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【小林秀雄】考えるとはどんなことか?考え抜いた日本のソクラテス

先日、本屋さんの中を
ぐるぐる回っていて、
ビックリしました。
ナイスな発見をしました。

私の敬愛する小林秀雄の文庫が
一冊、化粧直しをしていたんです。
全面オビが巻かれていました。

その文庫本は
『考えるヒント①』文春文庫。

その全面オビのオモテ面には、
「考えるって
こういうことか!」という
メインコピーが書かれてる。

それから、
「近代日本のソクラテス、
不滅の名著」というコピーも。

小林秀雄が見たら、
私はソクラテスなんかじゃない、
と苦笑いしたでしょう。
ちょっとオーバーな(笑)。

この全面オビが面白いのは、
ウラ面にあります。

10個の、小林自身が
本書で書いている格言めいた文章を
ずらり並べているんです。

これは感動です。
本書を担当している編集さんか
文庫の広告担当さんが、
なぜか、今になって
がぜんチカラを入れて
この本を売ろうとしたことは明らか。
なぜまた今なんだろう?という
疑問は残るものの、
ウラ面にある、
本書からの格言を
以下に引用していきますね。

これは編集さんが相当な
チカラを入れてこしらえたはず。

ヒント①
物を考える出発点も終点も「汝自身を知る」ことにある。

ヒント②この世に本当の意味で教育というものがあるとすれば、自己教育しかない。

ヒント③
指導者とは、自己を売り、正義を買った人間だ。

ヒント④
まず好き嫌いがなければ、芸術作品に近寄ることもできない。

ヒント⑤
嫌いという感情は不毛である。侮辱の行く道は袋小路だ。

ヒント⑥
批評家はすぐ医者になりたがるが、批評精神は、むしろ患者の側に生きている。

ヒント⑦
心の受けた傷の深浅は、事件の大小公私などに何の関係もない。

ヒント⑧
自分の私生活は、自分にとって貴重であって、自分自身にも分析の適わぬほど微妙なものだ、という強い自覚があれば、他人の私生活について仔細らしく語れもしまい。

ヒント⑨
人生を簡単に考えてみても、人生は簡単にはならない。

ヒント⑩
良心とは、理智ではなく情なのである。

さあ、どうでしたか!
よくわかるという格言とは
呼べないとっつきにくさが
あったかもしれません。
でも、なんだか、それについて
1歩2歩3歩、踏み込みたく
なりませんでしたか?

絶妙なレトリック。
アルコール成分の高さ。
今まで考えたこともない領域に
ついて知恵をさずかったような
気位の高さ。

そうして、最後に
小林秀雄はこうも書いている。
「物を考えるとは、物を掴んだら離さぬという事だ」と。

何かについて考えるとは、
どういうことか?について
考え尽くしたのが、
小林秀雄という、
近代日本のソクラテス。

それは、あの橋本治と
とてもよく似ていますね。

考えることそのものを
こんなに、始まりや過程を
見せてくれる人はなかなか
いませんから。

どうですか?
少し、この小林秀雄という
おじいちゃんに
付き合ってみたくなりました?

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