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【随筆の謎】エッセイはやはり女性にかぎる!?

今のようにジェンダー問題が
意識される時代に、
女性らしいとか、
男性らしいとかをテーマにするのは
時代遅れにならないかな。

今年の9月から、女性エッセイ集が
文春文庫から発刊されている。

エッセイといえば、
向田邦子、
幸田文、
須賀敦子、
森茉莉などが
女性ばかりが頭に浮かびます。

ちなみに、
文春文庫から出始めた
女性エッセイは、正しくは、
「精選女性随筆集」全12巻。

9月:幸田文(川上弘美選)
10月:森茉莉、吉屋信子
(小池真理子選)
11月:向田邦子(小池真理子選)
12月:有吉佐和子、岡本かの子
(川上弘美選)
1月:武田百合子(川上弘美選)
2月:宇野千代、大庭みな子
(小池真理子選)
3月:倉橋由美子(小池真理子選)
4月:石井桃子、高峰秀子
(川上弘美選)
5月:白洲正子(小池真理子選)
6月:中里恒子、野上彌生子
(小池真理子選)
7月:須賀敦子(川上弘美選)
8月:石井好子、沢村貞子
(川上弘美選)

なんて、豪華なラインナップ。
来年の夏までは、毎月1冊
出るのだから楽しみですね。

ただ、エッセイストが
ほとんど昭和の作家ばかり。
若い女性には、初めて聞く人が
多いでしょうか。

でも、こうして読者層を
編集部は絞ることにしたのですね。
向田邦子や
武田百合子や
須賀敦子は、ほぼ読んできたから、
ダブってしまいそうですが、
選者がどんな作品をセレクトするか
どんな順番にするか?で
印象もずいぶん変わりますよね。
楽しみです。

ところで、
上手いエッセイというと
なぜか私は女性作家ばかり
思いつくんです。

男性作家では、
遠藤周作や開高健など
面白い人もいましたが、
こうし才人は別としたら、
大抵の男性作家は、
知識やウンチクを語ることが
多くて、ちょっと面倒(笑)。
また、なぜか抽象的になりがち。
常に普遍性や方程式を探してるから。
あるいは、人生論の押し付けに
なりがちな気もします。

男性作家で、
エッセイが上手い人がいても
それは小説の片手間に
書くようなスタイルで、
エッセイに比重を置いてる
専業エッセイストは
男性では多くはいないかな。

さて、では、
専業エッセイストと呼べそうな
男性作家って、
誰がいるだろうか?考えてみます。
オードリー若林、
色川武大、
穂村弘さん、
燃え殻さん辺りですかね。

ちなみに、
吉田健一や三島由紀夫、
大江健三郎、小林秀雄や
筒井康隆、池澤夏樹たちの
エッセイは、やはり
頭でっかちな印象が強い。

良きエッセイは、
身体性や皮膚感覚でこそ
書かれて欲しい、というのが
私の信条なのですが、
頭でっかちもアリですかね?

伊坂幸太郎や朝井リョウにも
エッセイはあるけれど、
やはり印象が弱くて、
彼らをエッセイストとは、
呼べないなあ。

頭でっかちなエッセイになるか、
身体性を帯びたエッセイになるか?
それはどこにスイッチが
あるんでしょうか?

ひと昔前なら、
それは「女性性」なのではないか?
といったザックリ過ぎる決め付けで
結論としていたでしょうが、
さすがに、今の時代には
そんな書き方では、
読者のみなさんには
納得してもらえないはず。

となると、
考えられるのは、
男性のエッセイストには
上から目線の傾向が強いのでは
ないでしょうか。
やはりウンチク三昧で
知識や人生論を押しつけてしまう。
微妙な距離感を保てていない。

女性の書いたエッセイで、
上から目線を感じたことは
あまりない、
いや、ほとんどないです。

女性エッセイは、
優しく、丸く、深く、面白い。
男性エッセイは、
気位が高く、正しくあろうとする。

まあ、こんなところが、
男性エッセイが硬い由縁ですね。

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