんが必要とする睡眠時間だけです。ヤヌシュ・コルチャック『コルチャック先生のいのちの言葉』津崎哲雄訳 明石書店
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風まかせ
焚(た)くほどは 風がもて来る 落葉かな良寛『良寛 旅と人生』松本一壽編 角川ソフィア文庫
私が庵で燃やして煮炊きするくらいは、風が吹くたびに運んでくれる落ち葉で十分に間に合うことだ。だから私にとっては、この山中での暮らしは物に乏しくとも満ち足りていることよ。(解説:松本一壽)
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表だけの発達
「どこの国でも表が表だけに発達すると、裏も裏相応に発達するだろうからな。—なに国ばかりじゃない個人でもそうだ」夏目漱石『虞美人草』新潮文庫
「ひとは見た目が九割」とか言うけれど、みてくれだけの発達はどこかむなしい。奇抜なデザインよりも、心を込めてカードを送ろう。
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しずかにすごす
思ふべし、人の身にやむことを得ずして営む所、第一に食ふ物、第二に着る物、第三に居る所なり。人間の大事、この三つには過ぎず。餓えず、寒からず、風雨に侵されずして、閑(しず)かに過すを楽しびとす。兼好『徒然草』第123段
何か食べるものがあって、雨に濡れる心配がない。それで家の中でしずかに過ごすことができたらいいじゃないか。
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欲の魔法
欲無ければ一切足り
求むる有れば万事窮す無欲一切足
有求万事窮良寛『良寛 旅と人生』松本一壽編 角川ソフィア文庫
欲を持たなければすべて満ち足りる。
あれもこれもと欲ばるから困ったことになる。
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いきがい
生き甲斐(がい)とは、考えてみれば、与えられた所与としての生命を手段として、己れがこの手段を捧げて悔いない目的を自ら見出さなければ決して生じはしないものではなかろうか。
今道友信『美について』講談社現代新書
今日、いちにち分の命を使って何をしよう。
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