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ありがとう。【二次創作小説】

誰も彼も皆みんな信じられなくなって、
犯罪者の子供だからと
嫌われることが怖かった。

いつか、きっと叶いますように。
ボクが、誰かに必要とされること。

       『過去のままじゃ駄目なんだ』
責める気持ちが募ってくばかりで…。

       『ねぇ、誰か、ボクを救けて』
叫びたくても、できなくてさ。

ただ、がむしゃらに生きてきたんだ。
良い子であれるように。
いつからか、
隠した本音は誰にも言えないままで。

それでも、時々願いたくなるんだ。
“ありのまま”を愛してって。

聖者になって、必要とされたら、
幸せになれるのかな?


気付いたら、隣にキミ(イアナ)が立ってた。

肩を並べて、歩き、走った。
手と手を取り合って。


知らない。
 要らない。
  迷惑なんだよ。
 偽善者なんて、同情なんて、大嫌いだ…。
そう、思っていたのに。

大丈夫だよ、って励ますような
君の明るく無邪気な笑顔は、
奥底に眠る凍った悲しみを、響き、溶かした。

いつから、
こんなに誰かを想うようになれたのか。

切なげに揺れる優しいキミを、包み、守りたい。


…そっか。

すっかり、オレは変われたんだ。

呪いのような過去を乗り越えて、
恨み辛みも、癒えたんだ。

誰かの痛みに寄り添えるようになれた。


この世界が美しいと、やっと…思えたんだな。



どんなに辛くても、困難でも、
自分次第で、
世界は変えてゆける。


もう、何も怖くない。
キミが隣にいてくれるのなら。


オレは、
キミを死の運命からだって、
守り抜いてみせるよ。



ー…この命に、替えても。




そして、血だらけの中。

痛みと引き換えに、
オレは大切なキミの温もりに抱かれる。



『本当は…
    はじめからずっと
          好きだったんだ』

    世界-今日-が終わってしまう前に。
どうか、キミに伝えたかった。
     言い逃げみたいでズルいかな?


ー「あなたがここにいてくれて
     あの時 見つけてもらって
         本当に良かったから!」


本当に、びっくりするくらい、

どんなに報われない過去も、傷も、
受け止めてくれたキミに救われたんだ。


あぁ、まだずっと君と生きていたいな。



 『もし 人が生まれ変わるとしたら
  お前ともう一度出会えるのかな…?』

   
        『一緒に色々なことをして』

『色んな所に行ってさ…』

             『…結婚して』
『それで…』
 
   
    『ーーー…家族に…なれる?』



このまま永遠にキミと過ごす時を願いながら。


「なれるに決まってるじゃん…!!

   だって人は…ッ 
     ―――……転生するんだもん…!!」


キミの涙が零れ落ちて、頬を濡らしていく。


あぁ、悲しみに満ちた結末なのに、
どうしてか、とても幸せなんだ。

最期まで、キミは笑う。笑ってくれる。
その優しさにまた救われてゆく。


ー…明日はきっと、来ないけれど。

 でも、今だけはキミの一番でいられる。

     『イアナ…お前は…』

どうか、祈り願う。

      『幸せに………』

また、来世で会えたその時は、
         オレが幸せにするから。


ー『(沢山、沢山、オレのことを大事にしてくれてありがとう)』


     イアナと出会えて、幸せだった。



追記:転生悪女の黒歴史の8巻〜9巻辺りをテーマに作った創作ストーリーです。

今回は、主人公のイアナ(悪女)ではなく、イザーク(聖者候補の青年)の視点+心の変化を書いた物語でした。

あと少しで叶ったはずの、イザークとイアナの恋は哀しくも結ばれませんでした。 
(その展開にショックを受けて読む度に泣いていましたが、それでも立ち上がるイアナの強さに感動しました)

犯罪者の子供である故に苦しんだイザークと死の運命に必死に抗い生きるイアナ。

2人の恋が来世で結ばれることを祈るばかりです😢

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