見出し画像

4月20日 読書会報告

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

2024年4月20日の午後に開催した「東京読書倶楽部」読書会の報告です!

この日は新規の方が4名、リピーターが3名の合計8名で神保町散策×読書会。英文学科の女学生からシナリオを書くご年輩の方まで、幅広い年代が神保町に集まって本を語らいました。

重めの海外文学から心地よく読める小説まで、たとえ自読んだことがない本であっても、その人の本への熱量が伝わることは、とても素敵なことです。

紹介して頂いた本

読書会終了後に撮影

ディーノ・ブッツァーティ「タタール人の砂漠」岩波書店

無駄なことを続けることに意味はあるのだろうか? 辺境の砂漠の砦にて守衛任務に就く主人公は、退屈な警備の仕事に価値を見い出せずにいた。

ただでさえ、必要性があるのかもよくわからない仕事を続けていた主人公は、徐々に自分の人生に価値があるのかとも考えてしまう。だが、任務を放棄した際に見たいつもの景色が、一段と美しく見えたのだった。

最後の段、闇の中でかすかに笑みを浮かべた主人公。自分の人生の価値は、周りからの評価ではなく、自分で決めるのだと示したのではなかろうか。

住野よる「また、同じ夢を見ていた」双葉社

主人公の小学生の女の子は、学校の宿題で「幸せとは何か?」について、3人の女性(アバズレさん、おばあちゃん、南さん)に相談することを決めた。

少し踏み込むと、その3人というのは主人公が選択を誤ってしまった人生である。過去の選択に後悔することもあるけれども、それでも前に進んでいった3人の人生は、決して他の人からバカにされるものではかなった。

ある女性の「幸せとは、誰かのことを真剣に考えられることだ」という考え方に、自分もそういう人生を送りたいと思いました。

文芸誌「MONKEY vol.30」スイッチ・パブリッシング

主に英文学や翻訳を取り扱う文芸誌。この巻では村上春樹さんが翻訳した、トルーマン・カポーティ「最後の扉を閉めて」が収録されている。「風の歌を聴け」の表題に強く影響を与えた作品。

ウォルターという青年は、友人の恋人を奪ったり、出世するために人を蹴落とすような、行く先々で敵を作る性悪な性格。敵に囲まれたら場所を移してまた同じことを繰り替えいていたが、そんな日々もついに行き詰まる。

ある日、誰かから青年に対して電話が掛かってくる。それから毎日、どこにいても電話が掛かってくる。まるで自分で自分を苦しめる状況に陥ったかのように。

そして彼はつぶやく。「もう何一つ考えまい、風を想え」と。

今村夏子「とんこつQ&A」講談社

内気で自分の主張ができない主人公が、ひょんなことからラーメン屋でバイトを始めるのだが、やっぱり話ができない。店主は優しく気遣ってくれるが、働いている以上、自分の頑張れる方法で貢献したい。

後に、自分の言葉では喋れないけれども、紙に書いた内容ならば話せることができる。最初は店主の言葉を借りて、出来上がったのが「とんこつQ&A」。これなら言われた通りに回答することができた。

徐々に自信がついた主人公。単なる受け答えではなく、自分の色を出せるようにもなっていく。だけど主人公の成長と同時に、店主は悲しくなっていく…(水平思考のようだが、読者も悲しくなる展開です)。

トリイ・ヘイデン「よその子: 見放された子どもたちの物語」早川書房

教育課程から外れてしまった子どもたち(現代で言う特別支援学級的な)を預かった著者が描くノンフィクション作品。

ずっと天気予報をしてしまう子や、12歳で身ごもってしまったカトリック家庭の子、文字が読めない子など、なんでこんな子たちがひどい目に合わねばならないのかと、でも世間は厳しいのだと思うと、胸が痛む。

最後はハッピーエンドで終わるのは救いがある。だけど、自分だったら同じような言葉をかけられるかなって、何度読み返しても思うのよね。

服部まゆみ「この闇と光」KADOKAWA

光を感じる程度にしか目の見えないお姫様は、父である王様ととある場所に幽閉されているところから始まる。中盤からは話がガラッと変わり、今までの物語の真相について話していく。

一応ミステリーらしいが、個人的には著者の五感に訴えるような描き方が素敵だった。銅版画家としてアーティスト活動をしていたからだろうか。

今後の読書会スケジュール

4月27日(土) 19:00~22:00
飲み有り読書会 BOOK&BOOZE! → 満員御礼!!!

5月11日(土) 10:00~12:00
朝活×読書会
5月11日(土) 13:00~17:00
文学×ボードゲーム会
5月18日(土) 14:00~17:00
散策×読書会
5月25日(土) 10:00~12:00
朝活×読書会

6月1日(土) 19:00~22:00
飲み有り読書会 BOOK&BOOZE!

ご興味ありましたら、コメントや各種告知ページにて是非お待ちしております!

皆様に会えるのを心よりお待ちしております(*^^*)

今日もお読みいただきありがとうございました。いただいたサポートは、東京読書倶楽部の運営費に使わせていただきます。