フォローしませんか?
シェア
浅間香織
2024年1月13日 18:00
「それなりに有名な練習曲さ。生の演奏を聴く機会は少ないかもしれないけれど、録音されたものはよく流れるから、一度くらいは耳にしたことがあるのではないかと思う」 燕は舞台へ登った。全員が観客席に座り、彼女一人だけが舞台の左手にあるピアノの椅子に座った。彼女は背骨を張り、柔らかい首を少しだけ前に傾けていた。そして冷徹な視線を鍵盤に向けた。 完全な沈黙を確認して、燕は息を吸い、吐きながら高音の鍵を小さ
2023年11月28日 20:00
「建設的に見えかねない練習曲」という小説を先日公開しました。前篇・後篇と二部構成です。・前篇(I)・後編(II)『薄暗い鍵盤組曲』という長編小説の二章目です。 しかし二章目の「建設的に見えかねない練習曲」単独でも一つの作品です。蛇足になりますが浅間香織の処女作になります。『薄暗い鍵盤組曲』自体は・音楽家小説・神経系文学・学芸エッセイ・平成アーカイブズ・人間の尊厳に関す