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グラレコの力で組織の可能性を引き出す/まちづくりプレイヤーに聞くvol.5

こんにちは!勝山DMOの広報です。私たちのnoteでは、福井県勝山市を盛り上げようと頑張るまちづくりプレイヤーの声をご紹介しています。

今回ご紹介するのは、福井県勝山市の老舗組紐メーカーである有限会社多田製紐の多田寛さんです。

多田さんは2023年4月に勝山商工会議所の青年部(通称:勝山YEG)の会長に就任。2023年度は社会全体が“アフターコロナ”となり、YEGの活動も対面での交流や活動を実施できる変化のタイミングを迎えました。そんな重要な1年に、YEGの存在意義の可視化やメンバーの団結力を上げることを目的に、グラフィックレコードを用いた初のワークショップ実施を決めた多田さん。それに至るまでの想いやワークショップの成果について今回お話をお伺いしました。

はじめに

「グラフィックレコーディング」とは、会議やプレゼンテーションなどの内容を文字やイラストを使ってリアルタイムに記録する方法のこと。略して「グラレコ」なんて呼ばれていたりします。グラフィックレコードを書く人は、議論の中から重要な情報やアイディアを聞き取り、ホワイドボードや模造紙などに絵や図形、カラフルな色などを使って情報を視覚化していいきます。そうすることで、参加者は議論されている内容をリアルタイムで整理できたり、様々なアイディアを関係づけて考えたりしやすくなるというのが最大のメリットです。

今回、都市と勝山市の二拠点で活躍するフリーランスとしてグラレコを主導し、YEGの新たなフェーズに向けたワークショップ講師を務めたのはあるがゆうさん。ビジュアルプラクティショナーとしての肩書を持ち、東京をベースに主に企業の場づくりを専門に活動しています。あるがさんと共に、地域おこし協力隊の西垣翔太さんも講師を務めました。


ワークショップ当日の様子

勝山YEGの存在意義を問い直す

ー アフターコロナとなり様々な活動がアクティブに動き出すようになった2023年でしたが、会長としてどんなことを考えていましたか?
約3年程というコロナ期間はずっと「勝山YEGって何だろう。何のために存在してるのだろう?」というモヤモヤを抱いており、それについて色々と考えてきました。商工会議所は同じ地域で商工業を営む人たちの集まり。一人ひとりがもっと評価されるべきだし、地域という面で見た時に、勝山はポテンシャルのある素晴らしい地域だとメンバーに再認識してほしいという想いを持っていたのですが、今のYEGには明確な存在意義の定義がなく、時間とお金をかけて“何となく”集まってるだけになってしまっているなと思いました。そうなってしまう要因の一つに、勝山YEGとしての指針となる明確な方向性がないことにあると考え、会長に就任した2023年度のはじめに、スローガンを「Potential and Civic Pride 〜可能性を活かして、まちと共に発展しよう〜」と定めました。
「Potential」には、自分自身では気が付きにくい魅力や可能性を、仲間や他団体や地域の方々との交流や事業を通じて再発見しよう、という想いを。「Civic Pride」には、地域をより良い場所にするために自分自身が関わっているという当事者意識や自負心を持とう、という意味を。YEGとしてのプライドや商工業に接してる自分たちにもっと誇りを持ってほしいという願いを込めました。

ースローガンを定めたあと、何がきっけかでワークショップ開催に至ったのですか?
アフターコロナを迎え“通常”の社会に戻りつつある時代変革のこのタイミングで、「YEGも新しく変化しなければならない」という強い気持ちと焦りがあって、スローガンを定めてみたものの、YEGメンバー同士の交流や存在意義をみんなで問い直す機会も必要だと気づきました。皆が能動的に“心を開いて”議論できる場づくりです。
それで、以前からお付き合いのあった企業や地域のブランディングを得意とする地域おこし協力隊の西垣翔太さんに相談してみたら、グラレコを用いたワークショップを提案いただきました。グラレコなんてやったことなかったので、面白いしやってみようと、それが始まりですね。

「多様な大人が織りなす、ゆるゆるもりもり」

ー 実際にワークショップはどんな内容で進めましたか?
全3回実施しました。3回の集中ワークショップを通じて出た意見をまとめて、最終的にメンバー全員でスローガンを作るのが目標でした。
1回目は「語らナイト」と称して、勝山らしさやあるあるを自己内省して10個書き出し、シェアする内容です。印象的だったキーワードは「食、自然、水、川、人が純粋で優しく温かい、より良くしたい情熱がある」というもの。それぞれが見ている勝山は全然違っていることが良く分かって、「そんなこと考えていたんだ!」という嬉しさがこみ上げてきましたね。
メンバーからの感想で「お互いの意見や気持ちを知ることで、他の人の意見を尊重できる学びや姿勢が生まれた」というものを見た時に、この場づくり自体が“チームビルディング”になっていることに気づきました。ワークショップ中はニックネームで呼び合うルールにしていたので、それも相まって、会議では絶対に生まれない良い関係性が生まれていましたね。

ー 素敵ですね!あと2回のワークショップはどうでしたか?
2回目はチームに分かれてYEGの年間活動を洗い出し、自分たちがもっと深く取り組みたい取り組みや企画内容を話し合いました。例えば、勝山の技術や産業の理解を深めてこれからの“働き”をつくるおしごと体験「かっちゃニア」や、日中出られない地元住民にも参加してもらい地域の賑わいをつくる「勝山夜市」、勝山の伝統祭りを後世に紡ぐ「左義長まつり」での出店などなど、それぞれの”やりたい”が出てきましたね。
そこで気づいたのが、YEGに集まるメンバーのモチベーションは”自分たちが楽しめる”ことにあるということ。それぞれ経営者として日々自分の会社や産業に向き合い続けてるメンバーだからこそ、「大人のサークル」的に楽しめる場所を求めていたんだぁと改めて実感させられ、その原動力をもっと“まちづくり”に紐づけていけば、今後もっとYEGを面白くなるんじゃないかと思いました。

ー 大人の楽しい、という原動力。なんだか色々な可能性を感じますね。そんな気づきから、最終的にどんなスローガンが導き出されたんでしょうか?
3回目は1、2回のワークショップの総括をして、自分たちの方向性を表現する言葉にまとめるという内容でした。最終的にまとまった言葉が、「多様な大人が織りなす、ゆるゆるもりもり」。先ほどお話した大人の楽しいやまちを盛り上げる、といった僕たちの内面の在り方がまさに言語化されたスローガンとなりました。メンバーそれぞれが“楽しめること”、何に取り組むにも一番大切にすべきことであることが明確になった瞬間です。

それぞれが自分事として捉える意識が芽生える

ー 3日間の集中ワークショップのあと、変化があったことはありますか?
参加メンバーそれぞれが会議や取り組みにおいて自分事として考え行動するようになったこと
でしょうか。これまではどこか一歩距離を置いて何事も取り組んでいたように感じていましたが、それが徐々に変化し始めているのを感じます。これは大きな変化ですし、来年度の新たな前進のための土台ができたように思います。

ー それぞれの意識が変わるのはすごいことですね!講師のあるがゆうさんについても教えてください。グラレコなどいかがでしたか?
今までにない場づくりを経験させてもらいました。
あるがさんはこちら側の目線まで降りてコミュニケーションを取ってくれるので、それぞれの意見の引き出しがとても上手い。お陰で、会議では出てこない意見を引き出してくれて、ようやくみんなが本音を語ってくれてるように感じました。それに今回、メンバーの3分の1がワークショップに参加してくれたんですが、普段はそんなに集まらないんですよ(笑)グラレコって何?っていう新しさだったり、1回目に参加したメンバーの士気が上がって他メンバーを連れてきたりしていたのを見て、これはあるがさんの力だなと。
こういった”場づくり”というのは、「決めないといけないことを決める」という組織運営のための会議(コミュニケーション)とは全く異なるもので、でも組織に絶対に必要であることを痛感しましたね。それに、グラレコが本当に良かったです。絵には「感情的な部分も出していい」と思わせてくれる力があるなと思いました。こんな意見も口に出してみていいんだと。文字と絵で意見をリアルタイムにマッピングしてもらったことで、全員の共通認識をつくり考えるキッカケをもらえました。僕もああゆうまとめ方ができるように、いつかなってみたいですね。

次こそはコンセプトの策定を!

ー 来年度、同じワークショップをやるとすれば、次はどんな目標でやりたいですか?
今回は共通認識や土台をスローガンに落とし込むところまでいけたので、それを元に、なぜYEGが必要なのかという、YEGの存在意義をもっと明確にしてパーパスを作りたいですね。でも今回の自分の任期で、一つの土台を作れたことは本当に嬉しく思っています!

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多田さん、貴重なお話ありがとうございました!
グラレコを用いたワークショップは、なかなかコミュニケーションが捗らない組織内の議論の活性化や整理、共通認識の醸成や組織成長のためにとても有効な方法であることがよく理解できました。

今後も多くの企業成長をサポートする取り組みを行ってまいりますので、最新情報をお見逃しなく!
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プロフィール

多田寛
福井県勝山市出身、現在勝山在住。日本大学卒業。老舗組紐メーカーである家業の有限会社多田製紐を受け継ぐ。

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