マガジンのカバー画像

まつのことのはのたのしみ

15
「まつのことのは」とは、和歌(やまとうた)の異称のことです。 ここでは、現代短歌ではない、伝統に連なる和歌の作り方などについて書いてゐます。
運営しているクリエイター

記事一覧

まつのことのはのたのしみ その十四

まつのことのはのたのしみ その十四

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。玉川可奈子です。

 初春の 初子のけふの たまばはき 手に取るからに ゆらく玉の緒

 あらたしき年がはじまりました。

 今年も読者の皆さまに吉き事の重なりますやうに、そしてわが国が真幸くありますやうに。そして、なによりも、私が私らしくゐられることを祈念しました。
 年のはじめは、久し振りのまつのことのはシリーズです。

 最初の方で、「和歌を暗記

もっとみる
まつのことのはのたのしみ その十三

まつのことのはのたのしみ その十三

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。和歌(やまとうた)を愛し、旅とサウナに親しむ玉川可奈子です。

 好きなことである旅ばかりしてゐて、もう一つの好きなことであるやまとうた、さう「まつのことのは」シリーズの更新を忘れてゐました。旅に夢中になつてゐたといふことでせうか。

 最近、わが国はハイパーインフレになるなどといふ危機を煽る戯言を述べてゐる人がゐましたが、ハイパーインフレのことを理解

もっとみる
まつのことのはのたのしみ その十二

まつのことのはのたのしみ その十二

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。和歌(やまとうた)と鉄道(まがなみち)そして、旅とサウナを好む玉川可奈子です。

 係長ガチャで苦しい思ひをした季節が終はりさうです。
 また気分転換をかねて、サウナ、リュック、生活面…色々と変へてみようと考へてゐます。

 最近は鉄道関係の記事が多くなつてゐるので、たまには和歌のことをば。どうか、最後までお付き合ひください。まつのことのはシリーズは読

もっとみる
まつのことのはのたのしみ その十一

まつのことのはのたのしみ その十一

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。和歌(やまとうた)をライフワークとしてゐる玉川可奈子です。今回も和歌について書きました。最後までお読みいただけたら嬉しいです。

 ちなみに、「まつのことのはのたのしみ」で表紙?に使つてゐる画像は、私が現地で撮影してきた「歌碑」です。山辺の道の旅シリーズでも書きましたが、歌を覚えると、各地の歌碑を見るのが楽しくなります。字の個性や、土地と歌とのつながり

もっとみる
まつのことのはのたのしみ その十

まつのことのはのたのしみ その十

 新しき 年のはじめの 初春の けふ降る雪の いや重け吉事 大伴家持(『万葉集』巻二十・四五一六)

 新しい年が始まりました。新年といひましても、わづらはしい年賀状や仰々しい挨拶など、あまりめでたいものと思へず、むしろ面倒とさへ感じてゐます。

 今年こそ、デフレを脱却し、全うに生きてゐる人が報はれる世の中になつてほしい。そして、なによりも今年も天子様が御無事で真幸く坐しまして欲しい、さう願つて

もっとみる
まつのことのはのたのしみ その九

まつのことのはのたのしみ その九

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。玉川可奈子です。
 まつのことのはのたのしみシリーズでは、現代短歌ではない和歌(やまとうた)について述べて行きます。どうか最後までお付き合ひください。

 前回の「まつのことのはのたのしみ その八」では、大和言葉について触れました。そして、和歌は先例を重視する点もお話ししました。和歌は心と言葉で過去と未来をつなぐもの、さらに今の人とも結ばれるものです。

もっとみる
まつのことのはのたのしみ その八

まつのことのはのたのしみ その八

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。歌人(うたびと)の玉川可奈子です。
 久し振りの「まつのことのは」シリーズです。どうか、最後までお付き合ひください。

 いきなりですが、さとう宗幸さんの「青葉城恋唄」を知つてゐますか。とても素敵な歌で、私もすごく好きです。仙台の人を羨ましく思ひます。

 そして、この歌には、ある特徴があります。

 それは、「青葉城恋唄」なのに歌詞の中に青葉城が出て

もっとみる
まつのことのはのたのしみ その七

まつのことのはのたのしみ その七

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。玉川可奈子です。

 人間の幸せは、好きなことをしてゐる時にあるのでせう。その好きなことの一つとして、和歌(やまとうた)について、今回も書かせていただきました。どうか、最後までお付き合ひ下さい。

 さて、過去六回に渡り、和歌の考へ方やとらへ方について述べました。今回から少し内容が変はります。

 平安時代以降、和歌の作り方に関する書が作られるやうにな

もっとみる
まつのことのはのたのしみ その六

まつのことのはのたのしみ その六

 いつも見ていただき、ありがたうございます。読んでくださつたの方々の「スキ」に励まされてゐます。
 どうか、最後までお付き合ひください。

 ところで、「まつのことのは」とは和歌(やまとうた)の異称で、『古今和歌集』の仮名序にある、

松の葉の散りうせずしてまさきの葛長く伝はり云々

といふ一節に基いてゐます。

 本題に入りませう。
 歌を作るにあたつて、ありがちなことに「上手に作らう」と力む

もっとみる
まつのことのはのたのしみ 付録 万葉恋の歌

まつのことのはのたのしみ 付録 万葉恋の歌

 この記事に目をとめていただき、ありがたうございます。どうか、最後までお付き合ひいただけたら幸甚です。

 さて、『万葉集』は一般的に「三大部立て」をもつてゐるといはれてゐます。すなはち、雑歌、相聞歌、挽歌の三つです。雑歌は公的な場で歌はれた歌、宴席での歌や天皇に奉られた歌などです。相聞歌は、人と人とが通じあふ歌とでもいひませうか。恋人同士であつたり、親子だつたり、様々です。必ずしも男女間とは限り

もっとみる
まつのことのはのたのしみ その五

まつのことのはのたのしみ その五

 この記事に目をとどめていただき、ありがたうございます。
 以前にも書きましたが、「まつのことのはのたのしみ」シリーズは和歌(やまとうた)の作り方について、手短に書いたものです。おほよそ、「その二十」まで続ける予定です。どうかお楽しみに。
 また、以前のものと合はせてお読みいただければ幸甚です。どうか、最後までお付き合ひください。

 前回は暗記についてお話ししました。歌を覚えるといふことは、「歌

もっとみる
まつのことのはのたのしみ その四

まつのことのはのたのしみ その四

 この記事に目をとどめていただき、ありがたうございます。玉川可奈子です。まつのことのはシリーズは主に「やまとうた」についての内容を扱つてゐます。前回からの続きを書いてをりますので、その三もご参照いただけたら幸甚です。

 歌集を眺め、「良いな」と思へる歌があつたら、次はその歌を暗記しませう。
 私も、小学五年生だつた当時、前に書きました柿本人麻呂の、

 東の 野に陽炎の 立つ見えて かへり見すれ

もっとみる
まつのことのはのたのしみ その三

まつのことのはのたのしみ その三

 この記事に目をとどめていただき、ありがたうございます。
 最近、旅行雑誌を読んでゐて、私も旅行記を書いてみたいと思ふこのごろです。どうか最後までお付き合ひください。

 前回、「直感」についてお話ししました。今回も、おほむね同じ内容です。
 お手元に歌集を用意していただきましたら、ご自身の好きなやうに読んでみてください。

最初の頁から読み進めるのもよし、
適当に開いた頁からでもよし、
一首一首

もっとみる
まつのことのはのたのしみ その二

まつのことのはのたのしみ その二

 この記事に目を留めていただき、ありがたうございます。
 暑い日が続く中、読んでいただいた方の心を少しでも和らげることができれば幸甚です。

 前に、「万葉の歌人(うたびと)では、誰が一番好きですか?」といふことを書かせていただきました。実は、和歌的遺伝子を目覚めさせる第一歩はここにあります。

 (現代短歌ではなく)「和歌(やまとうた)を学びたい」、「和歌を作れるやうになりたい」と思つた方。もし

もっとみる