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ここは私たちのいない場所

20240116

人と人との間に生まれる愛情は、ひとたび小さかひび割れが生ずると、価値を失なったり減じたりするのではなく、そこから、次第に腐敗が進行し、最後には猛毒に変じて、私たちを蝕み、破滅させる。

誰かと過ごしたときの心豊かな記憶は虹のように儚く、その人との諍いの記憶は、刺青のように決して消えることがない。
人は愛する以上に憎むことに長けた動物だ。

心が参ってしまったときは自分自身に治してもらうのが一番だ。というか、自分の心は自分にしか治せない。病気や怪我だって実は同じだけど、特に心はそうなのだ。心が弱っているときは、今の自分に治療してもらうわけにはいかない。だから、過去の自分に会いに行って、その人に治してもらうしかない。

音楽を聴くだけでいい。

そして、当時の自分を思い出す。
あのときの自分に会ってみたいな、とか声をかけてやりたいなって思う自分を探す。

自分で気づいていないだけで、何か他にしたいことを見つけたのかも。

夢のような人生なんてどこにもない、健康で毎日のご飯を美味しく食べられるのは、それだけで幸福な人生である。

人間が死ぬという事実そのものを私たちは知らないままでもかまわないような気がする。かまわないどころか、死というものを知らずに生きた方が、よほどこの人生を有意義に送れるのではないか。
死があくまで曖昧なもののままであるとしたら、私たちは、死の恐怖から解放されるのではないか。近しい人間の死だけでなく、自分自身の死の恐怖からも自由になれるのではないか。

死を迎えたとき、肉体の苦痛を遥かに凌ぐ精神的な苦痛に苛まれるのは、私たち人間だけなのだ。

やりたくないことは山ほどあって、さりとて、どうしてもやりたいと思うことが何一つ浮かばなかった。

当然の話だが、子ども自体の記憶を失うにつれて、私たちは子供の感情というものをどんどん読み取れなくなってくる。

人間は親にならない限りずっと子どものまま。子どものいない世界は、最後まで子どもでいようとしている人たちの世界でしかない。





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