アイデアのちから

一度読んだら忘れない『アイデアのちから』

アイデアマンになったあなたを想像してみてください。あなたはその創造力で皆が悩む問題にスパッと答えることができます。あなたがアイデアのちからを使いこなせば、起業や作曲など様々な分野で活躍できるでしょう。

今回はアイデアの面白さを育てられる本『アイデアのちから』を紹介します。2007年に出版された原作『Made to Stick』は全米で150万部を超える大ヒット作で、最低でも25の言語で翻訳されています。

忘れない著者紹介

この本は兄弟二人で書いた本なんです。ハース兄弟は出す本出す本全ておもしろいと評判で、アイデアのちから以外にも
スイッチ!「変われない」を変える方法
決定力!正解を導く4つのプロセス
瞬間のちから
など数々の名著を出しています。後々このブログでも紹介したいですねー。

チップ・ハースさんはスタンフォード大学ビジネススクール教授で組織行動論を専門としている方です。GoogleやGapなどのコンサルティングを行なったり、シカゴ大学、デューク大学で教鞭をとったこともあります。都市伝説や陰謀論といった「もともと記憶に焼き付きやすい」アイデアの研究に没頭し、「記憶に焼き付くアイデア作り」という講座を始めたそうな。

ダン・ハースさんはデューク大学社会起業アドバンスメント・センター(CASE)の主席研究員で、ハーバード大学ビジネススクールで経営学修士(MBA)を取得しています。映像と技術を使った教科書を作るThinkwellの編集長で、最も優れた授業を追求するうちに、優れた授業の方法論はどの教師でもほぼ同じということを発見したそうです。

そんな中で二人ともが違った角度から「記憶に焼き付く(粘る)」アイデアを探っていたことに気づき、この本を書くことになったそうです。

こんな人は忘れにくい

・モノを売り込む際にお客がどうやったら買いたくなるか知りたい人
・優れた名言はなぜいつまでも人の心に残るのか知りたい人
・プレゼンがうまくいかなくてストレスを感じている人

忘れない要約

いいアイデアとはなんでしょうか?ハース兄弟によれば、いいアイデアとは理解され記憶に残り、相手の意見や考えを変える力のある、記憶に焼き付くアイデアのことです。そんなアイデアを作るには、6つのチェックリストを使ってアイデアの核となる部分を言葉にし、伝わりやすくすることが大切です。6つのチェックリストはどんなものかというと、そのアイデアが

単純明快か?(simple)
意外性があるか?(unexpected)
具体的か?(concrete)
信頼性があるか?(credentialed)
感情に訴えているか?(emotional)
物語性があるか?(story)

をチェックすることによって、アイデアは成功しやすくなります。頭文字がSUCCES(成功)となるので覚えやすいですね。

でも…聞いてみれば当たり前な気がしませんか?そりゃ具体的なアイデアの方が分かりやすいだろうし、データなんかで信憑性があれば相手も納得するでしょう。なぜこんな当たり前のことが、いざアイデアを伝えようとなった時にできないのでしょうか?

ハース兄弟はここで「知の呪縛」という悪者を紹介しています。「知の呪縛」とは、いったん何かを知ってしまったら、それを知らない状態がどんなものか想像できなくなること。昔は生徒だったのに、教師は生徒の気持ちが分かりません。作家が読者の気持ちが分からず読みにくい文章を作ってしまうので、編集という仕事があるわけです。この「知の呪縛」を確実に打破する方法こそ、前述の6原則です。

アメリカの大統領ジョン・F・ケネディは「六〇年代末までに人類を月に立たせ、安全に帰還させよう」と演説し、アポロ計画がスタートしました。この演説は単純明快で、意外性があり、具体的で、大統領の口から出たという点で信頼でき、感情に訴え、物語性があります。「知の呪縛」を避け、あなたのアイデアの影響力を高めるためにも、六原則を使っていきましょう。

アイデアの核となる部分を見極める

成功するアイデアとは核心を突いていると同時に簡潔です。アイデアの核とは「一番大切な本質」をむき出しにすることです。例えるなら広告の見出しです。著名な広告マンであるドン・ベルディングによると、見出しの違いが広告の効果の50~75%をしめているそうです。なぜかと言えば、見出ししか読まなくても大事なことが伝わるから。新聞記事がミステリー仕立てで、劇的な結末が最後までお預けでは、記事の内容は全部読み切るまで分かりません。

想像してみてください。あなたが戦時中の新聞記者で。通信回線が切断される前に電報を一本だけ打てるとしたら、あなたは何を伝えますか?的確にアイデアの核を伝えるには何を最も優先して伝えるべきでしょうか?

核となる部分を言葉にする

原則1 単純明快である
単純明快なメッセージとは。核心を突いていると同時に簡潔です。最高の手本はことわざです。『二兎を追う者は一兎をも得ず』という簡潔な言葉で、さまざまな場面で役立つ深いメッセージを凝縮しています。

アイデアの核を伝わりやすくする最も簡単な方法は、一番最初に最重要事項を持ってくること。そうすることでアイデアの方向性や話題の中心が理解しやすくなります。
また重要性の低い情報を削ることも大切です。ただし、簡潔さを目指し過ぎて核心をついていないメッセージにならないようにしましょう。山椒は小粒でもぴりりと辛い。小粒なだけで中身のないアイデアでは影響力はありません。

原則2 意外性がある
自分の関心のあることはすっと覚えられるのは皆さんも経験があると思います。ではどうやって関心をつかめばいいのでしょうか?

人々の関心をつかむ最良の方法は、既存のイメージを打破し、相手を驚かせることです。では驚きとはどんな感情なんでしょうか?私達はイメージに助けられて、何が起き、その結果どんな判断を下すべきか予測しています。

昔々ある原始人がいたとしましょう。原始人はジャングルに狩りに行きました。すると目の前の草むらが揺れています。しめた!と思って草むらの中に入ってみると、なんといたのは大きくて狂暴な虎ではありませんか。原始人はビックリしてすぐに逃げ出しました。

この物語のように推測が外れた時、「こうなるとは思っていなかった」という時に驚きます。そして、推測がなぜ外れたのかを知ろうとします。つまり驚きという感情を引き起こせれば、相手は関心を持ち、アイデアが記憶に焼き付きやすくなります。

しかし驚きだけでは短時間しか関心をつかむことができません。すぐに伝えきれる内容ならそれで構いません。しかし、複雑なメッセージに人々の関心をつなぎとめるには、どうすればいいのでしょうか?

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