初めてついた嘘

私は幼稚園の年中の時に近所の同じ幼稚園の子から軽い嫌がらせを受けていた時期があった。

中でも強烈に覚えているのは、幼稚園の帰りのバスで、
「明日ちょんまげにしてこい。してこなかったら包丁で斬り殺すよ。」
と脅迫された事だ。

私は「殺される」と思って、ちょんまげにしていくかいかまいか一晩悩んだ。

悩んだ末、翌朝結局ちょんまげは恥ずかしいかもという理由で、ちょんまげにはせずに普段通りのヘアスタイルでバス停に行った。

すると、「ちょんまげにしてきてって言ったよね?」と言われた。
私はドキリとして、
「お母さんにちょんまげにしてはいけないと言われたんだ。」
という嘘をついた。

これが私が人生で初めてついた嘘だった。

するとあっさり、
「それなら仕方ない。」
と言われた。「大人の力」は凄いんだなと思った。

ほかにもその子の家に遊びに行った時に家のソファーとソファーのすき間に長時間閉じ込められたり、たまごっちを持っていないという理由で仲間外れにされたり、私が「2000円持ってる」と言ったら「嘘だ」と言われたりした。

年長になってすぐに、その子一家は遠い遠い北◯道に引っ越した。
後から聞いた話では、私が嫌がらせを受けていると知った私の母が、「引っ越せ」と心の中で念じていたそうだ。

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