浅間香織

文学作品『願望と献花』『薄暗い鍵盤組曲』をpixivさんで連載してます(下記URL)。…

浅間香織

文学作品『願望と献花』『薄暗い鍵盤組曲』をpixivさんで連載してます(下記URL)。 20世紀までの世界文学に情報学、気候変動、生態学等を加えた21世紀文学「カラマーゾフの姪」を計画中です。 https://www.pixiv.net/novel/series/9902072

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  • 【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち

    長編小説『願望と献花』に組み込まれる小説群です。 『願望と献花』はこちらで公開されています。 https://www.pixiv.net/novel/series/9902072

  • 詩(?)

    浅間の書いた詩(?)

  • 文庫本の作り方

    文庫本をWordでつくるのに参考にさせていただいた記事一覧です。

  • 『源氏物語』をデジタル時代に読む

    『源氏物語』をデジタル・ヒューマニティーズの観点から読んでみます。

  • 【小説】薄暗い鍵盤組曲

    長編小説『薄暗い鍵盤組曲』の解説や草稿です。 『薄暗い鍵盤組曲』はこちらで公開されています。 https://www.pixiv.net/novel/series/10735733

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【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(1)

○舞台:コロナ禍で自粛ムードの2020年 ○キャラ 彩田守裕:大学院で数学を研究する修士2年生。 曲丘珠玖:コンピュータに詳しいフリーランスの女性。彩田の最近の友達。同い年。 弥生恵:彩田の従弟。大学2年生。二人を呼んだ。  八月の終旬であった。気候も日射と水分に注意すれば過ごせる暑感であり、水稲も人間が手心をかければ育つことができた。稲の海原が波立って見えるほどの強い風は吹いていなかった。彩田青年は曲丘珠玖の運転する車で湖の町から田園風景を過ぎて、大学をはじめとする研究

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    • 【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(8)

      ○舞台:2020年夏の喫茶店。四人席。 ○人物 ・小芳:弥生恵の友達。デジタルアーカイブに興味がある。独特な農業観と生命思想を展開した。 ・彩田守裕:大学院で数学を研究する院生。小芳とは初対面。 ・弥生恵:彩田の従弟。大学2年生。小芳と同じサークル。小芳の農業観に反意を示す。 ・曲丘珠玖:ITフリーランスの女性。彩田と同い年の友達。小芳の前で弥生をなだめ始める。 前回はこちら 「恵さん、……私は決して彼に賛同するわけではありませんが、全く一理もないわけではないので

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      • 非市民的人間のポエム

        市民であることに疲れて、「あの日から後の人生は全て悪夢なんじゃないか」と思えてきた。 「しかし」、そもそも世に生まれ落ちた瞬間から全ては夢であって「あの日から」という認識は間違っている。 夢から覚めれば我々が自覚している個体性は終わる。個体性から解放された後に安らかであるためには、たぶん地球の物質がよりよく循環している方がいいのだろう。 我々の意識だとか魂などというものがどこから来たのかは分からないが、「肉体」と連動しているのは疑いがない。 だから肉体が還る先の循環が

        • 【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(7)

          ○舞台:2020年の喫茶店。 ○一台のパソコンの周りに四人の若者。 ○人物 ・小芳:デジタルアーカイブに興味がある大学生。自分が幸せになれないのは知ってる。 ・彩田守裕:大学院で数学を研究する主人公(喋らないだけ)。小芳とは初対面。 ・弥生恵:彩田の従弟。大学2年生。小芳と同じサークル。 ・曲丘珠玖:ITフリーランスの女性。彩田の最近の友達。同い年。小芳と論争中。 前回はこちら (小芳)「……やる方がいいことをやればいい。それをやります」 (曲丘珠玖)「それが分かって

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        【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(1)

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          【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(6)

          ○舞台:2020年の喫茶店。一つのテーブルに四人の若者。 ○人物 ・小芳:弥生恵の友達。アーカイブに興味がある。曲丘珠玖にITの技量を試されていた。前回の終わりで「賢者の石」とか言い出した。 ・彩田守裕:大学院で数学を研究する院生。小芳とは初対面。 ・弥生恵:彩田の従弟。大学2年生。小芳と同じサークル。 ・曲丘珠玖:ITフリーランスの女性。彩田の最近の友達。同い年。小芳と論争中。 前回はこちら (曲丘珠玖) 「賢者の石、面白い比喩ですね。一体いつの時代の話なのか。誤解の

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          【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(6)

          今年やりたい10のこと(2024年度)

          とりあえず思いつくまま書いてみました。 「カラマーゾフの姪:ガチョウたち」の執筆 『願望と献花』でヒロイン(三咲すみれ)をそろそろ書く 「年代記」(『願望と献花』1部2章)を書く 「微生物史」(同上2部2章)を書く 『願望と献花』の5部1章を書き終える 文学フリマに出店 米田の補題を理解する ネットワーク分析を学ぶ 『源氏物語』のネットワーク分析 PythonでTEIマークアップテキストを扱う 全部やれそうで、半分も無理な予感。 頑張ります…!

          今年やりたい10のこと(2024年度)

          5/19(日)に文学フリマ東京38にて以下で連載している「カラマーゾフの姪:ガチョウたち」完全版を販売予定です。 有料部分含め加筆修正版です。 【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(1) https://note.com/kaori_asama/n/n3f5b46695b24

          5/19(日)に文学フリマ東京38にて以下で連載している「カラマーゾフの姪:ガチョウたち」完全版を販売予定です。 有料部分含め加筆修正版です。 【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(1) https://note.com/kaori_asama/n/n3f5b46695b24

          【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(5)

          ○舞台:2020年の喫茶店。 ○一台のパソコンの周りに四人の若者。 ○人物 ・彩田守裕:大学院で数学を研究する院生。 ・曲丘珠玖:ITフリーランスの女性。彩田の最近の友達。同い年。 ・弥生恵:彩田の従弟。大学2年生。パソコンで困って相談。 ・小芳勝市:弥生の友達。アーカイブに興味がある。曲丘にITの技量を試されていた。 前回はこちら 「……まあこれだけ殺気立っているなら、疑いも凡そ晴れたようなものですけどね。未だ疑う要素があるとすれば、あなたのデジタルアーカイブに対す

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          【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(5)

          【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(4)

          ○舞台:2020年の喫茶店。 ○一台のパソコンの周りに四人の若者。 ○人物 ・彩田守裕:大学院で数学を研究する院生。 ・曲丘珠玖:ITフリーランスの女性。彩田の最近の友達。同い年。 ・弥生恵:彩田の従弟。大学2年生。パソコンで困って相談。 ・小芳勝市:弥生の友達。アーカイブに興味がある。曲丘にITの技量を試されていた。 前回はこちら 「デジタルアーカイブには必要のない知識ですよ」 「……なんで分かるんですか」 「最低限のことは分かりますよ」 「……だからなんで、どうし

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          【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(4)

          『願望と献花』の第1部1章を書きはじめて4年が経った。 2部2章の文体と章題がやっと固まった。 章題 人新世微生物史:序章 中身は識っていたのに、何故か言語化に4年かかった。 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19528945

          『願望と献花』の第1部1章を書きはじめて4年が経った。 2部2章の文体と章題がやっと固まった。 章題 人新世微生物史:序章 中身は識っていたのに、何故か言語化に4年かかった。 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19528945

          【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(3)

          ○舞台:2020年の喫茶店 ○一台のパソコンの周りに四人の若者。 ○人物 ・彩田守裕:大学院で数学を研究する修士2年生。 ・曲丘珠玖:コンピュータに詳しいフリーランスの女性。彩田の最近の友達。同い年。 ・弥生恵:彩田の従弟。大学2年生。パソコンで困って相談。 ・小芳勝市:弥生の友達。曲丘にテストされている。 前回はこちら  小芳は黙って画面を見つめては、静止してしまった。 「情報技術で生きていくなら、自分で調べなさい。この世界ではそうやって生きていくんですよ。必ず論理

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          【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(3)

          『源氏物語』をデジタル時代に読む(2)「空蝉」I

           今回は『源氏物語』の「空蝉」の人間関係をネットワークとして表現した具体的なプロセスの解説を始めます。サムネイル画像の見え方が少し深まると思います。  細かい話や基礎論的な部分は以下の前回記事に譲ります。……が、なるべく本記事だけで分かるように善処します。 なぜ空蝉か? 真面目に文学を読んでいる人に怒られてしまいそうですが(汗)、岩波文庫の『源氏物語』第一巻で、「空蝉」の帖のページ数が一番少なかったからです。  ……とはいえ、中高生の頃は古文の授業と試験で、全54帖の全体像

          『源氏物語』をデジタル時代に読む(2)「空蝉」I

          【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(2)

          人物…4人 ・彩田守裕:大学院で数学を研究する修士2年生。 ・曲丘珠玖:コンピュータに詳しいフリーランスの女性。彩田の最近の友達。同い年。 ・弥生恵:彩田の従弟。大学2年生。二人を呼んだ。 ・小芳勝市:何故か来た。 前回はこちら 「なんとなくカフェに来たくなって。そしたら恵君がいたんです」  曲丘は小芳への視線を外さないで弥生に「そうなんですか」と尋ねた。 「…はい。だから僕も帰ってくれと頼んでたんです」  曲丘は視線を止めたまま数秒後、咄嗟に彩田を見た。それからその眼差

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          【小説】カラマーゾフの姪:ガチョウたち(2)

          『源氏物語』をデジタル時代に読む(1)ネットワーク分析I

           平安時代より数世紀にわたり日本人が書き写してきた作品、『源氏物語』。  印刷技術が未成熟だった時代には一文字ずつ人の手で書き写されていた『源氏物語』ですが……  21世紀。20世紀に誕生したインターネットも情報通信技術も、スマートフォンと共に万人の生活に普及しました。もはや『源氏物語』を写経する必要はありません。  テキスト情報だけなら誰でもデジタル空間で取得可能です。デジタルデバイスで読むもよし、目が疲れたら紙に印刷するもよし。本で買ってもよし。  古文で読んでも現代語訳

          『源氏物語』をデジタル時代に読む(1)ネットワーク分析I

          『源氏物語』の「空蝉」から人物ネットワークを描きました。来週か再来週までには、このネットワーク図について解説記事を出します。

          『源氏物語』の「空蝉」から人物ネットワークを描きました。来週か再来週までには、このネットワーク図について解説記事を出します。

          【小説】超絶技巧練習曲

          「それなりに有名な練習曲さ。生の演奏を聴く機会は少ないかもしれないけれど、録音されたものはよく流れるから、一度くらいは耳にしたことがあるのではないかと思う」  燕は舞台へ登った。全員が観客席に座り、彼女一人だけが舞台の左手にあるピアノの椅子に座った。彼女は背骨を張り、柔らかい首を少しだけ前に傾けていた。そして冷徹な視線を鍵盤に向けた。  完全な沈黙を確認して、燕は息を吸い、吐きながら高音の鍵を小さく、多数鳴らした。次なる吸気に合わせ、緩やかな調子で静かに、全体として高い音の、

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          【小説】超絶技巧練習曲