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【本要約】本質を見抜く「考え方」


2021/11/28

考えるということ

一般的な意味において、正しいモノの見方や考え方をするのは難しい。それは、「正しい」ということが何を指しているのか、簡単には定義できないことからもわかる。

正しいモノの見方や考え方は、いろんな立場や視点から、モノゴトに光を当て、曇った眼鏡、色眼鏡、歪んだレンズでモノゴトを見ないようにすることから始まる。

既にある他人の考え方に染まらないで、自分の頭で考えるということだ。

「考える」ということは、対象と親身に交わることである。知識や理論を振りかざすのではなく、世の中の様々な現象に、先入観を持たずに素直に向かい合うことから始まる。

自分とは何か?

日常生活を送る中で、いろんな状況やいろんな場面で、「自分はどんな人間であり、どんなことを大事に思い、これだけは絶対に譲れないモノとして何を持っているのか」が問われる。それをアウトプットすることで、自分自身の座標軸を定めることができ、行動に移すことができる。

「自分とは何か」を知ろうとすると、その姿を見るための鏡が必要である。鏡が歪んでいたら、そこに映る自画像も歪んでしまう。自分を正しく知るには、まず、歪んでいない鏡を手に入れることだ。自分を映す鏡とは歴史観である。

歴史によって「自分がなぜそう考えるのか」自分の思考の原点を、知ることができる。

他人と自分をハッキリさせる。外国に行くと「日本や日本人の長所や短所がよく見える」というのは、外国という鏡に日本人である自分を映したからだ。同じ原理で、自分の像を映してくれるのは、他人である。他人との対比によって、自分の弱さや欠点、強みや優位がハッキリする。

思考の手法

■「宙ぶらりん」に耐える。

人は答えが出ないことに耐えられず、早まって誤った判断を下すことが多い。正しい判断のためには、しばらく答えが出ない「宙ぶらりん」の状態に耐える習慣付けが必要である。

■必ず言葉にする。

ただなんとなく頭に浮かんだ考えを、ただなんとなく表現しているだけでは、何をどう考えたのかが明確にならない。だから、言葉にする。言葉にすること自体が思考の一部である。そして、頭の中で言葉にするだけではなく、アウトプットする。書き出したり、話したりする。

自分のオリジナリティーは「思考」を「言葉」にすることでしか出すことはできない。

自分の思考が貧弱だと、言葉にできないし、自分の言葉が貧弱だと、自分の思考も貧弱にならざるを得ない。

■自分なりの仮説を立てる。

仮説を立てて、一つの見方を基準にすると、他の考え方が明瞭に見えてくる。定言命題で言い切ってしまうことで、思考が明確になる。定言命題「〜は〜である」と言い切ることだ。

■とにかく一度結論を出す

不完全でも自分なりの答えを出しておけば、後で自分の考えをチェックできる。

■最初に得た直観を思い返す。

直感とは、思考過程を経ないで出た、モノゴトの本質である。人間はいつも論理的に行動しているわけではなく、しばしば、直感で行動を起こしている。自覚的・論理的な思考回路とは異なる、無意識的な脳の働きで、特定の方向へ向かう。

論理的な推論では見えてこない問題の本質、忘れられがちな問題の原点を思い返すときに、直感に立ち返る。

■行動しながら考える

動いてみると、今まで気が付かなかった問題点を発見できることがある。

イギリス人は歩きながら考える
フランス人は考えた後で走り出す
スペイン人は走ってしまった後で考える

行動しながら考えると、実践が新たな発見を生み、それによって人間の考えは瞬時に深まる。

行動の基本にあるモノは、知性、道徳、感情の3つである。

【問題対処の原則】
すでに何らかの緊急問題が起こっていて、それにどう対処するかが問われている場合がある。ゆっくりと時間をかけてあれこれと考えを試している余裕はない。そんなとき「どんな問題が出てきても、まずはこの原則で考えてみよう」という、汎用性のある考え方があると便利だ。ゆくゆくはもっと突っ込んだ考察が必要だとしても、まずは、考える取っ掛かり、入り口として使える原則である。そう言った自分の原則、セオリーを持っておくことが重要である。

流動し転変する現実を理解するための方法とされる弁証法は、「正」「反」「合」という段階を経て思考を発展させていく。

①ある命題に対して、それをまず肯定 ( 正 )
②その対立物を探してきて、否定 ( 反 )
③その指定を媒介として、より高いモノに統合させていく ( 合 )

■自分の頭のルーツを知る

自分が好きだったモノの中に、自分の考え方の原点がある。

私たちは、生まれ持った自分の頭で考えるわけなので、自分の頭のルーツが、モノの見方や考え方に影響を与えることを知っておく。

■どんな情報も歴史に還元する

歴史は常に繰り返されるから、過去に学ぶ、歴史を学ぶことで、モノゴトの判断に役立つ。

■おもしろいと感じる方へ進む

様々な紆余曲折があっても、囚われのない本来の自分の感性は、常に正しい判断を下せる。

人生は選択の連続である。自分がおもしろい方を、選ぶことが正しい。
自分の感性は自分を裏切らない。

日本人は感性に優れた国民である。精神の世界と物質の世界の両方で生きているのが人間であるが、日本人は暗黙的にそれを仕分けして、なんとなく混ぜ合わせながら生きている。欧米人は、精神の世界と物質の世界をキッパリ仕分けしている。職業でも、役割分担が明確に決められていて、他人の土俵には無関心である。

歴史

■択一より共存を意識する。

難しい問題の核心は「物と心」「進歩と伝統」「個人と共同体」といった対立軸が潜んでいる。どちらかを選択するより、まずは、共存を考えてみる。バランスによって成り立つ共存を考えることで、問題解決につながる。

自由という言葉は、英語でフリー ( free ) という。この言葉の語源は、プリー ( prii ) という古代のゲルマン語で、これが訛ってフリーになった。これはもともと、人間の集団、昔でいえば部族・親族・親戚・縁者・その他大きな地域集団の中で、人間が自分自身の居場所を見つけて「ほかの人と一緒にいることが幸せだ」と感じられる状態を指した言葉である。

「自分が、人の輪の中に入って一番幸せだ」と感じられる状態をプリー=自由と言った。

■正しいことと効率性を混同しない。

昔、中国では、科挙に合格して高級官僚になった人たち

①試験合格までは儒教、つまり孔子・孟子を勉強
②合格した瞬間から、韓非子・孫子・呉子などを勉強
①人はかくあるべし

②人間支配、国家運営のためにどうしたらいいのか
 世の中は本当はどうなっているのか
①受験勉強の間は「正義とは」「正しいことは何か」と建前の勉強
②受験を終えると、支配の哲学「効率の世界」を勉強

「正しいことは何か」ということと、「世の中を統治する」ということは、どうしても相反することが出てくる。

相反することを理解した上で、その両方を持ち続けるバランス感覚が必要である。

ギリシャ哲学も、中国古典 ( 老子・荘子 ) も「人間は世の中とどう折り合いをつけて生きていくか?」ということが根底にある。人間は1人で生きられないから「社会のそれぞれの集団の中でどう生きるか」ということが人間の永遠のテーマである。そして、結局のところ、その答えはない。万人に共通する答えなどなく、自分でその答えを探すための手段として、ギリシャや中国の古典がある。

日本の神話を知ることで、日本人の思考の本質を理解できる。外国のことを知るためには、その国の宗教や哲学の歴史を学ぶ。

■疑問を大事に

2次情報は、情報提供者のバイアスがかかっているので、自分の実感を大切にする。ふと浮かんだ疑問は、自分の正直な感覚なので、それを突き詰めていくことで、見えることがある。

■キレイごとに盲目しない

自由・平等・平和・民主といったキレイごとは、戦後、日本人を思考停止させた。キレイごとを、そのまま受け入れてしまうのは、危険だ。うまく表現されたキレイごとに警戒し疑問を持つことが、思考訓練に役立つ。

・自由とは「人に迷惑をかけなければ何をしてもいい」ということではない。
自由には責任を伴う。

・平等を唱えるのは、ヒエラルキーの上位にいる人たちだ。
ヒエラルキーの下位に生きる人たちは、毎日の自分の生活でいっぱいだ。

・平和は、日本が、ぱっと見で平和に見えるだけで、実際には自衛隊という軍隊もいるし、アメリカ基地もある、世界は至る所で戦争が絶えない。

・民主は、多数決である。
「人数が多い方が正しい」といった間違った概念を生み出す。

【ユダヤの教え】
会議での全員一致したら、その決定は無効である。全員一致というのは、全員が真剣に考えていない証拠である。一人一人が真剣に考えれば、いろんな意見が出るはずだ。多数決は、やむを得ない暫定の妥協である。

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