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【古典】私は今、新訳「源氏物語」と闘っています!

最近、私は闘っています。
本屋さんに行くたびに。

今月に新刊として発刊された河出文庫は
古典作品が多かった。
訳者もじつに豪華。
『平家物語』古川日出男、訳。
『古事記』池澤夏樹、訳
『伊勢物語』川上弘美、訳。

そうして私が今、闘っているのは、
『源氏物語』角田光代、訳です。

少し立ち読みしたんですが、
さすが、角田光代。
わかりやすく、
源氏物語もスラスラと
読めるではありませんか。

でも、古典作品というのは、
少しくらい読みづらさが
ちょっと欲しい気がする。
ないものねだりだろうか!

古典を鑑賞するには、
ガリガリした歯ごたえが
ちょっと欲しい気がするんですよ。
その歯ごたえが角田訳にはない。 

角田光代の源氏物語は
文庫で5巻くらいになるそう。
あらすじを知るとか、
キャラクターを先に知っておくには
角田光代訳は、
大いに助かるに違いない。

でも、あまりに読みやすくされた
古典は、歯ごたえもなく、
これでいいのだろうか?
と不安にもなるんですね。

あらすじを知るための
ステップとして読み、
その次に谷崎潤一郎訳を読んで、
風格を味わえばいいのかな。

源氏物語の訳は、
どんなのがあるのか?

与謝野晶子は、難解だった。
ある程度、日本古典の教養がないと
読み進められない。
谷崎潤一郎もまた然り、難解。

田辺聖子は観たことがないけれど、
読みやすいのでしょうね。
瀬戸内寂聴も訳していましたね。
それから、円地文子も。
彼女は国文学に造詣が深い人だから、
スラスラとはいかない。
最近では、大塚ひかり訳もある。

うーん、ならば、いっそ、
大和和紀『あさきゆめみし』で
マンガから読むのが、
結局は、源氏への入り方として
いちばん楽しいかな。

あ、忘れてた。
私は源氏物語は、
橋本治の意訳した『源氏物語』で
読もうと、中古書店で
15巻くらいある全巻セットを  
買っていたのでした。
すっかり忘れていました。
まだ包みを開けていないけれど。
(笑)。

橋本治訳の何が凄いかというと、
日本古典作品の常習である
主語の省略をすべて
橋本さんは略さないで訳したこと。
時には、行間の省略も
補って書いたこと。
特に、古典時代にはなかった
心理的モノローグを
橋本さんはほどよく補充している。
だから、めちゃめちゃ読みやすい。

さらに凄いのは、
橋本訳もまた角田光代訳と
同じくらい読みやすいけれど、
一方で、
平安文学らしい風格がしっかりある。
読んでいて歯ごたえがある。

はやく帰って、
橋本治訳の源氏物語を読もう。 
読みたくなってきた。

で、もうひとつ、古典で
いつか読みたいのが平家物語。
こちらは、まだ本屋さんで
試し読みしていないから、
まだ買おうか買うまいか、
闘ってはいないのですが、
平家物語なら、
そんなに訳者によって
差が出ないのではなかろうか?

これからしばらくは、
本屋さんの文庫売り場に行くたび、
角田光代訳の源氏物語が
私を甘く誘惑してくる。
私はそのささやきに、
果たして勝てるだろうか?

そういえば、
マルセルプルーストの
『失われた時を求めて』の
角田光代さん訳を読んだことが。
あれは作品の中に入りやすかった。
けれど、忘れることも早かった。
角田光代さん、一応、
現代作家としては、
ファンなんですけどねえ。

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