光用千春【コスモス】

離婚(別居?)のため母親は家を出、残されたのは気落ちする父親&思考する小学3年生・花さん。そんな花さんが、家族とは友達とは人生とはと、割り切れない悩みについて(重苦しくなく)思考していく。

この花さんの絶妙な達観というか、子供であることを自覚しつつ妙に冷めた目で分析的になると同時に、友達と旅行に行く算段を立ててはしゃいだ表情を浮かべる無邪気さがある。そのシームレスさがいい。フィクションにおける小学生像を更新したのではないかと個人的には思っていて、一見すると思索的な部分は大人び過ぎているようにも思えるが、思い返せば私自身も、確かにああいう割り切れない思考を(言語化の度合いはあれ)抱いていた。

純粋な言語のチョイスや、ほぼ点と線だけで描かれる簡易的な顔で基本的には表情に動きはないがここぞという時にそれを崩すことで鋭くこちらの胸を撃ってくる絵的なセンスも物凄く好みで、たぶん今年のベスト(級)漫画です。

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