１．特徴

『Canh khổ qua nhồi thịt』カンホークアノイティットは、肉で詰めた苦瓜（ゴーヤ）を使用したベトナムの伝統料理のスープです。豚ひき肉、シイタケ、春雨などが詰め物として用いられます。

苦瓜は、独特の苦味があり、肉詰めとの組み合わせることにより、その苦味が和らげられます。

この料理は、南ベトナムの人々によって作られたと言われていますが、ベトナム全土で広く楽しまれています。このベトナム料理は、他のアジア諸国でも人気があります。

２．歴史

この料理の具体的な起源については、ベトナムの南部が、発祥だといわれています。ベトナムの家庭料理として、ベトナム全土で、長い歴史があります。伝統的な薬膳料理の影響を受けており、健康に良いとされる苦瓜を使用しています。

ベトナムの南部では、苦瓜は「khổ qua」とも呼ばれ、この名前は、旧正月のテトに「苦（khổ 苦: 苦い）」が「過ぎ去る（qua 瓜: ゴーヤ、カボチャ、キュウリ、メロンなどの総称）」ことを、願う意味を持ちます。
この果物は、手軽に、見つけることができ、ほとんどの家庭で一年中、栽培または購入できます。

なので、ベトナム南部の人々にとって、旧正月テトに欠かせない料理になっていますが、正確にいつからこの伝統が始まったのかははっきりしません。

ベトナム全土で、楽しまれていますが、各地域によって詰め物の具材やスパイスの選択が異なります。

３．作り方

①肉詰めゴーヤスープの主食材
・200g のひき豚肉
・150g の生ハム
・4個のゴーヤ
・ネギ、唐辛子、ニンニク、シイタケ、パクチー、赤玉ねぎ
・魚醤、顆粒だし、塩、コショウ、サラダ油

②材料の下処理
ゴーヤは丸ごとのままで、縦に一本切れ目を入れ、種と内側を取り除いて洗い、水気を切ります。
シイタケは、きれいに洗ってみじん切りにする。ネギ：白い部分をみじん切りにし、緑の部分はそのままにします。
パクチーと唐辛子は、洗ってから切ります。
赤玉ねぎとニンニクは、皮を剥き、みじん切りにします。

③肉の混ぜ合わせ
ひき肉と生ハムにシイタケとネギの白い部分を加え、魚醤大さじ1つ、1ティースプーンの顆粒だし大さじ１つ、少量のコショウ、サラダ油大さじ１つ、を加えて、よく混ぜ合わせます。

④ゴーヤに肉を詰める
鍋に水を沸かし、ゴーヤをさっと茹でてから水気を切る。丁寧に、適度な量を詰めます。ネギの葉を熱湯で柔らかくし、ゴーヤに巻いて見た目を良くし、詰めた肉を固定します。

⑤スープを作る
1.5リットルの水を鍋に入れて沸かし、小さじ１つの塩、大さじ１つの顆粒だし、魚醤大さじ１つを加えます。水が沸騰したら、ゴーヤを入れて約20分煮ます。
20分後、ゴーヤが柔らかくなっていることを確認し、味を調え、パクチーとコショウを加えて火を止めます。

⑥盛り付け
食卓に出すときは、ハサミまたはナイフで食べやすい大きさに切ります。醤油や唐辛子入りの魚醤と一緒に食べると最高です。

４．食べ方

通常は主食として、白いご飯や麺と一緒に食べられます。
苦瓜と肉の詰め物をスープで、一緒に楽しむことが特徴です。
家庭料理で格別な独自の美味しさです。

５．人気度

健康志向の高まりとともに、ベトナム国内外で人気があります。
苦瓜の独特な味わいが好まれ、健康的な料理として注目されています。

苦瓜は、豊富なビタミンとミネラル（ビタミンC、ビタミンB1、カルシウム、カリウム、リン、マグネシウム、脂質、タンパク質など）により、さまざまな健康効果を持ちます。

特に、豊富なビタミンCとタンパク質は免疫システムを強化し、身体の抵抗力を高めます。苦瓜には、ウイルスに対抗し、その拡散や成長を抑制する効果があり、がん細胞を破壊する可能性があります。

また、血中のグルコース量を減らし、その吸収を抑えることで、糖尿病患者にも有用です。苦瓜は冷却性があり、無毒で、肝臓を冷やし、便秘を解消し、利尿作用を持ち、食欲を促し、消化システムをサポートし、肌を美しくする効果があります。

『Canh khổ qua nhồi thịt』カンホークアノイティットは、ベトナムの家庭料理の中でも特に健康的で、栄養価が高いとされる料理の一つです。

苦瓜の苦味と肉の旨味が、絶妙にマッチしたこの伝統料理は、多くの人々に愛されています。
ベトナムを身近に感じて、いただければと思います。

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