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目標設定が倫理に反する行動を生み出す

一言でいうと

「目標設定」は人の焦点を狭め、副作用もある

活用シーン

組織マネジメント

内容

ハーバード・ビジネススクール、ノースウェスタン大学ケロッグ・スクール、アリゾナのエラー大学マネジメント学部、ペンシルヴァニア大学ウォートン・スクールの研究者からなるグループによる研究。

「相当数にのぼる証拠から、目標設定が建設的な努力を促すだけではなく、倫理に反する行為を助長する恐れがある事が明らかになっている」と、このビジネススクールの教授たちは指摘している。

【例】
シアーズ
自動車修理スタッフに売り上げノルマを課した。結果、料金を水増し請求し、不必要な修理を施してノルマを達成しようとした。

エンロン
高すぎる収入目標を設定し、その達成を急ぎ手段を選らばなかったため、企業の崩壊を引き起こした。

フォード
特定の車を、特定の重量で、特定の価格で、特定の期日までに製造しようと固執したために、安全性の確認を怠り、安全性が脆弱なままフォード・ピンとを発売した。

『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』
ダニエル・ピンク (著)

名だたるビジネススクールの教授は、外発的な目標設定が組織の倫理観を貶めることを発見しました。とはいえ、私たちはそのことをリアルに目の当たりにしていると思います。

販売ノルマのために、数々の不正を働く人、
ノルマ達成のために詐欺的行為を行う人、
道徳的に許されない行為(たとえば顧客の玄関への居座りや迷惑を考えない電話)を行う人・・・
これ、金融や保険の世界では当たり前のようにいます。

他には、
間違いなく人の健康を害する混入物があっても平気で市場に流したり、
賞味期限切れを偽って販売する小売など。
古くは、公害もその一つです。

人の命をも奪うようなことを平気でするのは、印象として大企業に多いような気がします。一方で、大企業は「問題を起こさないため」のルールや規制でがんじがらめのはずです。なのに、そんな問題が起こるわけです。
そして、当たり前のように「ノルマ達成」だったり、「組織」を守るために結束したこういった企業にとっての人の命など、鳥の羽より軽い。

そんな事が起こってしまうのは、社会的手抜きといわれる集団になると、人は責任感を失いがちになる、という現象が起こっているのかもしれません。あるいは「ミルグラム(アイヒマン)実験」で明らかにされた通り、組織人は権威者の高圧的な指示には、たとえ人の命がかかっていても従ってしまうという生き物なのか。

いずれによってもあまり気持ちのいいものではありません。

私は「ノルマ」という言葉がキライです。(もちろん「予算」とか「責任数字」とか「目標数字」とかいういいかえた者でも同様です)
なぜかというと、この言葉のせいで人が人としての感覚を失うことが多いからです。

そして今日もノルマという言い訳のもと、
大企業に騙される高齢者をはじめとする人たちが、量産されています。
(まあ、中小企業もひどいところはひどいですが)

なんにせよ、企業の本来の目的である、「世の中をよりよくする」役割を忘れないようにいたいものです。


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