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「すべき思考」を捨てて、価値観の源泉から本当にやりたいことを紡ぐ〜マネプロ#30

こんにちは!
DeNAでHRビジネスパートナーをしている坪井(@tsubot0905)です。

マネジメントの進化を探求するnote
『マネプロ』は今回が第30回目です。

このマネプロnoteのシリーズでは、5分で分かりやすく学べるシンプルな構成と、相手とのコミュニケーションで使えるようなシンクロしやすい問いを意識した内容を心がけています。

さて、前回のマネプロでは、自分自身が本当に望む「want to」を大事にすること。目的や意味を持つ目標である「ゴール」を描くことの大切さをお伝えしました。

しかし、
まだ難しく感じられた方もいるかもしれません。

そこで、今回のテーマは「目標の起点」です。

want to」を邪魔する【have to】の思考の正体や攻略法、
「ゴール」につながる3つの【原体験】に向き合う視点を探求します

目次はこちら!

<やりたいことを答えられない理由>

あなたのやりたいことは何ですか?

突然聞かれると答えに困る方もいると思います。

一見シンプルな問いに感じますが、
want toに向き合う行為というのは
実はなかなか難しいもの
だったりします。

それはなぜか?

want toに覆いかぶさる「〜すべき」「〜であるべき」といった【have to】の思考が本人の願望を邪魔するからです。

コーチングでは、まずhave toの思考を解きほぐすところからスタートすることがあります。それは、コーチングを通じて相手の中にある想いや意思を、過去の【原体験】と結びつけながらwant toを発掘する対話の時間です。

want toを邪魔するhave toの存在を知り、have toから解放されて自分自身に向き合うことができれば、より自分のwant toに辿り着きやすくなります。

<have toの正体と攻略法>

「〜すべき」「〜であるべき」というhave toの目標は、マイナスの思考や感情を生み出してしまいがちです。

もちろんhave toの目標にも、行動を促す力はあります。

「宿題をやらなきゃ」「早く起きなきゃ」「しっかり対応しなきゃ」。こんな理由から頑張れた経験、あなたにもあるのではないでしょうか。

しかし、より高みを目指す。より創造性を発揮する。よりワクワクする。いろんなプラスαの効果を得られないhave toの目標はどこかで限界がきます。

では、have toを生み出してしまうのは、
どんな考え方や心情が根っこにあるからなのでしょうか?

3つの視点から、have toの正体と攻略法に迫ってみましょう。


① 比較 / 劣等感


自分の価値を誰かとの優劣で捉えてしまったり、過去からの自分を否定してしまう「比較」の考え方が強いとhave toを生みやすくします。

例えば、他の人より勉強ができないから「賢くならないといけない」。自分は太っているから「痩せなくてはならない」。こういった他者と比較したり、自己否定から来る考え方から生まれる目標は「劣等感」によって不健全になりがちです。

なぜか?

実は脳の仕組み上、「こうはなりたくない」という想いから来る目標だと、いくらポジティブな言葉を吐いてもブレーキを踏んでいる状態になってしまうからです。「なりたくない!」と強く思うものを意識するとネガティブな臨場感の方が高まってしまうんですよね。(参考:『無意識のすごい見える化』

横にいる誰か、後ろにいる過去の自分を見ずに、未来にいる理想の自分と向き合って、前を見ながら目標を考えていく姿勢がhave to攻略の鍵です。


② 完璧 / 義務感


役割や責任を果たす必要がある、目標は100%達成する必要がある、といった「完璧」を基準にする考え方が強いとhave toを生みやすくします。

例えば、上司はチームに間違いのない方針を示さないといけない。目標は挑戦的な素晴らしいものを掲げないといけない。こういった自分自身ではなく、立派な基準に過度に合わせた考え方から生まれる目標は「義務感」によって不自然になりがちです。

そもそもどうしてそうするんだっけ?
なぜ自分がするんだっけ?
そうすることで何を失い、何を得られるだろう?

目的や意味を問うクセをつけてみるとよいと思います。

あるべき論・するべき論の前提から見つめ直し、完璧を目指すことによって得られることや失うことを認識することが、義務感から解放されるhave to攻略の鍵です。

③ 犠牲 / 閉塞感


ついつい自分のことは後回しにして考えてしまう、空気を読んで自分らしい言動を控えてしまう、といった自分を「犠牲」にする考え方が強いとhave toの目標を生みやすくします。

例えば、自分のやりたいことに蓋をして伝えない。自分の感情は置いておいて課題解決を優先する。こういった自分自身ではなく、現在の状況に過度に合わせた考え方から生まれる目標は「閉塞感」によって不自由になりがちです。

「周りのためだ」と思ってやっていることかもしれませんが、本当に必要なのか、ちょっと立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか?自分の行動を冷静にチェックしてみると良いかもしれません。

「人は感情の生き物なのに、人間は思いのほか自分の感情には目を向けない」という言葉があるそうです。自分の感情に目を向けて、感情のスイッチを持つことが閉塞感を打破するhave to攻略の鍵です。

〜〜〜

今回は3つのネガティブなhave toに注目したとおり、過剰に意識し過ぎるとストレスとなって思考や感情に影響を受けるので注意が必要ですね。

実は、have toが進化すると「使命」となって、強いwant toの原動力になるポジティブな側面もあります。have toは適度に上手く向き合いましょう!


<自分のアイデンティティに向き合う>

have toの鎧を脱ぎ捨て、自分自身に向き合うことができれば、等身大のwant toに近づきやすくなるはずです。

自分という存在の入り口。

向き合って振り返ると良いのは、自分自身のアイデンティティです。つまり、価値観が形成された原体験から自分のアイデンティティを見つめ返す。

want toの発掘には、自分のアイデンティティとなった価値観を認識するプロセスが効果的です。なぜなら、未来のwant toは、過去から現在のストーリーの中で育まれたものからしか出ないからです。

何の脈略も背景もないwant toは、「こんなこといいな、できたらいいな」のアイデアのまま終わってしまうものです。


<価値観の源泉は3つの原体験にある>

アイデンティティという価値観の源泉に出会うには、自分の価値観を形成した強くて深い原体験が何であったかを見つめる必要があります。

次回のマネプロでは、この「原体験」をテーマに『原体験ドリブン』を執筆されたチカイケさんと対話し、深掘りしていきますのでお楽しみに!

今回は少しだけエッセンスに触れておきます。
それは、アイデンティティは3つの体験と紐づいている、という話です。

① 不足体験


自分にとって不足している原体験があると
「ないものを求める欲求」が価値観として生まれます。

会社を立ち上げ、革新的な義足を世に生み出し続けてきたヴァン・フィリップスという方がいるのですが、彼は、21歳の時に事故で左足を失っていました。この原体験なしに彼が「どうしたらもっと歩くのが快適な義足になるだろう?」という問いに取り憑かれることはなかったでしょう。

私の場合でいうと、「父親として幸せな家庭をつくりたい」という欲求/want toがあるのは、生まれながらに父親がいないという不足体験によって形成されています。

父親がいなくて不幸だったわけではありませんが、父親像というの身近にいなかったことで、父親としてどういう家庭をつくれると良いのかは未知の領域。その分からない不足部分を埋めるかのように生まれた欲求なのかもな、と認識するようになりました。

② 成功体験


自分にとって成功した原体験があると
「できたことを求める欲求」が価値観の源泉として生まれます。

例えば私の場合だと、「新しい価値をつくる」という欲求/want toがあります。これは、社会人になってから「顧客・事業・組織・人材」に向き合う仕事をしてきた中で成功体験を抽象化すると、全て自分らしい新しい価値を提供できたからである、と自己理解しているからです。

会社や仕事が変わっても、人生や仕事において変わらずに追い求めたいものは成功体験によって形成された価値観なのかもしれません。

③ 価値体験


自分にとって強く価値を感じた原体験があると
「価値のある行動を求める欲求」が価値観として生まれます。

例えば私の場合だと、「働くことの面白さを届けたい」という欲求/want toがあります。これは、学生時代に働くことに何の期待も持てていなかった自分に、就活を通じて働くことの楽しさや価値を教えてくれた方々のおかげで形成された価値観です。

そのため、私にとってマネプロの記事やイベント登壇を通じて発信する機会は今後も増やしていきたいことです。影響を受ける側から影響を与える側へ。少しずつですが世の中に貢献できる関わり方にシフトできてきたのかもしれません。



<原体験に紐づくwant toにエネルギーを!>

自分が本当にやりたいこと。そこにアイデンティティを形成した原体験が紐づいた時、強い内発的動機になって目標の起点となり、目標への推進力につながります。

目標はムービングターゲットなので、仮に目標が変化したとしても動機がブレない軸として残っていれば、want toの目標や行動は進化を繰り返していくことになるでしょう。

逆にhave toの目標や行動は他責・やらされ感の始まりです。
目標は長続きせず行動はブレやすくなります。

もし部下から他責・やらされ感を感じた時。もしかすると、あなた自身がhave to(比較/完璧/犠牲)を生み出す原因になっているかもしれません。

そんな時には、自分や相手のアイデンティティに向き合いましょう。

have toにエネルギーを浪費するのはやめて、
人の心を動かすwant toにエネルギーを向けること。

このエネルギーマネジメントが大事ではないでしょうか。


<今回のQuestions>

以上が30回目のマネプロでお届けしたかったコンテンツでした!
いかがでしたでしょうか?

ということでマネプロ恒例、最後の問いです。

今回のテーマを通じて、リーダーやマネージャーの方々に問いかけたい4つの質問を選びました。忙しい皆さんの思考の整理と、新たな行動の後押しになれますように!


<次回にむけて>

今回は「目標の起点」をテーマに【have to】や【原体験】に向き合う視点を探求して書いてきました。いかがでしたでしょうか?

次回は、「その道のプロに聞いてみた!」の対話シリーズの第二弾です。

「原体験」をテーマに原体験ドリブンを執筆されたチカイケさんと対話して、今回のテーマを探求しています!

次回は2週間後の水曜日。お楽しみに!
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最後まで読んでもらえて嬉しいです。
ありがとうございました!

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@tsubot0905

2022年から「変化をリードするコーチ」として社外のリーダーへのコーチ業も取り組んでいます。HR経験者限定のコーチコミュニティも運営中です。ご興味ある方がいたら連絡くださいね!

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