「これ捨てちゃっていいの？」
「ああーっと、一応とっといて！」
仕方ないなぁと溜息

そういえば本棚の上の観葉植物
もうダメそうだな

なんで、こんなことばかり
思い出すんだろう

もう嫌と言うほど
目にしてた日常

あ、スニーカーのつま先
汚れ落としとかなきゃ…

ガッシャーン！！

吹きすさぶ冷たい風が
シャツの裾付近から忍び込んで
髪は千々に乱れている

「意識はありますかー！」
「声は聞こえてますかー！」

え、あっ、はい

「じゃぁサイニョウしますねー」

ん？ええっと

「おしっことりますねー！」

は？え？ここで？今？

「ハイこの瓶にお願いしまーす」

え、今？だって、なんか人がいっぱいで
目の前はお姉さん

ん？なんかそういう店？
いや行ったことないし
なんか昼？え？朝？

「頑張ってー！頑張って出してくださーい」

いや、あ、頑張って出せるけど
前掛けとかないの？
毛の処理とかできてないんですけど
っていうか寒いから縮こまってるし
今は特に見ないでよ…マジかぁ

…ｼﾞｮｼﾞｮ
「はい！頑張ったー！頑張ったー！」
「そしたらこれから精神科の先生くるからね！
質問に答えてください！」

やっと事態が飲み込めた
ていうか走馬灯ってもっと
特別なこと思い出すもんだと思ってたわ

病院の先生、スタッフの皆さん
貴重なリソース割いてしまってごめんなさい