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「パズルどろぼう」。

このお話は、寝る前の長男に「なんかお話してて」と言われて、思いつくままにしゃべった創作です。

4歳長男の好きな要素や、長男の体験に基づいたエピソードを混ぜているので、一つのストーリーとしておかしなところもありますが。
あくまで【我が家の長男】向けのお話なので、ご容赦ください。

今回、さはらゆうきさん『くつしたどろぼう』を読み聞かせたすぐあとに話したので、とても影響を受けてしまっています。
もりのみさこさんの絵がたいへんあったかい素敵な絵本です。



それは、子どものいるおうちで起こります。

夜、みんなが寝静まったとき、部屋の隅っこからそれはあらわれます。


「パズルどろぼう」です。


小さな住人は、カーテンの隙間や、ソファーの下や、時々は冷蔵庫の裏から、ひょこひょこと出てくるのです。

体と手足があって、目がふたつあります。
あまり力はなさそう。
でも、すばやくて、すぐに隙間に隠れることができます。



彼らは、夜な夜な部屋にあらわれ、あるものを探し、盗んでいきます。

それは、パズルです。


ジグソーパズルのピースをひとつ、自分の家に持ち帰ってしまいます。

だから、片付けずにバラバラに放っておいたパズルのピースがよくひとつなくなってしまうのは、パズルどろぼうの仕業なのです。


彼らは落ちているパズルから、お気に入りの形をひとつ選ぶと、大事に抱えて、満足そうに自分の住処へ帰っていきます。



パズルを持ち帰って、何をしているかって?

そりゃあ、いろいろですが。
一番多いのは「たべること」です。


パズルどろぼうは、パズルを持ち帰ると、住処の一角にある横長の棚に、それらを一枚ずつ並べておきます。

種類も大きさもてんでバラバラなパズルが並ぶ、彼らの住処。
そこには、平たいオーブンがあります。

パズルどろぼうは、そこに今日のパズルを一枚選んで入れると、よーくよーく焼くのです。

こんがり焼けたパズルは、それはそれはおいしいのです。
クッキーのようにサクサクで、味はパズルによって違います。
ウワサでは、海の絵柄はしょっぱくて、花の絵柄は甘いとか。
ほんとかどうか、知りませんがね。


ジグソーパズルの、あの独特の形のものが一番おいしいという者もいれば、パズルの端っこの尖ったところが焼くと美味い、なんていう者もいます。

彼らは、毎日そうやってパズルをすこしずつ焼いて食べます。
もし、部屋のどこかでこうばしい匂いがしてきたら、それはパズルどろぼうがオーブンで焼いている匂いなのかもしれません。




ほら、今日もタロウくんがパズルをしています。

タロウくんはパズルが得意。
車のパズルも、新幹線のパズルも、あっという間に完成させられます。

「もう寝る時間だよー」

お父さんに呼ばれたタロウくんは、パズルを片付けずに、階段を上がっていってしまいました。

電気が消されて、暗くなったリビングに置かれたまんまのパズルたち。

もしかすると、夜中にパズルどろぼうがあらわれて、一枚ピースを持っていっちゃうかもしれませんね。


え?
それは困る?
どうしたらいいかって?

それなら簡単。
寝る前に、ちゃんとパズルを片付けておく。
それだけです。

パズルどろぼうは、ご飯になりそうなパズルがなければ、引っ越していくからだいじょうぶ。
またどこか、べつの場所に住みついて、夜な夜なパズルを集めるんでしょう。


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