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【司馬遼太郎】他人のいいところを100個見つける達人!

最近は、坂本龍馬がかわいそう?

坂本龍馬はもともと
教科書にも出ていないような、
あるいは載ってても一行の、
決して表舞台で活躍した人物では
ありませんでした。

それを、司馬遼太郎という
稀代のロマンチストが
惚れて惚れて惚れぬいて、
彼を英雄として書いたのが
『竜馬がゆく』です。

それを、年表の歴史から
一歩も外に出られない歴史家が
司馬さんは噓を書いたとか、
大げさに書いてるとか批判する。

かわいそうだなあ、
歴史を味わうのに、
そんな小さくまとまってては。

司馬さんは1を100にふくらませて
書くロマンチストで、
それがまた醍醐味で、面白いんだから。

そこは最初から
読む側も分かった上で
読んできたし、
これからもそういう風に
読まれて行って欲しいと願います。

反対に、私はこう言いたい。
年表から一歩も外に出れない歴史学者や、
そうした実証主義的な歴史本しか
信じまいという読者に。

1枚の小さな古文書を読んで
だんだんと一人の男を知っていき、
それを、文庫全8巻もの
大河ロマンに誰ができますか?

あんなに、
他人のいいところを
あんなにたくさん見つける才能って
凄くないですか?

人の悪いところはすぐに
誰でも見つけられるけど、
いいところを100個見つけろ
と言われたら、できますか?

そう言いたくなる。

司馬さんがすごいのは
男を惚れぬく力、情熱、ですね。
書かれてる人物が年表で
どれくらい偉業を成してるかは
あまり関係がない。

思えば、司馬遼太郎は、
『坂の上の雲』の秋山兄弟も
『花神』の大村益次郎も、
『燃えよ剣』の土方歳三も、
『胡蝶の夢』の伊之助も、
『菜の花の沖』の江戸商人
高田屋嘉兵衛も、
その主人公をとことん惚れぬいてから、
常人ではとても見つけ出せない
いいところを100個見つけて書いている。

で、司馬さんが、惚れぬき具合が
曖昧な場合、
作品のエネルギーが弱まります。

人の悪いところを見つけるのは
常人みなできるでしょうけれど、
いいところをたくさん見つけるのは
意外と難しい、どうしたら
できるのかな?
そう思っている方には、
最初にまずはネットで
その主人公の実際の歴史的事実を
簡単に調べた後で
司馬遼太郎の作品を読むことを
オススメします。
どれだけ、どんなふうに
司馬さんが肉付けしたかが
よくわかりますから。

司馬さんは、1を100にできる
才能の持ち主でした。
それも長所ばかりを。

私は個人的には、
『花神』が一番好きです。

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