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意識高い系ワカモノ(そして中年)必読書!「好きなようにしてください たった一つの「仕事」の原則(楠木建)」

私は就職氷河期世代の工場系技術屋兼中間管理職である。Stay homeの暇つぶしにnoteを始めて10日程経った。自分と同じような稼業、関連する稼業の方の発信を参考にしたり(盗むとも言う)、自分の仕事上の経験や考えを発信したり出来て(自己満足とも言う)、とても面白い。一方で、正直面倒臭いなと思うのは、意識高い系のワカモノと思しき方々が書く「イケてる記事」が沢山流れてくることである。私は意識低い系の中年なので、余り積極的に拝読しておりませんが。

ただ、たまーに「おっ」と思う記事もあるし、彼らも日々一生懸命考えて行動しようとしているわけだし、私も昔「若干意識高め系」のワカモノだったので、気持ちは分からんでもない。ましてや、これからのアフターコロナの新しい時代は正に彼らが作っていくのである(一応私も作るつもりではある)。そんな彼らが読んだら参考になるのではないかと思い、老害として本書を紹介する。実は中年にとっても大変参考になるし、読み始めると笑いが止まらない内容でもあるので、コロナ対策として健康増進、抵抗力向上にも使えると思います(多分)。

1.「好きなようにしてください たった一つの「仕事」の原則」 楠木建

楠木建先生の著作と言えば「ストーリーとしての競争戦略」である。あれは出版当時斬新で面白かった。だが、以降の著作は今ひとつ私のツボにはハマらず、私の中では楠木先生は一般書ライターとしては「一発屋」の評価であり、以降何年も先生の著作が出ても読んでいなかった。因みに15年位前に出版され、製造業の「中の人」の間で一大ブームとなった「現場力を鍛える」の遠藤功先生に関する私の中の評価もそうである(すみません、僭越です)。でも楠木先生、ごめんなさい。この本は最高です。2016年の出版ですが、先生を無視していた頃だったので知りませんでした。ごめんなさい。

コロナ自粛に伴い営業を中止していた行きつけのブックオフ。先日営業を部分再開したので立ち寄った際に見つけたのが本書である。「3密防止のため立ち読みご遠慮ください」の札を無視して立ち読みし、1分で購入を決めた

本書は意識高い系の魔窟「NewsPicks」に掲載された、楠木先生による読者からの身の上相談の採録である。意識低い系中年の私にとっては目次をざっと見ただけでお腹一杯になる、意識高い系質問が山盛りだ。曰く「大企業とスタートアップで迷っています」「プロ経営者にどうすれば最短距離でなれますか?」「東大とスタンフォード、どちらに行くべきですか?」「30代でいまだに仕事の適性が分からない」「某一流国立大学の大学生、承認欲求が高すぎる自分を持て余しています」…。

これらの意識高い系質問を、先生はぶれずに「好きなようにしてください」と一言でぶった切り続ける。それに続いて非常に興味深い話が全編に渡って繰り広げられるが、とにかく面白い。ネタバレになってもったいないので内容は控えさせていただきます。「面白い」だけでは面白さは伝わらないと思うが、本当に面白いので是非まずはアマゾンのカスタマーレビュー欄だけでも見てみてほしい。

2.「好きなようにする」主体性と自由

本書に貫かれている楠木先生の「好きなようにしてください」と言うメッセージ。一見投げ槍で意識低い系中年のようなセリフは、結局のところ「主体性とは何か」「自由とは何か」という問いに直結している。「好きなようにする」のは、実は難しいのである。

仕事でも学業でもプライベートでも、好きなようにする力、即ち自分の人生を自分で考えて道筋を決められる力、そして自ら行動して道を切り拓いていく力というのは、真の意味で自分の頭で物事を「主体的に」考えることが出来る人に与えられた特権であると思う。勿論封建時代ではその特権を行使することが出来ない人は数多いたのだろうが、少なくとも現代においては「主体的に」行使可能であり、同時にそれは「自由」と呼ばれるものである。

尤も、「自由」には「責任」が伴う。自分自身に対する「責任」、周囲の人、社会に対する「責任」である。「自分自身に対する責任」メインで考えられる意識高い系のワカモノでいられるうちに、是非主体的に色々「好きなように」考え、自由に行動しておくとよいと思う。意識高い系のワカモノと思しき方々が書く「イケてる記事」を拝読する限り、意識低い系中年で老害な私などに心配されなくても、皆さんとっくに「好きなように」やっているのだが。

こういう「好きなように」やっている面白いワカモノ達が少なくともネット上には多いようだ、ということを踏まえ、ここ数日私は「これからの時代と言うのは実は結構いい時代になっていくのではないか」という期待を持っている。これが私がnoteを始めて発見した、意外な点である。後はワカモノが現実でどれだけ主体的かつ自由に、「好きなように」行動出来るかである。私も現実社会の片隅で、ワカモノに負けず「好きなように」頑張ります。

意図せず何か意識高い系のコメントを記してしまった。私はあくまでも氷河期世代、意識低い系で「好きなように」生きてきた、しがないイチ工場系技術屋兼中間管理職である。ご安心ください。【了】


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