見出し画像

【読書】2023年に出会った私の個人的なブック賞

2023年も、あと3日ですかあ。
早かったといえば早かった。
長かったといえば長かった。

色んな本にも出会いました。
印象深い本にもたくさん出会いました。
という訳で?? 
勝手ながら、今年読んで心に残った
7冊を勝手にセレクト(笑)。

◯カリスマ作家の掘り出し物賞
室井光弘
『猫又伝奇集 おどるでく』
なんだか町田康さんのような、
読みだしたらすぐ引き摺り込まれる
怪しい文体で、ただものじゃない
異端児ワールドの持ち主とわかった。
プロフィールを読んだら4年前に
他界してしまっていた。
中公文庫、税別1200円。
 
◯正統派なのにレア大賞
遠藤周作 
『遠藤周作初期エッセイ
ころび切支丹』
今年生誕100年を迎えた遠藤周作の
初々しく文体も硬いエッセイ集。
遠藤周作ファンには嬉しい一冊。
河出書房新社、税別1800円。

◯掘り下げてくれたで賞
平野啓一郎
『三島由紀夫論』
平野啓一郎はデビュー作から
三島由紀夫の再来と呼ばれた、
緻密な文体の作家でした。
この本は、三島の『仮面の告白』
『金閣寺』『英霊の声』
『豊穣の海 全4巻』を分析した、
執筆23年を掛けた伝記評論。
筆者渾身の正統派三島伝は、
橋本治が書いた『三島由紀夫とは
何物だったのか』とは対比的。
改めて、橋本治のクールな
三島由紀夫論の天才ぶりを
思い起こされました。 
新潮社、税別3400円。

◯心ざわざわざわ大賞
川上未映子
『黄色い家』
おそらくは川上未映子初の
犯罪ミステリー。
とはいえ、川上未映子だから、
いわゆるミステリーとは
全然異なる作品でした。
異常な人たらしとして
2人の少女を監禁し洗脳し
コントロールし、破滅に向かう
ある実話に材を得た快作。
これ、そういえば、
今年の「王様のブランチ大賞」を
受賞していましたね。
中央公論新社、税別1900円。

◯今来てる韓国文学大賞
ソン・ウォンピョン
『プリズム』
韓国文学のトップランナー、
ウォンピョンの本屋大賞、
翻訳小説部門第2位の恋愛小説。

2020年本屋大賞
翻訳小説部門1位『アーモンド』で
話題を集めた韓国文学の新鋭。
2022年本屋大賞
翻訳小説部門の第1位
『三十の反撃』。
と、立て続けに翻訳小説部門で
常連となったウォンピョンさんの
最新作は、意外と
正統派の恋愛小説でした。
ソウルで住んでるような錯覚に
陥りながら酔い痴れました。
祥伝社、税別1600年。
 
◯文豪の名作復活大賞
川端康成
『少年』川端康成の作品には 
珍しいボーイズラブ。
美しい後輩との少年愛小説。
いつもの川端作品とは明らかに
何かが違います。
随所に作家本人の語りが
物語の進行を止めるからか。
新潮文庫、税別490円。

◯エッセイ共感大賞
若林正恭
『ナナメの夕暮れ』
お笑いコンビ、オードリーの
若林が書いたエッセイ集。
どこがいいかと言うと、
どのエッセイも、
ちょっと、時には深く、
斜にモノを見る若林の毒と哀しみが
読者をホロッとさせてくれるから。
毒全開ではない絶妙さは
やはりお笑い芸人の職人ワザか。
文春文庫、税別690円。

今年も色んな親友ができました。
楽しい1年でした。

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?