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日本のメンタリティ

仏教に改宗した最初の天皇であられる用明天皇について、『日本書記』は、「天皇は仏の法を信けたまひ、神の道を尊びたまふ」と記しているのである。中略。仏法を信じて神道を尊ぶというメンタリティこそ、日本人そのものなのではないか。

日本の仏教伝来は、朝鮮半島の百済から日本に伝わったとされる。しかし、当初、日本の天皇は仏教を受け入れなかった。最初は、蘇我氏か日本で仏教を弘めるのに前向きであったのに対し、物部氏と中臣氏は日本の神様を尊崇し仏教には反対であったという。

渡部昇一さんは、宗教問題は外交問題であるとして、仏教を弘めようとする蘇我氏は『国際派』、神道を尊ぶ物部氏中臣氏を『国粋派』と考えている。

現在に置き換えると、グローバリズム対ナショナリズムというふうに自分は簡単に考えることができた。仏教派の『国際派』である蘇我氏が、天皇に命じられて試しに仏教を奉じると日本国内は疫病が蔓延した、と書かれている箇所を読んで、まさしく今の新型コロナ禍ではないかと驚いた。

日本の古代にも現在の日本と同じようなことが起きている。歴史は繰り返すのだ。

しかし、渡部昇一さんは、引用した箇所からの記述からも分かるように、日本で初めて仏教を受け入れた用明天皇は仏教と平行して日本の神道も尊崇し、それこそが日本のメンタリティだと述べている。

ただし、日本の保守と進歩はちょっと目を離すとわけがわからなくなる、と最後の方に書かれているように、日本という国は少し複雑でもあるようだ。

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