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    私たちが(そして誰かが)走り続けるためのリレーマガジン

  • 上妻世海 『構造主義とは何か』解説

  • 上妻世海 『グリーンバーグ批評選集』解説

最近の記事

並存の時代を生きる〜マタギの価値とLLMがもたらす共生社会の可能性〜

本稿は、PLANETS CLUBの「デジタルネイチャーからマタギドライブへ」の内容と、下記サイトの御館氏の論稿を参照し書かれています。 https://x.com/planets_club/status/1763780530016039378?s=46&t=1SfAnoms9WzVw3IMlBQBvg https://thinktank.php.co.jp/voice/6222/ 1. はじめに  現代社会は、AI技術の発展とデジタル化の進展により、大きな変革の時期を迎

    • 書評『正欲』

      この小説は映像化を前提にしている。フェティッシュの描写量、結末において、このくらいの落とし所でないと大衆に伝わらないだろうという作者の意図を感じた。基本、地の文で繰り返し書いている箇所と登場人物のメッセージに関して、作者の本心はない。「言葉に出来る(認識している)部分はほんの一部」、「性欲があるかなんて0か100でないだろう」(意訳)と言った部分がより(映像を通して)伝われば良し。といった落とし所だろう。 だが「フェティシュ=性欲」と思っているのは、むしろ登場人物達のほうだ

      • 板倉由紀子のイタ可愛いさに萌える。

        ※※物語の核心には触れませんがネタバレを避けたい方は読了後に読んで下さい※※ 劇中において、板倉由紀子は森本の常に一歩先にいる。その理由は彼女が被っている仮面に起因していて、それは小説という物語でしか成立しない。 だから、板倉由紀子は森本より強い。強くなければ描く意味がない。彼女が存在しなければ、あの三人組は成立しない。昭和の古き良き価値観を象徴するヒデさんと、本来であれば日本で働いている意味がなさそうなカバパンでは、ヒエラルキーが如実に出てしまう。そこに板倉由紀子という

        • 『餃子革命3.0』

          彼らの名前は李と蘭、大学のキャンパスで出会った二人の若き学生は、早くもそれぞれの生い立ちを超えた共通の夢を見ていた。それは、「デリバリーの王になる」という野望であり、彼らの友情と野心は日々強固なものになっていった。彼らは経営学部に在籍しながらも、食品科学の授業を選択し、さまざまな実験を重ねていた。その中で、特に餃子に注目し始めた。餃子はシンプルだが無限の可能性を秘めた食材であると彼らは考えたのだ。その形は、地味ながらも異国情緒を湛え、その味わいは、単なる料理を超越した何かを彼

        並存の時代を生きる〜マタギの価値とLLMがもたらす共生社会の可能性〜

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          『餃子革命2.0』

          彼らの名前は李と蘭。二人は大学で出会い、共通の夢、それは「デリバリー王になる」という野望を持っていた。この夢を叶えるために、二人は餃子という食材に目をつけ、それを取り巻くビジネスの可能性を追求していた。 ある日、研究室での課題を進める中で、彼らは餃子に異次元のエネルギーを注入する手法を偶然発見する。このエネルギーは、伝説の食材とも言われる「バイオ餃子」の秘密の元であり、これにより彼らは餃子に新しい命を吹き込むことができるようになった。 彼らはすぐにこの発見を商品化しようと考

          『餃子革命2.0』

          【要約】実践的データ基盤への処方箋

          著者紹介: ゆずたそ(1章)令和元年創業・東京下町のITコンサルティング会社「風音屋」代表。日本におけるDataOpsの第一人者。慶應義塾大学経済学部にて計量経済学を専攻。 渡部徹太郎(2章) 東京工業大学大学院 情報理工学研究科にてデータ工学を研究。 株式会社MobilityTechnologies(旧JapanTaxi株式会社)にてMLOpsやデータプラットフォームを担当している。 伊藤徹郎(3章) 大学卒業後、大手金融関連企業にて営業、データベースマーケティングに従事。

          【要約】実践的データ基盤への処方箋

          レモネードはもういらない

          『アラビアのロレンス』を観た時、強烈な違和感を覚えたシーンがあった。 シナイ砂漠を横断しカイロの司令部に辿り着いたロレンスが、従者のファラージを連れて将校しか出入りの許されないクラブでレモネードを頼むシーンだ。ロレンスは、レモネードを2つ出せ、と頼む。マゾヒストであり、砂漠の何もなさ、清潔さに魅せられたロレンスが、レモネードで喉の乾きを潤す快感を忘れていないことに違和感を感じた。その違和感が、意図的な演出であることを本書を読むことで理解出来た。 『砂漠と異人たち』は、一読

          レモネードはもういらない

          Rubyは「読むものではなくて、書くもの」

          プログラミング言語におけるRubyの位置付けを一言で述べると、「読むためのコードではなく、書くためのコード」と言える。コードの入れ子構造は、日本語の修飾→被修飾の関係に似ており、コードの頭からお尻までを読まないと挙動が解らない点も日本語の書き言葉とそっくりだ。(日本語の書き言葉は述語に牽引されている。述語=オブジェクトの図式が成立する。) 「クラス、メソッド」を書いて学ぶことは、日本語の漢字かな交じり文を「単語、熟語」の書き取りで習得していく手法に近い。例えば、子供は「かく

          Rubyは「読むものではなくて、書くもの」

          私が学んだ〇〇

          これまでランニングシューズの接客販売をしてきましたが、多くの店員がランナーの動きを見ずに静止した足のみを観て対応しています。もちろん動的な足の見立てが出来れば、参照する情報が格段に増え、より精度の高い提案が出来るのは明白です。ですが、問題は動的な足の評価基準が明確に定まっていないことにあります。 そこでまずシューズから離れ、動きそのものについて考えてみることにしました。なぜならランニングシューズを履かなくても裸足で走ることは可能だからです。ランニングフォームのクセに注目する

          私が学んだ〇〇

          マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ” 評

          「僕はスタイルを作る時は肩と靴から作る。  肩はアティチュードを、靴は動きを決める。」 『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』は、90〜2000年台に活躍し突如引退した伝説的ファッションデザイナー、マルタン・マルジェラのインタビューを初めて撮影したドキュメンタリー映画だ。これまで写真撮影を一切断り、ファッション界を引退後もメディアとの距離を取り続けてきたこともあり、撮影はマルジェラの「手」と「声」のみが許可された。 「反モード」を掲げたコレクションでは、ミリタリーソ

          マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ” 評

          チームラボに行って、テクノロジーと食について考えてみた

          10月8日、東京・豊洲のチームラボプラネッツ内にVegan Ramen UZU Tokyoがオープンするという報せを聞き、初日に行ってきました! 「チームラボとヴィーガンのラーメン…?」 一見繋がりを感じないかもしれませんが、チームラボがVegan Ramen UZU Kyotoの空間やロゴのデザインを担当した経緯があります。今回チームラボプラネッツに並列することで、両者のどんなメッセージを読み取れるのでしょうか? ──未体験のラーメンに躍る心を抑え、まずはチームラボの展示

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          「たまたま」という時間から「生活」を見つめ直す

          「検索では届かない」をコンセプトした紙の雑誌『モノノメ』に寄せられた、『生きる意味への応答──民藝と〈ムジナの庭〉をめぐって』について論じてみたい。 筆者である鞍田崇さんは、民藝を「教科書的な伝統工芸としての枠組みを超えた、広がりのあるものとして捉え直したい」と考えている人である。  本稿で、鞍田さんは物につきない民藝ならではの「かたち」を探っていく。 柳宗悦を引き、民藝における「用そのもの」を成す根幹は、「生活」そのものであると述べる。そして、フランスの精神科医ジャン・ウ

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          ユンカースは、なぜ消えなかったのか?

          『ユンカース・カム・ヒア』は、木根尚登の小説を原作として1995年に公開された映画である。 木根と同じTM NETWORKのメンバーである、小室哲哉の飼っていた同名のミニチュア•シュナウザーがモデルとなっている。 野沢家の一人娘、小学校6年生のひろみが本作のヒロインである。家政婦を雇い、家庭教師を住まさせる程度には裕福な野沢家に、ユンカースは飼われている。ユンカースはかなり変わった犬である。用を足す時は、男性トイレを使いご丁寧に洗浄ボタンまで押す。時代劇が好きで、銭形平次の

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          ウルトラライトの次に来るもの

          ここ10年の登山文化を山道具の視点からのぞいてみると、トレイルランニングやウルトラライト(以下、UL)の流れによる道具の「軽量化」が進んだ10年、と考えることが出来ます。UL発祥のアメリカに限らず、日本国内にもULの文化や思想に触発された後発のブランドが増え、誰もが「軽量化」の恩恵を受けることが出来るようなった10年、ともいえるでしょう。アウトドア用品専門店 「ひだまり山荘 池袋店」店長の中村さんに今後の登山文化の展望を伺ってみました。 登山用品店で働くきっかけ──僕は、中

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          妄想ランニング雑誌企画『INTERVAL』

          •コンセプト 『ハウツー本でないランニングマガジン』 日本国内のランニングに関する情報発信は、ほぼ二つに分類されます。一つはメーカーが新製品発売の際にメディアが発信する公式情報です。もう一つはYouTubeやSNSの個人発信です。前者は、ファクトのみで製品がユーザーや市場にもたらす影響を語らず〈モノ〉に閉じている。後者は、発信者個人の固有の体験に基づく発信が強く〈ヒト〉に閉じている。そこで、〈モノ〉と〈ヒト〉の間を描く誌面を考えました。 •雑誌名『INTERVAL』 ①〈モ

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          グリーンサイレンス

          あのウォーレン・バフェットが大株主である、BROOKSのグリーンサイレンスで初マラソンを走ったのは、ちょっとした僕の自慢だ。今までランニングシューズを数え切れ無いほど履き潰してきたと思うけど、僕にとってこのシューズは特別な1足だ。今このシューズについて考えることに意味がある。 数々のウルトラマラソンで連勝記録を持つ伝説的ランナーのスコット•ジュレクは、このシューズを語る上で欠かせない存在だ。彼のメディア露出は日本でも話題になったクリストファー・マクドゥーガルの『BORN T

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