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介護福祉士過去問 第32回 介護の基本

みなさんこんにちは!

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第1問 訪問介護員の対応(認知症)

Fさん(72歳、女性、要介護2)は、中等度の認知症(dementia)があり、自宅で夫と生活している。ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問すると、夫が散乱したコーヒー豆を片づけていた。Fさんは、「わからなくなっちゃった」と言っていた。訪問介護員(ホームヘルパー)が夫に事情を聞くと、「今も日課でコーヒーを豆から挽いて入れてくれるんだが、最近は失敗することが多くなって、失敗すると自信を失ってしまうしね。でも、毎朝、『コーヒーを入れなくちゃ』と言うんだ」と寂しそうに話した。
訪問介護員(ホームヘルパー)の夫への助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 「そばにいて、Fさんと一緒にコーヒーを入れてはどうですか」

  2. 「Fさんと一緒に、喫茶店にコーヒーを飲みに行ってはどうですか」

  3. 「おいしいコーヒーを買ってきて二人で飲んではどうですか」

  4. 「私がFさんからコーヒーの入れ方を教えてもらいましょうか」

  5. 「新しいコーヒーメーカーを買ってはどうですか」

答え:1 
認知症は本人の気持ちに寄り添った対応を心がけることが大切である。
1.そばで見守ることは、失敗を防いで自信をなくすことを防ぐことができるため適切な対応である。
2.3.5.できる限り日課を尊重することが大切であるため、新しい行動の提案は現時点では望ましいとはいえない。
4.Fさんは、「わからなくなっちゃった」と言っており、このような状態のFさんにコーヒーの入れ方を教えてもらうことは、Fさんを混乱させてしまうことにつながるため適切ではない。

認知症に関する詳細解説

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html


第2問 ノーマライゼーション

Gさん(80歳、女性、要介護3)は、脳卒中(stroke)の後遺症により左片麻痺があり、からだを思うようにコントロールができず、ふらつきが見られる。以前は、2週間に一度は美容院で長い髪をセットしてもらい、俳句教室に行くのを楽しみにしていた。病気になってからは落ち込むことが増え、介護が必要になったため、介護老人福祉施設に入所した。
ノーマライゼーション(normalization)の考え方を踏まえた、Gさんへの生活支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 洗髪しやすいように、長い髪のカットを勧める。

  2. 共同生活のため、夕食は施設の時間に合わせてもらう。

  3. 落ち込んでいるため、居室での生活を中心に過ごしてもらう。

  4. おしゃれをして、施設の俳句クラブに参加するように勧める。

  5. 転倒予防のため、車いすを使用してもらう。

答え:4 
ノーマライゼーションとは、障害者が障害のない人々と一緒に普通に生活できるようにすることをいう。
2週間に一度は美容院で長い髪をセットしてもらっていたことから、Gさんは長い髪を大切にしていると考えられるため、1の洗髪しやすいように、長い髪のカットを勧めることは、Gさんの気持ちをを尊重した支援とはいえない。
可能な限り本人の要望に沿った時間に食事を提供できるように工夫する必要がある。
「俳句教室に行くのを楽しみにしていた」ことから、Gさんは社交的なー面がうかがえると考えられるため、居室で過ごすことを勧めることは適していない。入居前のような他者との交流の時間を増やすような支援が望まれる。「からだを思うようにコントロールができず、ふらつきが見られる」とあるが、車いすを利用しなければならない状態かどうかは不明であるため、最も適切とはいえない。


第3問 ICF

ICF(InternationalClassificationofFunctioning、DisabilityandHealth:国際生活機能分類)の視点に基づく環境因子と心身機能の関連を表す記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 電気スタンドをつけて、読書を楽しむ。

  2. 車いすを使用して、美術館に行く。

  3. 聴力が低下すると、コミュニケーションがうまくとれない。

  4. ストレスが溜まると、活力が低下する。

  5. 床面の性状が柔らかいと、バランスを崩す。

答え:5 
ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)は、人間の生活機能と障害の分類法である。「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つの次元及び「環境因子」等の影響を及ぼす因子で構成されている。
1.電気スタンドをつけて=環境因子、読書を楽しむ=活動・参加
2.車いすを使用して=環境因子、美術館に行く=活動・参加
3.聴力が低下すると=身体機能、コミユニケーションがうまくとれない=活動・参加
4.ストレスが溜まると=健康状態、活力が低下する=心身機能
5.床面の性状が柔らかいと=環境因子、バランスを崩す=心身機能

ICFに関する詳細解説

https://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html

第4問 訪問介護員の対応(アルツハイマー型認知症)

Hさん(80歳、女性、要介護1)は、アルツハイマー型認知症(dementiaoftheAlzheimer’stype)である。20年前に夫が亡くなった後は、ずっと一人暮らしをしている。これまでの生活を続けていきたいので、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することにした。
訪問介護員(ホームヘルパー)のHさんへの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. Hさんの意向を確認して、今までどおり畳で布団の使用を継続した。

  2. 入浴後、手ぬぐいで体を拭いていたが、バスタオルに変更した。

  3. 訪問介護員(ホームヘルパー)の判断で、食事の前にエプロンをつけた。

  4. 整理整頓のために、壁に立てかけてあった掃除機を押し入れに片づけた。

  5. Hさんの気持ちを切り替えるために、家具の配置を換えた。

答え:1 
本人の意向を確認することはコミュニケーションの基本である。これまでの生活を続けていきたいというHさんの意思を尊重することを中心に対応するうえで、2の手ぬぐいからバスタオルに変更することや3や4や5の訪問介護員の判断での行為は適していない。

第5問 自己覚知

平成30年版高齢社会白書(内閣府)で示された65歳以上の者の家庭内事故の発生割合が最も高い場所(屋内)として、正しいものを1つ選びなさい。

  1. 階段

  2. 台所・食堂

  3. 風呂場

  4. トイレ

  5. 居室

答え:5 
居室>階段>台所・食堂>玄関>洗面所>風呂場>廊下>トイレ

高齢期の暮らしの動向に関する詳細解説

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_2_4.html


第6問 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)での介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. テレビのニュースを見て、新しい出来事を覚えてもらう。

  2. 利用者それぞれの要求には応えられないので、同じ日課で過ごしてもらう。

  3. 利用者の、現在よりも過去の身体的・精神的状態の把握が優先される。

  4. 利用者の、なじみのある人や店との関係は継続していく。

  5. 環境に慣れるまでは、車いすでの移動を勧める。

答え:4 
認知症の症状の1つに、記憶障害があり、新しいことの記銘が困難であることが多いため、新しい出来事を覚えてもらうことは適切ではない。
可能な限り自分の生活リズムで自立した日常生活を送れるように介護していくことが大切であり、同じ日課に合わせて過ごしてもらうことは適切ではない。
利用者の生活歴や過去の身体的・精神的状態の把握は、過去も現在も、ともに重要であるため、過去の把握を優先することは適切ではない。
認知症になったからといって、身体機能まで低下するわけではないため、車いすでの移動は筋力低下を招くリスクも伴うため適切ではない。


第7問 訪問介護事業所のサービス提供責任者の役割

訪問介護事業所のサービス提供責任者の役割に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 利用者の生活課題に沿って、居宅サービス計画書を作成する。

  2. 具体的な援助目標及び援助内容を記載した訪問介護計画書を作成する。

  3. 利用者の要望に応じて、他の事業所との利用調整を行う。

  4. 判断能力が十分でない人に対して、日常的な金銭管理を行う。

  5. 居宅サービス事業者を招集して、サービス担当者会議を開催する。

答え:2 
訪問介護事業所のサービス提供責任者の業務
・訪問介護計画の作成
・利用申込みの調整
・利用者の状態変化、サービスへの意向の定期的な把握
・居宅介護支援事業者との連携 (サービス担当者会議出席等)
・訪問介護員に対しての具体的援助方法の指示及び情報伝達
・訪問介護員の業務の実施状況の把握
・訪問 介護員の業務管理
・訪問介護員に対する研修、技術指導等

1.の居宅サービス計画書を作成するのは、介護支援専門員の役割である。
3.の利用者の要望に応じて他の事業所との利用調整を行うのは、介護支援専門員の役割である。
4.の判断能力が十分でない人に対して、日常的な金銭管理を行うのは、日常生活自立支援事業における生活支援員の役割である。
5.の居宅サービス事業者を招集して、サービス担当者会議を開催するのは、介護支援専門員の役割である。

訪問介護事業所のサービス提供責任者の役割に関する詳細解説

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000106770.pdf


第8問 多職種連携

介護の実践における多職種連携に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 医師が多職種連携の中心となる介護実践のことである。

  2. 民生委員やボランティアは、多職種連携のチームから除かれる。

  3. 医療と介護の連携とは、利用者の体調不良時に医療機関を受診させることを指す。

  4. 要介護度の改善を優先して、多職種連携によるケアプランを作成する。

  5. 利用者のケアの方向性に関する情報を共有して、課題の解決に取り組む。

答え:5 
多職種連携では、対等の立場で協力して共通の目的・目標を目指すものであり、医師が中心ではない。
民生委員やボランティアも、多職種連携のチームに含まれる。
医療と介護の連携とは、医療職種・機関と介護職種・機関とが、機能を補完しあえる関係を築くことであるため、受診させるためのものではない。
ケアプランは、利用者のニーズを把握し、利用者の望む暮らしを実現するために問題を解決するために作成するものであり、要介護度の改善を優先して作成するわけではない。

第9問 介護福祉職の倫理

介護福祉職の倫理に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 介護の技術が伴わなくても、利用者の要望を最優先に実施した。

  2. 利用者が求めた医行為は、実施が可能である。

  3. 個人情報の取扱いについて、利用者に説明して同意を得た。

  4. 暴力をふるう利用者を自室から出られないようにした。

  5. 業務が忙しかったので、施設の廊下で職員同士の打合せを行った。

答え:3 
利用者の要望があったとしても、介護の技術が伴わない行為を実施してはいけない。
介護福祉職は、利用者が求めたとしても原則として医行為を行うことができない。
暴力をふるう利用者を自室に閉じ込める行為は、身体拘束に該当する。
施設の廊下で職員同士の打合せを行うことは、個人情報の漏洩につながるおそれのある不適切な行為である。

第10問 感染症の対応(MRSA)

高齢者介護施設で、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の保菌者が確認されたときの対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 入所者全員の保菌の有無を調べる。

  2. 接触感染予防策を実施する。

  3. 保菌者のレクリエーションへの参加を制限する。

  4. 保菌者は最初に入浴する。

  5. 通常用いられる消毒薬は無効である。

答え:2
高齢者介護施設では集団感染の可能性がある感染症で、メチシリン耐 性黄色ブドウ球菌感染症(MRSA 感染症)、緑膿菌感染症等の薬剤耐性菌 による感染症がある。MRSAは保菌しているだけでは健康障害に至ることはなく、健康な人に感染を起こすことは少ないが、感染抵抗性の低下した人に発生する感染症である。

入所者全員の保菌の有無を調べる必要はない。
レクリエーションへの参加を制限する必要はない。
保菌者は最後に入浴するのが望ましい。
MRSAには、通常用いられる消毒薬が有効である。

高齢者介護施設における感染対策に関する詳細解説

https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf

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