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『紛争でしたら八田まで』 (9) 72〜75話「マリ、テロと政治と宿命」

『紛争でしたら八田まで』 (9) 72〜75話「マリ、テロと政治と宿命」

4月20日に発売になったモーニング KCの田素弘『紛争でしたら八田まで』第9巻、72話〜75話「マリ、テロと政治と宿命」はマリ共和国が舞台です。

マリの歴史的背景や近年までの状況と料理がかなり正確に描かれています。素晴らしい。

After Wagnerというコミック以後の地政学的変化

しかしこの2年ほどの急激な反フランス感情と、ロシアPMC(民間軍事会社)Wagner Groupがマリ政府の

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ハディジャトゥ・・・

ハディジャトゥ・・・

どうしてわざわざ名前を言うのかこれは最近ふと思ったことです。
恐らく家族以外にはまったくどうでもいい話です(笑)
しかしいつか、僕と同じように二つの文化の狭間にいた娘が、これを読んで「なるほど、そうかも!」「いや、違うと思う!」とどう思うか知りたいので書き留めておきます。

喋れないときの身振り手振り

妻は数珠を使って祈っていたり(ズィクルと言います)、お願い事の祈り(ドゥアーと言います)をして

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西アフリカの食用植物を調べる

西アフリカの食用植物を調べる

宿題をいただきました

先週末に京都で、京都精華大学の清水貴夫さん、(株)SOCOの水野啓さんから宿題をいただきました。

結論:Bombax costatumで、使用されているのはその萼

Bombax costatumは、フランス語ではfaux-kapokierとかkapokier rougeとか、シンプルにkapokierと呼ばれる樹木です。

どう探したか?

写真の部位は萼(がく)だろう

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マラリアで倒れた僕を看病しながら勉強する少年

マラリアで倒れた僕を看病しながら勉強する少年

1998年12月、文化人類学のフィールドワークで滞在していたマリ北部の村でマラリアに罹りました。
最短の診療所まで約70km。この村には車はなく、診療所まで行くには歩きかロバに乗って約2日かかります。40℃(経験値w)の高熱で移動する気力も体力もありませんでした。マラリアの予防薬を治療薬として飲みながら3日間ひたすら高熱に耐えていました。
4日目、熱が下がり始め、関節の痛みも和らぎました。生き抜け

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旱魃や宗教間対立はサハラ・サヘルの治安悪化の要因なのか

旱魃や宗教間対立はサハラ・サヘルの治安悪化の要因なのか

11月頃、AI-HUB(Africa Quest Innovation Hub)の東アフリカに関するトーク会で

旱魃が治安悪化の原因ではないか

という発言がありました。また、つい先日Clubhouseで

東アフリカでは宗教対立が紛争の原因になりやすいが西アフリカはどうか

という問いがありました。

これらの問いに対して僕は、

西アフリカの治安悪化の主な原因は別にある

と思っています。

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『禁じられた歌声』 Timbuktu

『禁じられた歌声』 Timbuktu

「俺たちの映画祭り豪華3本立て」バトンリレー2日目は「没入感がすごい映画」です。
万人にお勧めはしません。この映画に没入できる日本人は非常に少ないと思います(笑)
でも自分にとっては心の一部のような映画です。

『禁じられた歌声』
原題:Timbuktu
初公開:2014年5月(カンヌ)
監督:アブデラマン・シサコ
音楽:アミーン・ブハファ
主題歌:ファトゥマタ・ジャワラ
製作国:モーリタニア・フ

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妻の故郷マリ北部の民族紛争

妻の故郷マリ北部の民族紛争

グンダム(Goundam)はトンブクトゥの西北西約90kmの人口約1万5千人の小さな町です。

【トンブクトゥから来た道をグンダムの町へ入るところ】

雨期(6月〜8月頃)にギニアやマリ中部南部で降った雨はニジェール川を下りながら集まり、次第に水かさを増しトンブクトゥ地方の支流に流れ込み、10月〜12月頃にようやくグンダムを通って季節湖のテレ湖、タカラ湖、ファギビン湖に流れ込みます。
サハラ砂漠の

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サヘル地域住民の対立

サヘル地域住民の対立

先月(2019年3月)23日、農耕を中心とするドゴン(Dogon)が牧畜を中心とするフラニ(Fulani)の村を襲撃し、女性と子どもを含む160人以上の住民を殺害する悲惨な事件がありました。

その3日後には、ドゴンの村が2カ所襲われ、合計6人ドゴンが殺されるという事件が起こりました。

サハラ砂漠の南に位置するサヘル(アラビア語で「海岸」という意味で、サハラ砂漠を正に砂の海に見立て、その南縁に位

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ヨシダナギさんの写真展を訪れて

ヨシダナギさんの写真展を訪れて

ヨシダナギさんの京都大丸ミュージアムでの写真展に行ってきました。

ヨシダナギさんと言えば、アフリカなどの少数民族の暮らす地域に赴き、そこに暮らす人たちと同じものを食べ同じ格好をして、地域の人たちに受け入れてもらい写真を撮らせてもらっているというエピソードを伺っていました。
カメルーンのコマ『族』のところではパンツも脱ぎ捨て、ナミビアのダマラ『族』のところでも上半身裸になり、パプアニューギニアのカ

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動物用の靴(続き)

今朝noteに「動物用の靴」というテキストを書き、「傷つき、泥にまみれ、広島で救助活動をつづける『災害救助犬』の姿16枚」という記事を紹介し、「救助犬にも靴が必要ですよね」という旨のコメントを付しました。

友人のYuko Naotoriさんが私と同じ記事をシェアされたところ、救助犬に詳しいNaoko Kawanoさんという方から、犬の安全を考えると靴を履かせない方が良いという説明がありました。

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動物用の靴

傷つき、泥にまみれ、広島で救助活動をつづける『災害救助犬』の姿16枚災害現場では、瓦礫や土砂に倒壊した家屋などからガラスや危険物などが混じった状態で、犬達が怪我をすることも珍しくありません。(中略)ニューヨークのビル崩壊後、多くの救助犬が瓦礫の下の人々を捜索しました。この時、救助犬の多くが、犬用ブーツを着用していました。しかし、犬用ブーツは日本では一般的ではないようです。

災害救助犬には靴は必須

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マリ北部でまた紛争再発

マリ北部でまた紛争再発

直前の投稿「夕方、妻と公園を散歩」には続く話があります。
そちらはFacebookに、妻の何枚かのポートレートと一緒に載せたのですが、文章だけこちらに転載します。

昨夕と今夕、近くの公園まで妻と車で出掛けた。
子供たちの明るい声を聞き、池の水の香りをかぎ、木々の緑を愛でながら、たわいない話をした。
1日の暑さがまだまだ残っていたが、木陰に吹く風は心地よかった。

長い前置きになるが、ギニア、マリ

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