一森キティ

アメリカに住んでいます。小説、短編小説、エッセイ、詩を日本語と英語で書いています。 書…

一森キティ

アメリカに住んでいます。小説、短編小説、エッセイ、詩を日本語と英語で書いています。 書くのも、読むのも好きです。 日常生活で感じたあれこれを、つれづれなるままに綴っています。 書き溜めた小説や詩なども載せていくつもりです。気軽に遊びにきてもらえればうれしいです。

最近の記事

ノートを始めて、一ヶ月が経った

今まで、SNS(ソーシャル・メディア)をほとんど使わず生活してきた。 なのに、noteを始めてから急に、「一森キティ」の名で、X (twitter)まで始めてしまった。 どうしてだか、自分でもまだ、イマイチ納得していないのだけど。それで、てんやわんやしている。自分で自分の首を絞めている気もする。 ずっと、一人で書いてきた。アメリカに来てからは特にだ。そんな生活を15年以上も続けてきた。だけど、外に向けて、何かを発信してみたくなった。それでnoteに興味を持った。 それ

    • ミュージカル『ヘアスプレー』を観た。最高にポップでキュートな世界観にハートを鷲掴みされちゃった

      ブロードウェイ・ミュージカルの『ヘアスプレー』がツアー公演で、この町にやってきた。 開演前から会場は大勢の人で賑わっていて、みんなこの公演を楽しみにしているようすだ。私はフーさん(アメリカ人、夫)と二人で出かけたのだが、周りを見渡すと、なんだか女の人が圧倒的に多い。どこもかしこも女、女、女。こんなにたくさんの女の集団を見たのも久しぶりな気がする。しかも、母と娘のペアが多い。 私は下調べせずに駆けつけたので、ストーリーをよく把握していなかったが、そうなのだ。これは母と娘の物

      • えっ、皆既日食?わたしじゃないの

        これはおとつい、夜が更け、リビングで窓外をぼんやり眺めていたときに浮かんできた詩だ。 4月8日、この町に皆既日食がやってくる。やってくるっていう表現は正確には正しくないのだが。だって、皆既日食はたまたま、太陽と月と地球が一直線に並ぶだけのこと。どこからもやってはこない。 でも、気分としてはやはり、「やってくる」が正しい感じがする。クリスマスのサンタクロースとか、コンサートや音楽フェスみたいな、ちょっと胸が高鳴るイベントと似ている感じといえばわかってもらえるだろうか。 最

        • 朝、起きると雪で、別世界になっていた

          ある朝、起きると、雪が積もっていた。 これはそのとき、まだベッドの中で、雪を見ながら作った詩だ。 I made this poem when I woke up in the morning and everything was covered with snow. 一月中旬、よく冷えた晩の翌朝のことだった。窓外が雪で真っ白になっていた。地面、建物、木々だけではなく、空さえも白かった。 それまでは比較的、暖かく、今年は雪降らないみたいだね、暖冬だね、なんて言っていたのだ

        ノートを始めて、一ヶ月が経った

          舌をめぐる冒険

          いつになくフーさん(アメリカ人の夫)の元気がない。ちょっと様子がおかしいと気付いたのは一昨日の夜だった。 夕食を済ました後、いつものようにフーさんはエプロンを掛け、食器を洗っていた。私は横で食器を拭き上げながら、最近、投稿を始めたnoteやX(旧ツイッター)のことをハイテンションで一人、ベラベラ喋っていた。だけどノリが悪い。というか、イマイチ元気がない。 「どうしたの?なんかあった?」と聞くと、 「いや、なんでもない。疲れただけだよ」と言う。 珍しい。私はよく疲れたあ〜

          舌をめぐる冒険

          [詩]0.01ミリの希望 (English Version Follows)

          わたしは夫と共に アメリカから飛行機に乗って 日本まで飛び 故郷についたその足ですぐ 確かに葬儀場に駆けつけた その時、柩の中で、 目と口を固く閉じて 横になっている お母さん、 そう、あなたの姿を、この目で しみじみ眺めたはずなのに あなたの柩を 家族みんなで助け合って わたしのこの手で そう、この両手で抱えて 炉全室まで運んだのだ 火葬場の職員は 柩の四隅にちゃんと 釘だって打ったし みんなで最後のお別れをしてから 炉の中へ柩が 滑り込んでいくのを この目でしっ

          [詩]0.01ミリの希望 (English Version Follows)

          [詩]偶然 (English Version Follows)

          あなたは 私の手を取って布屋に入り この中から 好きな生地を選べばいいのよ、 と言った 帰ってくると ダイニングチェアに合わせ その黒い生地を 裁ち鋏をつかって ためらうことなく ザクザクと切り終わると 椅子をひっくり返して ネジを取り、脚を外し 古い布の上に 切った布を重ねて 器用にホッチキスで ガチガチと留めていった それらの動作を繰り返して あなたは手品師のように 五脚の椅子を新品に変えてしまった グランマに教わったの、 とあなたは言った あなたの母親で 私の夫の

          [詩]偶然 (English Version Follows)

          [詩]サンセット・ビーチ (English Version Follows)

          どこまでも 果てしなくつづくベージュの砂浜に ビーチタオルを敷いて 仰向けに寝っ転がる 閉じたまぶたに 太陽があったかい 潮の香りがする 海風が体を撫でる 波が浜をザブンザブンと打つ 引き出しの奥から取りだしてきた 古いワンピースの水着 色褪せて、心なしか薄っぺらい 青白い生足は もう、生娘の弾力を失っている 毎日毎日 二人の幼い子供たちの世話に追われるも まだまだこれからだと 野心を燃やしながら ただ、がむしゃらに生きていた けれど、まだ若くて、美しくて 家中が、

          [詩]サンセット・ビーチ (English Version Follows)

          ニューヨークの氷上を滑る少年

          昨夜から、温度がぐんと落ちて、今朝起きると、窓の外は銀世界に変わっていた。雪自体は大したことはない。例年に比べると少ない。 けれど、温度は華氏ー2度(摂氏ー19度)まで下がった。こんなに下がったのは何年ぶりだろう?華氏ー2度を体感してみたくて、私はフーさん(アメリカ人の夫)をけしかける。 「ねえねえ、散歩に行ってみない?」 そう言いながら、私はもう着替えにかかっている。フーさんはまだ、ふとんにくるまって目を閉じ、まったりと日曜の朝の余韻に浸っていた。 「え〜〜、マジー

          ニューヨークの氷上を滑る少年

          暗黙のルール

          つづいても、ジムの話。 私が通うジムは、大学のジムだ。なので、もちろん必然的に大学生が多い。90%以上が大学生だ。 大学生ではない私はここではマイノリティーである。冬休みが明けて、大学生が町に戻ってくると、ジムは途端に混み始める。特にウエイトマシンは人気があって、なかなか空いているものを見つけるのは難しい。アメリカ男子の筋肉愛はすごいので。 今までは待つのが面倒なので、空いているものを探してつかっていた。けれど、この前初めて、使用中のマシンの横に立って待ってみた。 マ

          暗黙のルール

          さすらいのフィジカル・セラピスト、ケリー

          昨日、ジムへ行った。一昨日も行った。やることはだいたい決まっている。すっかりルーティン化しているので考えなくても身体が動く。 まずはトラックを軽く1マイル走り、それからフィジカル・セラピー(理学療法)のメニューをこなす。これは私がダンスで左膝を痛めたとき、セラピスト(療法士)のケリーに組んでもらったものだ。 1、両足にゴムバンド巻いて   カニ歩き  30歩ほど 2往復   2、半球バランスボールに片足立ち   (左脚、右脚交互に)     

          さすらいのフィジカル・セラピスト、ケリー