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マフィアに暗殺される夢

2023 2/3(金)

昔から眠りが浅いので、変な夢をよく見る。
インパクトのある内容は、記憶のある内にメモするようにしているのだが、それがネタ作りに直結することは殆どない。
今回は、2014年頃に書いた夢日記である。
非常に恐ろしい夢だったので、忘れない内に書いたものだ。

「マフィアに暗殺される夢」
 
角を曲がると、突然、マフィアに銃撃された。
俺は銃弾が貫通した左胸を触りながら、心臓がなくなっていることに気付いて、慌ててそこらじゅうを探し回った。
俺がまだ生きていることに相当驚いたマフィアは、コンタクトを探すように、落ちている心臓を探していた俺に、さらに銃弾を発砲した。
だが、這いつくばって、必死に自分の心臓を探し回る俺の動きが、あまりにもチョコマカとしていた為、完全に弾は外れてしまった。
外れてしまったが、その途端、確かに弾は外れたはずなのに、俺は死んだ。
意識が朦朧とする中、近くでヒクヒクしているものが見えた。
その流れ弾は、落ちている俺の心臓に当っていた。
マフィアは、その後、カジノの近くのトミーの溜まり場で、月見蕎麦を食べていた。
だが、蕎麦に乗っているのは、生卵ではなく、銃弾が喰い込んだ俺の心臓だった。
マフィアは器用に割り箸を使って、銃弾を取り除き、コロンと目の前の灰皿に捨てた。
そして、蕎麦と俺の心臓を一気にたぐると、威勢良く江戸っ子のように汁の一滴まで飲み干し、カジノの方へと向かって行った。
その時だった。
マフィアの胃袋の中で、俺の心臓が激しく動き始めたのだ。
矢も盾もたまらず、マフィアは、カジノの駐車場に止めてあるリンカーンコンチネンタルに身体をもたれかけ、手のひらで胃を押さえ、全く消化できていなかった俺の心臓の暴走にもがき苦しんでいた。
それは、かつて、シシリー島で仲間の裏切りにあって、太ももをナイフでえぐられた時以来の痛みだった。
暴れ回る俺の心臓は、驚異的な早さでマフィアの体内を蝕み、気が付けば、ふさふさと毛におおわれている彼の心臓を乗っ取っていた。
マフィアの心臓になった俺は、せっかくだからとカジノへ行くことにした。
入り口には、右と左に金剛力士像のように、2mはあろうかという黒人二人が立っていたが、ニッコリ笑って、深々とお辞儀をされた。
もう俺は、マフィアになっている。
そんな、一人ほくそ笑んでいる事実を証明するかのように、声をかけてきた白髪のマネージャーらしき男から、ハバナ産であるという高級な葉巻を一本プレゼントされた。
胸ポケットにそれを入れた俺は、威風堂々、ドアを抜けた。
そこは、本当に喧騒としていた。
デル・シャノンのようなロックンロールのナンバーが、天井から吊るされたスピーカーから耳をつんざく程の大音量で流れ、ごった返す店内は、紫煙とアルコールと香水のにおいで溢れかえっていた。
俺は、初めてここへやって来たことがバレないよう、落ち着きを見せる為、葉巻のイメージのある人物、チェ・ゲバラ、グルーチョ・マルクス、ジャイアント馬場などの仕草を思い出して火をつけた。
火をつけたものの、大いに、むせた。
考えてみれば、葉巻も初めてなのである。
俺は、左手の人差し指と中指の間に、永遠に吸わないであろう葉巻を挟みながら、喧騒へ参加してみるべく、ルーレット台の傍へ近付いた。
白熱していた。
ルールはよく分からないが、早く、この中に交じりたかった。
だが、クルクルと勢いよく回転するルーレット台を見て、俺は目を疑った。
それは、俺の心臓だった。
心臓・・・
今、心臓は、マフィアと共に、この左の胸元にしっかりあるはず。
なのに、何故、ルーレット台になっているのだ?
不可解な出来事に、全く整理がつかぬまま、クルクル回る俺の心臓に、多くの参加者たちが賭けていた。
このルールは、回っている心臓がピタッと止まった時、その場所が、右心房、左心房、右心室、左心室、の四箇所のいずれかであれば点数となり、それ以外の箇所については、理科の授業での記憶がおぼろげで名称が思い出せない為、点数にならないらしい。
俺は、隣にいた、ミンクの毛皮を着た厚化粧の、なんとかジェシカと名乗るブロンドガールから、右心房1点、左心房2点、右心室5点、左心室10点、と教えてもらい、自分の心臓が賭けられているという馬鹿げた事態をなくすべく、ここは勝つしかないと、心臓をバクバクさせて勝負の行方を思案した。
目の前にある俺の心臓は、凄い勢いで回転し始めた。
高速回転する中、クラクラとなった俺から、マフィアが飛び出して行った。
刹那、目の前のルーレットの心臓も消えてなくなった。
こうして、心臓だけが残った。
心臓だけの、俺が残った。
いわゆるフロイトの夢分析では、死ぬ夢は、新しく生まれ変わりたいという願望のあらわれらしい。
俺は、何に生まれ変わりたいのだろうか。
ヒクヒクしているそれを、まずは、大事に抱えた。
 
 
 


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