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世界近代文学

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2021年3月の記事一覧

vol.103 J.D.サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」を読んで(野崎 孝訳)

vol.103 J.D.サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」を読んで(野崎 孝訳)

大人のインチキは、社会生活を営むための潤滑油ぐらいに思っている僕が、インチキを嗅ぎ分けてその欺瞞性を暴こうとするホールデン少年にどこまで入っていけるか、この驚異的なベストセラーを初めて読んだ。

高校を退学させられた16歳の少年、ホールデン・コールフィールドが、ニューヨークの街をふらついた時の、悪夢のような3日間の追憶が、湧き上がるように語られていた。一人称で軽快に語る17歳になった彼の言葉は、神

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